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【本編完結】飛べない魔女と古ぼけたほうき  作者: 秋月心文


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おまけ短編2 竜喰いの裂け目の独白

 私は《竜喰いの裂け目》と呼ばれているらしい。


 失礼な。まるで地面の一部のようではないか?

 私はちゃんと生きているというのに……。


 連中の「言葉」は私にも分かるが、彼らと会話をしようとは思わない。

 だって彼らは、私の食料なのだから……。


 これから食べる者と意思疎通する必要など感じられない。


 ただ、動き回るのがおっくうなので、同じ場所にとどまっている。


 お腹が空いたら、魔力を摂取するために周囲の生き物を食べる。

 この辺は食べ物が豊富だ。


 大きく息を吸い込むだけで、勝手に口の中へ入ってくれる。

 動く必要がないのだ。


 楽に生きられるのは最高だ。


 食べる。

 寝る。


 それの繰り返しだ。


 退屈ではないのかって?


 そんなことはない。

 私は食べた者たちの経験や記憶も、一緒に食べている。


 先日食べた竜は、空を飛んでいた。

 雲の上は美しかった。

 私には行けない場所だ。

 だが、その記憶を食べれば、体験できる。



 こういうのを何年も、何十年もかけてゆっくり咀嚼する。

 ゆっくり、味わっているのだ。


 こうして私は、外の世界を知る。


 空を飛び、

 海を泳ぎ、

 山を越える。


 一歩も動くことなく。


 とても楽しい……。



 そういえば先日、妙なのがいた。

 私の息に逆らい、降りてきたのだ。

 あれは驚いた。


 でも、おいしくなさそうだった。

 なぜだろう。



 あぁ、またお腹が空いてきた。

 今度は、どんな人生が味わえるだろう。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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