第8話 マジかよW 『謎の物体Xサイコロ』のめちゃめちゃ展開①
二人は、再び無言で歩く。
無数の人間の死体が転がり、車などの乗り物類は、すべて大破して瓦礫と化していた。
「車があれば移動が楽なのに……」
サトシは残念そうに言った。
「喋ると余計に疲れる。黙ったまま歩いた方がいい」
アミムラは注意する。
「そうだな。もうちょっと歩いたら休まないか?」
サトシは言った。
「うん。そうね」
アミムラはうなずく。
2人はもう少し歩き、やがて立ち止まる。
上空に『謎の物体X』である『超巨大サイコロ』が、浮かび始めていたからである!!
「なっ、なんだ? あいつ、空まで飛べるのか!? 一体何をするつもりだ?」
サトシは言い知れぬ恐怖感を感じた。
「嫌な予感がする。気をつけて」
アミムラは警戒する。
まるでスゴロクでサイコロを振るみたいに、『超巨大サイコロ』が、上空から地上に転がり始める!!
バキバキバキバキバキと崩壊したビルなどの建物をさらに粉々にしていき、やがて『超巨大サイコロ』が止まった。
『超巨大サイコロ』の出目(上になった面)は、『2』であった!!
多数の爆発の煙などで、すっかり黒くなった空から、雷鳴がとどろき始める!!
ドカァァァァァァァァァン!!
崩壊した建物の瓦礫が粉々に吹き飛んでいく!!
これを皮切りに、黒い空から強烈な雷が次から次からへと、あちこちに落雷する!!
ドカァァァァァァァァァン!!
ドカァァァァァァァァァン!!
ドカァァァァァァァァァン!!
あちこちに雷鳴が響き渡る!!
「おいおい、冗談だろ!?」
サトシは呆気に取られる。
「そうか。自分の意志でサイコロを振って、サイコロの出目で攻撃が変わるのね」
アミムラは淡々と解説した。
雷と伴って激しい雨が地上に降り注ぐ!!
「勘弁してくれよ」
サトシは、雨に打たれながら弱々しく言った。
「まいったわ。着替えの服、探さないと」
アミムラは、雨に打たれながら淡々と言った。
「なに呑気なこと言ってるんだ。どうすりゃいいんだよ」
サトシは困惑する。
「どうしようもない。あんなにあちこちに雷が落ちたら、どこに逃げても同じ。建物や車の中に避難したくてもできない。そのような物体は瓦礫になってるか、粉々に吹き飛んでる」
アミムラは淡々と言った。
「じゃあ、このまま雷に当たれっていうのかよ」
サトシは言った。
「雷に当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。確率と運の問題。この攻撃は、最初のレーザー光線よりマシかもしれない。普通は雷が落ちて直撃する確率は、100万分の1。極端に低い。この状況だともっと上がるかもしれないけど」
アミムラは淡々と言った。
「そういうことなら、このまま2人一緒にいて雷に当たるよりも、別々に距離を取って離れた方がいいな。どちらかは、当たらないで助かるかも」
サトシは言った。
「うん。そうね」
アミムラはうなずく。
サトシとアミムラは、離れて距離を取る。
その時!!
強烈な雷がサトシの頭上に落下する!!
バりバリバリバリバリバリバリッ!!
サトシの体が青白色に発光する!!
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
サトシの断末魔の叫びのような声が響き渡る!!
冷静沈着なアミムラもこれには驚き、
「サトシ!! 嘘でしょ!?」
と、いう声を上げた。
サトシは、地面に倒れて動かなくなる。
アミムラは、上空を見上げて雷に注意しながらサトシに近づく。
バりバリバリバリバリバリバリッ!!
至近距離で再び強烈な雷が落ちる!!
「キャァッ!!」
アミムラは衝撃で吹き飛び悲鳴を上げる。
アミムラは、服が破けて肌が露出し、腕、体、足に重度の火傷を負う。
「痛い……やっぱり人間の体はモロイ」
アミムラは立ち上がる。
上空を見上げて、3発目の落雷に警戒にしながら、倒れているサトシに近づく。
今度は、倒れているサトシの元にちゃんと辿り着けた。
サトシは倒れて動かないままだ。
サトシの服やズボンは、ビりビりに破けており、雷の火傷で、体がドス黒く変貌している。
アミムラはひざまずいて、サトシの体の心臓部分に耳を当てる。
…………………。
心臓が止まっている。
アミムラは、すぐに『心肺蘇生』を行う。
胸の真ん中をテンポ良く30回強く押し、人工呼吸を2回する。
それを繰り返すこと5分。
「ゲホッゲホッ」
サトシは呼吸を始める。
アミムラは、疲れた様子で「ふぅーっ」と息を吐く。
「お、俺、まだ……生きてる?」
サトシは口を開いた。
「ええ。『守護のタオル』の力なのか、それとも本当に不死身なのかもね」
アミムラは言った。
「……不死身? そんなわけあるか」
サトシは苦笑する。
アミムラはクスックスッと笑った。
サトシは、アミムラに肩を借りながら、ヨロヨロと立ち上がる。
「あのサイコロ、どういうタイミングで出目を変えるんだろう?」
サトシは不思議そうに言った。
「わからない。特に規則性はなさそうだけど」
アミムラは言った。
サトシはアミムラを見る。
アミムラは、服が破けて肌が露出し、重度の火傷痕がついていた。
「怪我ひどそうだな。大丈夫か?」
サトシは心配そうに聞く。
「大丈夫。大したことない。サトシ、あなたの方こそ大丈夫なの?」
アミムラは言った。
「正直もうボロボロだけど、アミムラの傷痕とか見てると弱音は吐けない」
サトシは言った。
「どうして?」
アミムラは聞く。
サトシは恥ずかしそうに、
「男だからさ。女のアミムラが大したことない、大丈夫とか言ってるのに、男の俺が弱音を吐いたらカッコ悪いだろ」
と、答えた。
「ふ~ん……人間って、カッコいいとかカッコ悪いとか、変なこと気にするのね」
アミムラは淡々と言った。
再び、上空に『超巨大サイコロ』が浮かび始める!!
「雷は終わりか。で、また出目が変わるのか」
サトシの心は、緊張と不安が入り混じった状態になる。
「このままの方が良かったかも。もっときつい攻撃がくるかもしれない」
アミムラは不安そうに言った。




