おまけ短編7 渡したくない贈り物
「なかなか見つからないなぁ……」
私の前で、1人の少女が悩んでいた。
お付きの人たちは、彼女が買ったと思われるほうきを何本も抱えていた。
それらには、共通点があった。
どれも古そうな外見をしていた。生まれて50年くらいのほうきたちだ。
アンティークなほうきがお好きかな? それなら、私がおすすめだ。
これでも、300年は生きてるからね。
私は、彼女に歩み寄ってみた。
ふと、彼女の視線が、私に向いた。
「あ!!」
彼女が思わず声を出した。
「似てる!」
誰に?
「うん、似てる!」
だから誰に……? まぁ、いいか。
私は、今、相棒が欲しいんだ。
一緒にいてくれるなら、良しとしよう。
彼女たちは、私を扱う店主と話し始めた。
ここの店主は結構強欲な人で、値段を吹っかけているようだ。
「そんなに!! でも……」
どうしても、私を買いたいらしい。
とはいえ、私にできることなどない……。
いや?、あるか……。
私は風を起こし、
店主が私を買った時の証書を、彼女たちの前にポトリと落としてみせた。
その証書には写真まで付いていた。言い訳できまい……。
「買い値は、ずいぶん安かったんですね……」
「あ、いえ、その……」
結局、店主は値段を吹っかけることもできず、
おおむね正規の値段で、買ってもらえることになった。
彼女は私をお付きに預けず、自分で抱えて帰った。
気に入ってくれたかな……?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
彼女の家に帰ると、彼女には、既に相棒がいた。
おぉぅ……。
私は予備ってことか?
でも、何やら、私をラッピングし始めた。
えーと、私は贈り物になるんですか?
予備ですらないと……;
はぁ……。
とても相性がいい気がしたんだけどなぁ。
ラッピングを邪魔して、寄り添ってみる。
彼女も、何か感じるものがあったようだ。
ほらね? ほらね??
彼女の相棒のほうきに、ものすごく睨まれた。
彼女は、すごく悩んでいた。
どうやら、私を手放したくない気になったかな?
「あのね……、
私の親友が、あなたに似た子を相棒にしていたんだけど
壊れてしまって、失意の中にいるの……
だから、彼女を支えてあげてほしいの……」
ほうきに、話しかける人は、珍しい。
220年ぶりくらいか?
まぁ、この子がそうまで言うのなら……
相手の子の力になってやろうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
贈られる当日、彼女は、その子の前にいる。
その子には……もう相棒がいるじゃん……。
あぁ、もう、また予備ですか……。
彼女は言う。
「この子、本当は渡したくないの」
「……どうしても、使って欲しかったから」
ん~~、しょうがないなぁ。
私は名残惜しくて彼女に体を寄せた。
それでも、ゆっくりと贈られる相手の方へ近づいていった。
「ありがとう。大切にするね」
そう言って私を受け取った。
やがて、こう言ってくれた。
「もし帰りたくなったら、リノアの元へ返してあげるからね」
そう言われて、私は思った。
帰る場所が2つあるというのも、悪くない。
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