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【本編完結】飛べない魔女と古ぼけたほうき  作者: 秋月心文


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おまけ短編1 デュランダルの想い

 私の名前は、デュランダル。

 最初の相棒が、そう名付けてくれた。

 この世界では「ほうき」と呼ばれている存在だ。


 生まれたのは、およそ1500年前。

 だが、人間の寿命は短い。


 私は相棒の弟子へ、そのまた弟子へと受け継がれてきた。

 けれど、最初の相棒ほど相性の良い者はいなかった。


 相棒が習得した魔法は、私たちほうきにも共有される。

 覚えた魔法は数知れない。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 ミーヤが相棒だった頃、私はその弟子セレスティナに受け継がれた。


 しかし、セレスティナとの相性は最悪だった。

 たぶん、歴代の相棒の中で一番だ。


 結局、セレスティナは別のほうきを相棒に選んだ。


 このまま私は、セレスティナの弟子へ受け継がれていくのだろう。


 ……そう思っていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 セレスティナには孫ができた。

 名を、ノエルという。


 不思議な子だった。


 普通の魔女は、一人につき一本のほうきしか使えない。


 なのに、この子は子どもの頃から、何本ものほうきと遊んでいた。


 なんだ、この子は……!?


 私は歴代の魔女の相棒を務めてきたが、こんな子は初めてだ。


 私は、その子に近づいてみた。


 その子は抵抗なく私を受け入れ、ほかのほうきたちと一緒に遊んでくれた。


 遊んでみて分かった。


 この子との相性はバツグンだ。


 たぶん、最初の相棒以上に。


 だが、この子と遊んでいた他のほうきたちも、同じように感じているらしかった。


 どうやら、この子には「ほうきたらし」の才能があるらしい。


 ある日、セレスティナがこの子に一本だけほうきを譲ると言い出した。


 ノエルが庭へ現れると、みんな競うように近寄った。

 私も負けじと柄を揺らす。


 まったく、あいつらも必死だった。


 負けるものか。


 私は精一杯、ノエルへアピールした。


 結果、ノエルは私を選んでくれた。


 うれしかった。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 ノエルは間違った飛び方で空を飛ぼうとしていた。


 もっと楽に飛べる。

 もっと遠くへ行ける。


 私は、その方法を知っていた。


 けれど、今の私には伝えられない。


 この子は、いつも高い空へ向かおうとする。


 違う。

 そうじゃない。


 私は何度もそう思った。


 この子がまだ知らない飛び方を私は知っている。


 けれど、今の私には伝えられない。


 いつか。


 この子が私の声を聞けるようになったら。


 その時は、全部伝えよう。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 校外実習で、私の依り代は力尽き、壊れてしまった。


 ほうきは依り代が壊れると、新たな依り代へ生まれ変わる運命にある。


 できるなら、ノエルの助けになれるよう、体内魔力の高い個体に生まれ変わりたい。


 私は数々の工房を巡り、ようやく求める個体を見つけた。


 その工房の主は、木霊族のコーダという男だった。


 木霊族は、ほうきの声を直接聞くことができる。


 私は彼に願った。


――魔法学校のノエル・アストレアに、自分を渡して!!――


 コーダは私の願いを叶えるため、あちこち奔走してくれた。


 おかげで私は再びノエルの元へ戻ることができた。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ノエルは、まだ気づいていない。


 私が誰なのか。


 それでもいい。


 また隣にいられるなら。


 私にとってノエルは生涯で唯一無二の相棒なのだから。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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