世界滅亡宣言 ー後編ー
暑い……ん?ふと見るとそこは嵐でも通ったかのような風景だった。
いや、まだ残っているビルやマンションは次々と降下してくる隕石によって破壊され尽くしている。
向こうの方では竜巻だろう、数十個はある渦があちらこちらと天から地面にまっすぐ伸びているがわかる。
それにさっきからの異常な暑さと湿気、これは地球温暖化が最高地点に達したような感じがする。
とにもかくにも今俺が見ているのは地球なのだろうかと疑う風景だ。
俺の頭の中にあったのは一つの言葉だった。
せめてあの7日間を充実させたかった
俺は死ぬとわかりながらも逃げ惑う。
死にたくないからだ。
「お、おいありゃなんだ⁉︎」
どこの誰かは知らないが声をあげて叫んだ。
その声に答えるかのように俺は空を見上げる。
空は太陽が隠され暗闇の中だ。いやよく見ろ、空中に地球以上あるのではないかと思うぐらいの隕石だ。
俺の真上にそれはもう迫っている。
もうダメだ‼︎
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
とそこで、起きた。
「って、痛ぇぇ」
夢かよ⁉︎
どうやら俺は先程の夢を見ながらベットの上で暴れまわり落ちたようだ。
俺は針が8時ぴったしを指す時計へと目を向けた。
ああ、朝…………か
俺はベットから落ちたのが丸わかりな手を付かないで逆立ちしているような状態でいたので、そこから立ち上がり、カーテンを開け思いに耽る。
あいつはどこ行った?
昨夜、俺の部屋に来た妹はベットの上にはいなかった。
俺は特に会う気は無いが妹を探すべくそこから起き上がり、人生最後の日ぐらいちゃんと朝ごはん作るかなどと考えながら俺はリビングへと向かった。
そして、二階からおりてくると寝ぼけ眼だった俺を一瞬にして目覚めさせた光景が目の前にあった。
「え⁉︎……………っと……⁉︎」
俺は動揺を隠せない
なんだ⁉︎一体……なにがあったんだ⁉︎
なんとリビングや台所は泥棒が入ったかのように荒らされていた。
しかし、ここらに金などはない、何せ常に俺が持っているからだ。
まあ、泥棒が入ろうが入らまいが、今日は死ぬんだし、関係ないか・・・
っと、そうだ朝ごはん
俺は今日が人生最後になるであろう、朝ごはんを超日本風の献立、味噌汁、ご飯、納豆やら鮭やらにしてそれがリビングのテーブルの一部を埋めた。
さみしいな……昨日の方がまだよかった。
俺はご飯を食べながらも妹の消息を追った。
が、どうも家にいないようなので、俺は探すのをやめた。
もともとそんな用事があるというわけでもなかったし
朝食を全てたいらげた俺は食器を水道水につけて洗わないまま、ソファーに寝っ転がった。
なんとなしにテレビをつけてなんかやってないかなーなんて思いテレビの前のリモコンを取った瞬間、そのリモコンの下にあったものに目が行った。
そこにあったのは一枚の封筒…いや手紙か?
見たことないものだな。
いや………これ何処かで見たような気がしなく…………しないな、うん
どっかで見たという選択肢を打ち消して、俺のところに届いた手紙をそのまま放置しておくわけにもいかず俺はその手紙の封を無造作にバリバリと引き裂いて中から手紙を取り出した。
遠方の母からの手紙だ。
うっかりしてたな、妹は元気だってこと知らせようとしてそのままだった。
まあ今更出したって遅いから後悔しても仕方ない、だがこちらとしてもそんなに長く妹を預かっておくわけにもいかないんだが、いやもういい、全てにおいて遅かった。
そうしよう、いちいち言うのがめんどくさくなってきた。
で、だ、内容は以下の通りである
勇太へ
先日お送りした手紙は見ていただけたでしょうか?
その手紙の内容が少し変更になりまして、娘はもう少しこちらに置くことになりました。
ちょっとした風邪にかかってしまっただけなのですぐに行けると思います。
それではその時また手紙をお送りします。
な、なんだって⁉︎
俺の頭の上には今きっとハテナマークがキュルンとかいいながら俺の俺による妄想で浮かんでいるだろう。
薄々は気づいていたが………っとどうすりゃいいんだ……とそこで偶然とは言い難いタイミングであいつが帰ってきたようだ。
「ただいまー、あ、おはようお兄ちゃん」
どどど、どうする俺⁉︎
人間その人物が自分の思っていた人物とは全く異なる人物だった時の反応はいつでも動揺するものだ。
「きょ、今日は天気がいいなー」
うぉ⁉︎
やべーよ
さっき自分で外見ただろ⁉︎
今日は大雨だよ!
しかし、そこでこいつから思わぬ反応が返ってきた。
「そうだね、じゃあ今起きたんだ」
ふぇ⁉︎
俺は騒がしく窓の方へとかけて行き閉まっていたカーテンを思い切り開けた。
そこにはほんの数十分前に見た光景とは全く違う雲ひとつない青空が広がっていた。
あ、れ?
おかしい……これは完全なる異常気象だ。
今までの人生でこんなことはなかった。
これはまずい!
俺はそう悟ったせいか、つい焦ってしまった。
「な、………なあ」
「なに?」
俺は勇気を振り絞って聞いた
いや、焦ったからかそこまでの勇気は必要なかったかも、しかしもう遅い
「お前は誰だ?」
少なくとも妹ではない。
なにせまだ母親の元を離れてないとさっき書いてあったからだ。
「なに言ってるのあたしはおに…」
そこまで言うとこいつは口を開けたまま一点を見つめ目を丸くして動揺し出した。
その目線の先にあったのは先程の母からの手紙だった。
「な、なんでそれがここに⁉︎」
こいつの顔には今の天気とは真逆でさっきまで晴れ晴れとしていたのが一転して真っ黒な雲で覆ったような顔になった。
「お、お兄ちゃん、それどこにあったの?」
こいつはまだ妹ブルつもりなのだろうか、いや実は本当に妹なのかもしれない。
「テレビのリモコンの下……そんなことよりお前は誰だ!」
「あたしはお兄ちゃんの妹だよ」
「嘘つけ!だいたいおかしいと思ってたんだ、俺と身長変わらない…というか、俺と同学年って気がするぞ!」
「お、お兄ちゃん、落ち着いて、そうなる運命なんだよ!」
「はっ?」
しかし、そこで状況が一転した。
地震だ‼︎
とてつもなく大きい。
俺は怖くなったので、すぐさま外に出る。
良い子は真似しちゃダメだよ
俺は心の中ではわかっていたさ
そう、外は……夢とまったく同じ風景が広がっていた。
実際見てみるとやはりひどいものだ。
俺は夢の続きを辿りながら次にどんな行動を取ればいいか把握しているのでそれに従う。
夢の影響でついつぶやく
「せめて、あの7日間を充実させたかった」
やっぱり正夢ってマジであるんだなーなんて考えている場合ではない。
すると、誰かが、
「お、おいありゃなんだ⁉︎」
夢の中で聞いたセリフだ。
とすると、俺の次に取る行動は空を見上げる。
目の前に広がるのは暗闇に包まれた、空だった。
太陽を目で探すもどこにも見当たらない。
いや、やはり超巨大隕石だ!
俺の目の前にはもう超巨大隕石が迫っている。
俺は腰が抜けて、もうその場から一歩も動くことができない。
しかし、そこでものすごい頭痛が走る。
「う、うぅ」
だが、すぐに頭痛は消え失せた。
「お兄ちゃん!」
あいつだ!
さっきまで後ろにいたのになぜ前にいるんだ⁉︎
「あたしと一緒に行こう!」
あいつは何を言ってるんだ?
行くだと?
どこに?
もう逃げ場などないのだ。
そして、またあの頭痛だ!
しかし、今度は一瞬だった。
だが、今度は俺も驚いた。
急に目の前に何かが現れたのだ!
驚くのも無理はない
なんだろう、形は丸い、ものすごく機械じみている。
それに目をやっていると後ろの方で偽妹が何か言っているのが聞こえてくる。
「あーこんな時に出て来るなんて」
いつもとは全く違う焦った声だ。
振り返ると偽妹は竜巻の起こした暴風で足が前に進まないようだ。
何の話だ?
いや、その前になんで今度は後ろにいるんだ?
と思考を巡らせていると中から人が出てきた。
なんだこのドラゴ○ボール的展開
俺と同い年ぐらいの男だ、顔はどうもイケメンだ、服は全身真っ白でタキシードのような服装だ。
「迎えに来たぜ!」
青年の声はどうも威勢がいいのでこの場の空気には合わない。
「お前は誰だ!」
急に出てきたやつを咄嗟に対処できるのは俺のいいところだと思っている。
なので、俺は律儀かどうかわわからないが、咄嗟に名前を聞いた
「俺の名前はクラウド」
なんだ外国人か?
それにしても日本時風の外国人だな
「言っとくが、外国人じゃないぜ」
俺の思考を読んだのかはさて置き、こいつはどっから来たんだ?
「お兄ちゃん!それに乗っちゃだめだよ!」
後ろではあいつの声
「お前はすっこんでろ!」
青年はそれを怒鳴るような口調で言った。
知り合いなのか?
いや、もう考えてる暇はない
「わかった…………………行こう」
俺は誘拐の基本原則を無視してよくわからないものに乗ることにした。
よくわからん偽妹には命を委ねられん
向こうの方では偽妹が泣き喚いているのが聞こえる。
「お兄ちゃーん‼︎」
俺は壊れゆく世界を背に真っ白い球体の機械に乗り込んだ。
乗り込み終えた俺を見た青年は一つ頷き、この機械を始動させたのだった。




