第7話 マジかよW サトシと第3の天使アミムラ
サトシは、ハッとして目を覚ます。
あれ? 生きてる!?
どういうことだ?
状況は同じで、変わってない。
周囲は、火の海と黒い煙。
大破して潰れた車がたくさん転がってる。
車だけじゃない。
人間の死体も無数に転がってる。
黒い煙で、目の充血が激しくて痛い。
鼻の感覚は麻痺して、鼻血も流れ出たままだ。
耳は、左が潰れたままで、右からは出血。
体は、熱くてたまらないし、汗でびっしょりだ。
体中、火傷の損傷がひどく、傷だらけで血だらけ。
背中は、標識に激突して激痛が走ってる。
両腕には、ガラスの破片が突き刺さってる。
頭は、出血がひどく、髪の毛は燃えてしまって薄くなった。
「目が覚めたんなら、早く全部脱いで」
女の声が聞こえる。
サトシは、ゆっくりと起き上がって、女を見る。
10代後半ぐらい。
身長は165センチぐらい。
青色のショートヘア。
華奢な体。
胸はCカップ。
水色の花柄模様のワンピース。
片手には、服などの着替えが入ったビニール袋を、ぶら下げている。
サトシは言われるままに、燃えている服、ズボン、パンツを脱ぐ。
サトシは全裸になった。
傷だらけ、血だらけ、さらに火傷の痕が目立つ。
多量の汗が止まらなく噴き出ている。
全裸のサトシを見ても、青い髪の女は動じる様子もない。
「とりあえず、ここから離れましょう。これ、着て」
青い髪の女は淡々と言って、ビニール袋をサトシに渡す。
サトシは、ビニール袋から服やズボンなどを取り出す。
サトシは、ゆっくりと着たり履いたりする。
上は、白のTシャツ、その上に緑色のジャージ。
下は、緑色のジャージのズボン。
ラフな格好である。
「まだ、歩ける?」
青い髪の女は聞く。
サトシはゆっくりと呼吸を整えて、
「なんとか」
と、声を絞り出す。
「肩、貸しましょうか?」
青い髪の女は聞く。
「いや、大丈夫」
サトシは遠慮しようとするが、両足に激痛が走り、
「うぐっ」
と、苦痛の表情を浮かべる。
青い髪の女は、サトシの両足を見て、
「両足とも骨が折れてる。肩、貸します」
と、言って、強引に肩を貸す。
サトシは、
「ありがとう」
と、言って、青い髪の女の肩を借りる。
2人はこの場を離れる。
そのまま無言で歩くこと10分。
粉々に破壊されて、瓦礫の山と化した『駅前広場』に着く。
「少し休みましょう」
青い髪の女は言った。
サトシは、ぐったりして地面に座り込む。
青い髪の女は、転がっている無数の人間の死体を見る。
「『謎の物体X』は無差別に攻撃してる。この街に安全な場所なんてない。そうなるとー」
青い髪の女は、独り言のように呟く。
サトシは、呼吸を落ち着かせて、
「あの……ちょっといいか?」
と、口を開く。
「なに?」
青い髪の女はサトシを見る。
「とりあえず、自己紹介しないか?」
サトシは言った。
「そんなのんびり会話してる時間なんてない、でも、コミュニケーションも必要か」
青い髪の女はそう言って、サトシの横に座る。
「じゃあ、俺から。俺はサトシ。高校生でー」
サトシは自己紹介を始めようとするが、
「もう知ってる。見てたから」
と、青い髪の女がさえぎる。
「えっ!? 見てた? どういうこと?」
サトシは不思議そうに聞く。
「上から見てた。オルーレとのやり取りも、アマンダーが生み出した『謎の物体X』も、ここまでの話の過程は全部知ってる」
青い髪の女は淡々と答えた。
サトシは驚きながら、
「もしかして、おまえも人間に化けた天使なのか?」
と、聞く。
「そう。私はアミムラ。私もオルーレやアマンダーのように、あなたの人生をおもしろくするために降りてきた」
青い髪の女は淡々と答える。
「それなら、『なんでもできる力』を使って、『謎の物体X』を消し去ってくれよ。あと、死んでいるんだったら、親を生き返してくれ。それからー」
サトシは頼み込む。
「それは無理。今日1日は、オルデン様から力を使うことを禁止されてる。それに、これはアマンダーが力を3つ使って考えたこと。私が介入するわけにはいかない」
アミムラは拒否する。
「結局、オルーレと言うこと一緒かよ。がんばって、この地獄の1日を生き残れと」
サトシは、うなだれる。
「オルーレって、そういうこと言わないのに。なんか心境の変化があったようね」
アミムラは呟く。
「なぁ、俺って不死身なのかな? 普通なら死んでるはずなのに、生きてる」
サトシは不思議そうに聞く。
「不死身じゃない。『守護のタオル』のおかげで、『防御力』が最大限上がっているだけ」
アミムラは答えた。
「『守護のタオル』? なんだよ、それ?」
サトシは聞く。
アミムラは、サトシの体を拭いたタオルのことや、オルーレの『守護のタオル』のことなどを、説明する。
「……そうだったのか。オルーレに感謝しないと」
サトシは感心する。
ドォォォォォォォン!!
ドォォォォォォォン!!
爆発音が遠くから響き渡る!!
アミムラは立ち上がって、
「ここも危ない。離れた方がいい」
と、言った。
「まったく、忙しいな」
サトシは、両足の激痛に耐えながら、立ち上がる。
アミムラは、再びサトシに肩を貸す。
サトシも、再びアミムラの肩を借りる。
「サトシ、『守護のタオル』の力があるから、生き延びれるなんて、甘い考えはしない方がいい。またレーザー光線をくらって、生き残ってる保証なんてない。あなたは人間なんだから」
アミムラは念を押すように言った。
「わかってる。3発目なんかくらってたまるか」
サトシは力強く言った。




