表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】飛べない魔女と古ぼけたほうき  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/30

おまけ短編8 報告書に書けない飛行

「風上から、巨大樹に向けて、流されてみるのはどうだ?」


「狙ったところに、降りられるわけないだろう」


「だよなぁ……」


 ここは風が強すぎる。

 話し合うにも、大きな声を出さないと難しい。

 仲間たちの声も、だんだんかれてきた。


 もう、考えられる案も出し尽くした。

 思いつく案は、すべて試した。


 残念ながら、すべて失敗に終わった。


 私たちは魔法師団だ。

 この国で、最も高く、空を飛べる者たち。


 それなのに――

 誰一人、あの子を助けられない。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 そんな時、その横を何かが通り過ぎた。


 それは――


 強風の中を、一人の少女が飛んでいく。


 低空で。

 2本のほうきを操りながら。


 いつの間にか、

 全員が彼女の飛行に目を奪われていた。


 悔しかった。


 あれほど見事な飛行を目の前で見せられて、

 理解すらできなかったのだから。


 その少女は巨大樹の元までたどり着いた。


 本当なら、援護に向かうべきだった。


 だが、彼女なら助けてしまう気がした。


 どうしても、その飛び方の先を見届けたかった。

 目を離せなかった。


 今度は、巨大樹の幹を昇り始めた。

 垂直に。


 そんな事をしたら、落ちると思った。

 でも、落ちない。


 とことん常識を裏切ってくれる。


 巨大樹の幹を降り始めた。

 垂直に。


「この国の魔法の頂点」などと呼ばれていたのが、恥ずかしい。


 彼女たちが無事に地上へ降り立った瞬間、

 私たちは全力で彼女たちの元へ走った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 出動を終えて報告書を書いたが、酷い報告書になった。


「正体不明」という言葉があちこちに並ぶ。


 この報告書を呼んで、何が起こったのか、理解できる者はいないだろう。

 けれど、私たちも理解できていない。これ以上、書きようがない。


 団員たちは、彼女たちの再現を試みた。

 誰ひとり成功しなかった。

 見ただけではダメだ。直接聞かねば……。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 やがて、彼女たちが魔法学校に通っていることが分かった。


 しかし――


「Gクラス?」

 ありえない。


 彼女たちは、私たちでは、実現不可能なことを成し遂げた。


 なのに――


「Gクラス?」

 ……どういうこと?



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


「……で、やってきた訳か、レオン」


「はぁ、お久しぶりです。ブレンダ先生」


「今度は、どんな厄介事だ?」


「厄介事だなんて、そんな?」


「お前は、厄介事しかもって来ないんだが……」


「そちらの生徒さんに、教えを乞いたいな……と」


「は?」


「自分で何を言ってるか、わかってるのか」


「はぁ……」


「まったく……。普通の方法じゃ、ダメだぞ」


「さすが先生。話が早い。

 で、どうやればいいです?」


「また、まるなげか……」


「はは……」


「いいか、お前たちが教師としてこの学校に来い」


「え?」


「お前たちが指導する体で聞け」


「え~と……」


「こうするには、どうすればいいと思いますか、〇〇さん。

 みたいな感じだ……」


「ほうほう……」


「なんなら、手本も見せてもらえ」


「うんうん……」


「分かりました。

 それでいきましょう。

 明日から」


「おい、ちょっと待て。いきなりすぎないか?」


「これでもうちは、この国で一番の権限を持っていますから」


 こうして私たち魔法師団は、彼女たちに指導をもらうことになった。


 この時の私は、飛行魔法を教わるだけだと思っていた。

 とんでもない勘違いだった。

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも楽しんでいただけましたら、

【ブックマーク】や【ポイント】で、

 応援いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ