表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】飛べない魔女と古ぼけたほうき  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/30

届かない空

「そんな……」


 魔導ビジョンが、親友リノアの危機を伝えていた。

 彼女の胸元には、幼い子ども。


 彼女がいる場所は、巨大樹の頂上。


 レンジャーたちは救助へ向かった。


 けれど、巨大樹が傾き始める。


 救助は中止された。



 魔導ビジョンが、刻一刻、状況を伝えている。


――魔法師団の方々が、巨大樹の根元に到達しました!!――


――これなら助かるでしょう!!――


――あぁ!! しかし届きません!!――


――これ以上、高く飛べないようです!――



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 本当に? 


 私の元にあのコがいれば、

 助けに行ける!


 だけど、今、私の元には、あのコはいない!


 そんなことを考えてしまった自分が嫌だった。


 もう飛ばないと、決めたのは、自分なのに。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 手元で新しいほうきが、トントンと私を叩く。


 慰めてくれているのだろう。やさしいコだ。


 私は、ほうきに言う。

「ありがとう。あなたは、やさしいね」



 リノアにもらったほうきが、私の服を何度も引っ張っている。


 まるで……

「早く行こう」と言うみたいに。



 魔法学校は辞めた。


 あのコが壊れてから、空を飛ぶのもやめた。


 だから――


 今さら、こんなことを考える資格なんてない。



「リノア……」


 私は魔導ビジョンに映る親友の姿を見守っていた。


 お願い!

 誰か!

 誰か、彼女を助けて!!


 私にできることは、もう祈ることだけだ。

 とても、もどかしい。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ふいに新しいほうきが私の足元へ潜り込み、

 気づけば私はその上にまたがっていた。


 飛ぼうとしている。


 誰も、このコに飛び方なんて教えていないのに……


「え?」


 思わず、声が出た。


 フワッと体が浮いた。


 その瞬間。


 あのコ特有のクセが現れた。


 私は知っている。


 誰よりも知っている。


 間違えるはずがない。


「あぁ……」


 思わず涙がこぼれた。


「そうだったんだね」



 こんなに近くに、いてくれたのに、気づかなかったなんて……


 私の気持ちを察したのか、

 ほうきがぷるる……と震えて応えてくれる。


「そうだね。行こう!」


「ありがとう。もう大丈夫!」


 私はリノアにもらったほうきも引き寄せ、

 2本のほうきにまたがった。


 ほうきは、1人乗りだ。

 彼女を助けるには、もう1本のほうきが必要だ。


 新しいほうきに声をかける。


「このコに、飛び方を教えてあげて!」


 今度はリノアにもらったほうきにも声をかける。


「お願い……このコの飛び方を、覚えて!」


 リノアにもらったほうきも、何かを理解したように震えた。


 私たちの飛び方は、ちょっと特殊だ。


 このほうきにも「それ」を覚えてもらう必要がある。


 2本のほうきは、互いにぷるる……と震え、応えてくれる。


「ありがとう」


「それじゃ、行こうか!」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 私が飛び出そうとした時だった。


「行ってこい」


 喫茶店主のグレンさんは、それだけ言った。


 止めようとはしなかった。


 まるで、飛べることを知っていたみたいに。



 私は、2本のほうきで、リノアのいる方へ飛び出した。


 今度こそ。


 今度こそ、間に合わせる。

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも続きが気になったら、

【ブックマーク】や【ポイント】で、

 応援いただけるとうれしいです。


 今後の執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ