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飛べない魔女と古ぼけたほうき  作者: 秋月心文


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魔法学校

 私はノエル・アストレア。

 おばあちゃんみたいな魔法使いになるのが夢です。


 濃赤のブレザー制服が印象的な魔法学校に通っています。


 魔法使いになるには、「空を飛ぶ」ことが必須とされています。

 けれど、私は「空を飛ぶ」ことがとても苦手です。


 数センチ浮くのがやっとです。

 それ以上飛ぼうとすると、毎回落ちてしまいます。


 この課題を習得できないと、

 他の魔法は教えてもらえません。



 魔法学校に学年はなく、

 入学した全員がGクラスから始まります。


 校外実習に合格すれば昇格。

 Aクラスの課題を突破した者だけが卒業できます。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 そんな私の相棒は、ボロボロの古い魔法のほうき。

 子供の頃、おばあちゃんにもらった大切なほうきです。


 おばあちゃんは、私の憧れでした。

 でも、そのおばあちゃんは、もういません。


 古いほうきは、とても飛びにくいそうです。


 だけど私は、このほうき以外を使う気になれませんでした。

 

 子供の頃から、ずっとこのコと一緒に過ごしてきたんだもの。



 私はよくこのコに話しかけていた。


 もちろん返事はない。


 だからクラスメイトには変な子だと思われている。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 入学して最初の「校外実習」の日が近づいてきました。


 魔法学校では、

 年に数回、校舎の敷地外で「校外実習」が行われます。

 教室の中だけでは学べない、実践形式の授業です。


 Gクラスの私たちの課題は、ただ一つ。

 飛ぶこと。


 「飛行魔法」で山頂に咲く「夜光草」を採取。

 採取後、6時間光っている間に戻れば課題クリア。



 この辺りの魔物は、ほとんど空を飛べません。

 飛べさえすれば、安全な実習です。


 途中で遭遇する魔物を飛んで回避できるかが問われます。

 まともに飛べなければ、生死を懸ける地獄の実習になる。


 「飛行魔法」を扱えないと、他の魔法は教えてもらえません。

 私たちは、飛ぶ以外の身の守り方を教わっていません。


 実習に挑むか、ギブアップするかは、各自の判断に委ねられています。


 ギブアップすれば、「魔法使い」の夢が遠のく。

 だから私は、危険を承知でこの実習への参加を志願していました。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 この実習は2人1組が原則です。

 誰かパートナーを探す必要があります。


 けれど


 クラスのみんなはろくに飛べない私のことをあざ笑っていた。


「その前に、ほうき新調したら? そんなにお金ないの?」


「いつもほうきと話してる変な子とは組めないわ」


「飛べもしない子とは、組めないって……」 


「いっつも落ちてるくせに何言ってるの?」


「ギブアップしたら?」


「10年後に出直して来たら?」


 結局、誰も私と組んでくれません。


 ろくに飛べない私と組むと、魔物に絡まれる可能性が高い。


 どうしよう……。


 私は途方に暮れていました。


 教室を見回す。


 みんなもう相手を見つけていた。

 取り残されているのは、私だけだった。

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※※ 次回 6/21 19:00 公開 ※※

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