第25話 攻城戦
暫く待っているとゾロゾロと人が門から入ってくる。大体入り切った辺りで光鳴が全員に向けて声を掛けた。
光鳴
「これで全員揃いましたね!」
津雲
「大体40人程でしょうか。中々大所帯です」
花丸
「多いですね…。そんなにヤバい作戦何ですか?」
廻子
「この城自体が大きいだろう? ここは大手門。それと別に櫓門と、裏手の搦手門から攻める。更に厄介な事に夜じゃなきゃいけないんだ」
花丸
「夜?? 夜は危ないんだろう? どうしてだ?」
廻子
「言ってしまえばこれは殲滅戦だ。怨霊、地縛霊、悪霊、集合霊諸々祓う必要があるって事だ」
郷造
「勿論それだけじゃねぇけどな」
花丸
「やっぱり…。祟り神みたいなのがいるのですか?」
廻子
「その昔、築城するに当たって工事や戦の安全祈願を願って【人柱】する風習があった」
光
「人柱?」
郷造
「生贄だよ。大体若い女が生贄に選ばれるケースが多いが、ここの場合はちょっと違う。築城した大工21人を斬首して城の何処かに首塚を作ったそうだ」
花丸
「いっ、、!? 21人!?」
廻子
「大工は城の仕組みを把握しているだろう? その仕組みが敵に漏れないよう口封じの目的もあったようだが。勿論本人達は生贄になるなんて思いもよらなかっただろう」
郷造
「難攻不落の城として攻め落とされなかったが、怨念が兎に角強くてな。真虎英典って知ってるだろう? 有名な戦国武将だ」
花丸
「え、ええ。勿論? 有名ですよね?」
郷造
「戦は大層強かったが、身内の扱いが酷かったらしいぜ。生涯7回に及ぶ裏切りに遭って、最後は山の中へ逃げた挙句、死体すら見つかってない」
光
「やっぱり怨念の所為なのかな、、」
廻子
「生贄なんてなんの効果も無い。いや、呪いを作る為には必要あるが。犠牲を伴う行いは、結局自分の首を絞める事になる。お前達もくれぐれも気を付けろよ」
光
「イジメ、絶対、やっちゃダメ」
花丸
「そういう胡散臭いのに頼りたくなっちゃうのかねぇ」
廻子
「それは否定出来ないな。今でも多少はあるかもだが、昔は度が過ぎる嫌いがあった」
郷造
「夜の大運動会は常に参加者を募集中なんだろうよ。霊魂もそうだし、面白半分で入ろうとする輩も後を絶たない。これ以上規模がでかくなる前に処理しなきゃならないって事で、あちこちから霊能力者を集めたんだろう」
光
「…」
光が霊能力者の集団をじーっと誰かを見つめている。
花丸
「どうした光くん、ぼーっとしちゃって」
光
「いえ、あの人、カナリア連れてるなって」
光が見つめる先にカッターシャツの男性がおり、カナリアの世話をしている。
花丸
「ほう、珍しいな。一体何に使うんだろ」
すると光鳴が資料を配り始めた。一通り配布し終えるとよく通る声で一行に声を掛ける。
光鳴
「全員行き渡りましたね? 本日はお集まり頂き誠に感謝致します。事前に連絡させて頂いた通り、本日の18時から真虎城の大規模なお祓いを執り行います」
花丸
「もうそろそろだな」
光鳴
「つきましては手元の資料を基に、除霊作戦を結構致します。各々配置に付いて準備をお願いします!」
花丸
「廻子は正面から、郷造さんは櫓門から、僕と光と津雲さんは搦手門からですね」
郷造
「良い感じじゃねぇか? 兎に角ぶっ飛ばしていけばいいんだろ」
郷造はこきこきと指を鳴らした。
廻子
「くくく。花丸〜? 不安だろ。心細くはないか? 私とついてくるか?」
花丸
「ヤダ。廻子と一緒だと機械を破壊されかねない。それに津雲さんがいるから大丈夫だよ」
廻子
「ふーん、最初に力を見せた時のことをまだ根に持ってるみたいだな。お前は身体ばかり大きいガキンチョなんだな花丸よ」
花丸
「本物のガキンチョに言われてもな。心配してるなら心配無用だ。おちょくってるなら余計なお世話だ」
廻子
「この間の作戦の時はあんなに怯えていた癖に。もっと可愛らしく甘えて見せろ」
花丸
「何ィ? そりゃ得体の知れないものに襲われたら怖いだろう。それにどうして可愛らしくする必要があるんだよ」
津雲
「局長も先生と一緒に仕事してみたいんですよ。そうですよね?」
廻子
「世話の掛る新人を躾る必要があるだけだ。新人なら新人らしく振る舞え」
廻子を嫌そうに横目で見ていると、エリックが首を伸ばして花丸に画面を見せてくる。
エリック
『城の見取り図です。ドローンで周囲を撮影して解析しました』
花丸
「おお、流石高性能AIだ」
津雲
「エリックも進化していますね。頼り甲斐があります」
エリック
『ありがとうございます。ELIXIR-RIKKARは常にアップデートしております。これからも皆様の御期待に添えるよう精進致します』
画面がハートの目の顔文字になる。
津雲
「あら可愛い♡ エリックは相変わらず愛嬌がありますね」
廻子
「そんなのに頼るから腑抜けてしまうんだ。自力でなんとかして見せろ」
廻子は花丸を指で突く。
花丸
「もう、ダル絡みは勘弁してくれ。そんな理由でエリックを壊さないでくれよー?」
花丸はエリックを手で隠した。
光
「教授、廻子ちゃんに好かれてますね〜」
廻子
「誤解するなよ。まだ子守りが必要だというだけだ」
すると一行の近くにゾロゾロと人が集まり始めた。
光
「む、搦手門のメンバーでしょうか」
花丸
「廻子、お前はあっちだぞ。ちゃんと皆と仲良くするんだぞ」
廻子
「ふん。くれぐれも怪我するなよ」
廻子は大手門から攻めるメンバーの方へ向かった。
光
「…」
「どうぞよろしくお願いします」
どうやらカナリアを連れた人物も搦手門から攻めるのだろう。集合場所に集まるなり挨拶を交わす。
花丸
「初めまして。白峰花丸です」
光
「黒澤光です」
「ありがとうございます、初めまして。僕は玉菊輝彦です」
光
「カナリアちゃん、可愛いですね」
輝彦
「ありがとうございます。スリアンという名前です」
花丸
「ここにわざわざ持ってこられるということは、お祓いに必要だということですか?」
輝彦
「そうです。カナリアは危険な魔の領域をいち早く感知する事が出来ます。しかし優秀な方が沢山集まられたので、もしかしたらスリアンが活躍する事はないかもしれませんね」
光鳴
「搦手門の皆様、問題なく集まられましたね」
花丸
「光鳴さんも搦手門からですか。心強いです、よろしくお願いします」
光鳴
「ええ。こちらこそよろしくお願いします。廻子局長殿の愛弟子とお見受けします。皆様相当な実力をお持ちだと存じます」
津雲
「陰陽道師団の名に恥じぬよう頑張らせて頂きます」
光鳴
「こちらも負けじと頑張らせて頂きます。皆何事もなく作戦を完遂させましょう。間も無く作戦開始の時間です」
夕日もそろそろ沈む頃、作戦開始の時刻が迫ってきた。
光鳴
「それでは…開門!」
2人の僧が搦手門を開門する。
光
「…、、」
光は中から漏れ出る邪気に圧倒される。
花丸
「ヤバくなったら僕の後ろに隠れろ。無理するなよ」
津雲
「安心してください、私もついています」
津雲は光の背中をぽんと叩く。
光
「だ、大丈夫です。この間みたいにパパっと祓ってお終いです!」
花丸
「さぁ、攻城戦の始まりだぜ」
花丸はレイブラスターを抜いて構えた。一行は警戒しつつ入城していく。




