タイムマシン
朝……いや朝かどうかは定かではないがとにかく起きたんだから朝なのではないかと予想を立てなければならないのは外が昼夜とわず薄暗いからであって、やはり太陽もなければ、起きるといつもの日常に戻っているわけでもない。
夢じゃないのか……………………
全く面倒だな、そもそもなんで俺なんだろうか?
まあ、どうせそのことを聞いてもよくわからない答えが返ってくることは目に見えていることであるので、聞く気にもならないんだが。
そうこう考えていると部屋の扉を叩くコンコンと軽い音が聞こえてきた。
「起きてるかい?朝だよ」
隆二だ。
「ああ……今起きたところだ」
「朝ごはんができてるからできるだけ早く来て」
「はいはい」
と朝ごはんができたらしい。
腹は確かに昨日の朝から何も食べていなかったので空気しか入っていない。
いや、正確に言えば夜は食べたんだが、コンビニのパンとかパンとかパンだったので、食べた気が全くしなかったからである。
しかし、たかが3年くらいで食事の内容が変わるわけでもないだろう。
たとえば、宇宙食とか。
久しぶりにまともな食事にありつける。
俺は昨日着ていた一着しかない服を洗濯をしてないので埃を払うかのようにパンパンと払いながら着て軽い足取りで階段を降りた。一着しかないというのは、急に連れて来られたから持ち合わせがないというわけだ。
リビングに入るとぷ〜といい匂いが漂って………ぇぇこない??
なんかコゲ臭い
その匂いは
正直誰が作っているのか気になるが、まあ食えりゃいい。
テーブルには6人分の料理が出されていた。トースト、ジャムとか簡単に言うと洋食か
と見た瞬間驚いた。
な、なんだ…これ⁉︎
トースト……と言っても炭だなこれ⁉︎
さっきの匂いはこれか!
俺はすぐさまテーブルでそのゴミを黙々と食べているクラウドに小声で話しかけた。
「な、なあクラウド、これだ……」
誰が、と聞こうとした瞬間俺は気付いた。
こ、こいつ無心だ⁉︎
クラウド……そこまでしないと食えないんなら食わなくてもいいんだ。いや今まで気づかれなかったのかもしれないが、見てると失礼だぞ。
クラウドはもういいや、そんなことよりこのゴミ……いやパンを誰が作ってるかの方が重要だ。
で、
キッチンに行くと…………なんと⁉︎
昨日の美少女…ユウナ。覚えておいた方がいい女子は覚えてるからな。一瞬で名前覚えてやったぜ!
しかし……いやいやいやこれはギャップ萌えだ!自分でも無理矢理だってことはわかってるが、俺にとってギャップ萌えなんだ!
そこで俺の頭にはすでに気の利いた言葉と俺の体調のための言葉があったので俺はユウナに話しかけた。
「なぁ、ユウナ」
「おはようございます。勇太さん、もうご飯できるので、席についていてください」
「そのご飯のことなんですが、交代しません?」
彼女はキョトンとした顔をしながら、
「なんぜですか?今まで私がやってきたんですよ?」
すかさず俺は彼女の疑問を和らげる答えを出す。
「いえいえ、俺がここにきて、何もしないのは悪いですから」
「そうですか、じゃあ昼からお願いします」
俺は盛大に頷いた後、仕方がないので、朝は我慢することにした。
結果、俺はお腹を壊すこととなった。
昼まで俺は何をしていればいいのかわからず部屋でゴロゴロしていると朝と同様、やわらかく扉を叩く音が聞こえてきた。
「勇太、これからタイムマシンの使い方教えるから出てきてくれ」
まあそんなこったろうと思ったよ。
俺は隆二と共に廊下を歩く隆二が前で俺が後ろ、俺がついて行く形となっている。
既視感
俺はいつの間にか、隆二の行動の捜索に出ていることに気づいた。
先週と言っても3年前だが、隆二の心を簡単に読むことができたのだが、今度はそううまくいかない。
なんてこった、俺も落ちぶれたもんだな。いや、隆二が変わったのだろうか。
そんなどうでもいいことを考えながら、着いた先は昨日のあの殺風景極まりない丘の上だった。
俺の集中力も中々のもんだ外に出たことすらというか、今外を歩いてること自体気づかなかった。
そこには昨日と全く変わらない状態で、例の機械があった。
「僕らはこれをタイムマシンと呼んでいる。勇太もそこら辺は理解できているようだから説明はいらないよね。ただ問題があってね」
「問題とは?」
「未来に行けないんだ」
「タイムスリップしかできないのか」
「正確に言うと、現在から未来には行けないけど、進み続ける現在には過去から戻ってこれるということ」
ややこしいな、図式で表すか
未来 × 現在 ⇄ 過去
こういうことだな
「そうそう」
「で、操作方法を教えてくれないか?」
「勇太、君は意外と欲張りでないんだね、それとも夢がないのかい?」
ひどいことを言うな、俺だって夢はあるさ、それなら謙虚と言って欲しいな
「ふふ、謙虚ね。
竹中とネットでなにしてたか僕は結構知ってるんだよ?」
「うっ……そんなことはどうでもいいから、早く教えてくれ」
隆二は、はいはいというような仕草をした後、軽やかにタイムマシンに乗り込んだ。俺も後ろからついていく。
隆二は俺を席に座らせると
「はい、赤がアクセル、青がブレーキね」
……………………………
沈黙………………
は?
「おいおい、真面目にやってくれ」
「僕は真面目にやってるさ」
「いや、車より簡単だろこれ」
「そうさ、後はそこのメーターを西暦と年月日を変更すればok」
「ひとつ聞いていいか?」
「なんなりと」
俺が気になったのはもっと別のことだ。
「燃料はなんだ?」
そう、外観から見るにガソリンを入れる場所や電気を送り込むためのコンセントも存在しなかった。
では、なにを?
「寿命さ」
俺は妙に理解力が早いことが自分でも怖いくらいだよ。
どうやって?とでも聞こうと思ったが、聞いてもしょうがないのでやめた。
「試しに行きたい場所はない?」
そうだな、戦国時代とか?
「それは名案だ!僕もちょっと行ってみたかったんだよ」
俺は時代メーターらしきものをクリクリといじくり、時代をとんだ。
運転している時は自分の心臓の音なので、眠たくはならなかった。
「着いたら、メーターが鳴るから、そこでブレーキをかけるといい」
そのまま30分か……
ハンドルはないし、アクセルを踏むだけで便利なんだが、席を動いてはいけないそうだ。
隆二が言うには、席から離れると時空の嵐に巻き込まれるらしい。
なんでそんな詳しいのか聞きたくなったが、聞いてもわからないのでやめた。
そんなこんなで、トイレにいる時みたいに暇な時間をボーと過ごしていた俺はメーターが鳴るのをきいて、ブレーキをかけた。
ガタンッ!
どうやら着いたらしい
「着いたのかい?」
隆二はどうやら寝ていたようだ。
みんな眠くなるんだな。
外に出るとまた殺風景な丘だ。少し土の匂いが香っている。
「おい、同じ場所だぞ!」
「いや、ここは戦国時代の江戸だ。無理もないまだここは誰も足を踏み入れようとしなかった。未開拓の土地なんだから」
未開拓の土地に用はないので、俺はそそくさとあの時代へと戻ろうとタイムマシンの中に入っていたが、隆二は何かしていたようだ。
改めて俺の寿命が縮んだと思うとなにか怖さを感じる。
その日はやることがそれだけだったらしく、昼ごはんを俺が作った後は、ゴロゴロしていた。
昼間っから昼寝して夜まで寝て、あーなんかすることもねぇし寝よ。
とか思って倒れこむように寝た。
ということで、俺は昼間っから明日の朝まで寝ていた。




