第6話 マジかよW 天使オルーレのトリック VS 第3の天使アミムラ
「いや~、おもしろい」
天空の神オルデンは、地上を見下ろしながら、拍手をする。
天使の子供達は、つられるように拍手をする。
「サトシの人生、最初の頃に比べたら、ずいぶんおもしろくなったじゃないか。ありきたりのつまらん主人公が、私達のおかげで、最期は『謎の物体X』のレーザー光線を2発くらって人生終了というおもしろい展開になった。この展開を予想できた子いるかい?」
オルデンは、天使の子供達を見回す。
「はい」
1人の天使が手を挙げる。
「アミムラ・ユートリス、また君か」
オルデンは驚く様子もなく、淡々と言った。
「なんとなくだけど、こんな感じになるんじゃないかと思ってました」
アミムラは答える。
「君には、この展開が予想できたってことか。やれやれ」
オルデンは機嫌が悪くなる。
「オルデン様、私もやってみたい」
アミムラは言った。
「ほぅ、それは興味深い。君ならオルーレやアマンダ―よりも、おもしろくできるかもしれないな」
オルデンは言った。
オルデンは続けて、
「サトシの人生は終了してしまったから、別の人間をー」
と、言って、地上を見下ろす。
「オルデン様、私、サトシがいい」
アミムラは言った。
「彼は、もう人生が終了してる。別の人間にしなさい」
オルデンは言った。
「いえ、彼は、まだ生きてます」
アミムラは言った。
「なにっ!? そんなはずはー」
オルデンは、再び地上を見下ろして、サトシを探す。
オルデンは続けて、
「本当だ。まだ生きてる。何故?」
と、言って、驚く。
「ちょっと、時を遡ってください。サトシの部屋で、サトシとオルーレが、ベットから目覚めた時の会話のシーンまで」
アミムラは言った。
オルデンは、人差し指を前に出して、その時の会話場面を映写機みたいに、雲に映し始める。
「ここです」
アミムラは、指を差して言った。
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「激しいイビキだったわ。よっぽど疲れてたのね」
オルーレが布団にくるまったまま起き上がる。
オルーレは続けて、
「お風呂から戻ってきたら、あなたが床に倒れて眠っていたから、ベッドに戻そうとしたの。でも、全身ずぶ濡れで汚かったから、着ていた物を全部脱がして、タオルで綺麗に拭いたわ。もう、今日は力をかなり消耗していたから、きつかったわ」
と、言った。
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「この会話がどうかしたのか?」
オルデンは不思議そうに聞いた。
「オルーレは、サトシの着ていた物を全部脱がして、タオルで綺麗に拭いたんです」
アミムラは言った。
「それがどうした?」
オルデンは聞く。
「では、この先を進めてください」
アミムラは言った。
サトシとオルーレの会話シーンが続く。
「ここです」
アミムラは、再び指を差して言った。
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「……風呂でも入ろうかな」
サトシは、独り言を言って、時計を見た。
午後11時。
「そういえば、俺の体を拭いたタオル、どこに置いた? この部屋にないみたいだけど」
サトシは言った。
「えっと、それは……」
オルーレは、眠そうだ。
「まぁ、いいや。電気、消しておくぞ」
サトシはそう言って、電気を消して部屋から出ようとする。
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「サトシの体を拭いたタオルは部屋になかった……あっ!! まさか」
オルデンは驚く。
「そうです。サトシの体を拭いたタオルは、部屋になかった。では、どこにあるのでしょう? オルーレは、お風呂場から部屋に戻って、タオルでサトシの体を拭いた後は、ベッドに倒れ込んで、そのままサトシと一緒に眠ってしまいました。タオルが部屋にないなんておかしいんです」
アミムラは言った。
「オルーレは、サトシの家のタオルで拭いてない。おそらく、自分のタオルだ。自分が持っているタオルで拭いた」
オルデンは言った。
「そうです。おそらく、そのタオルは特殊なタオルです。人間界に存在していないと思います。この『天空界』に存在しているタオルです。そのタオルで、サトシの体、全身を拭いたんです」
アミムラは言った。
「『謎の物体X』のレーザー光線を2発くらって生きてるってことは、ギリシャ神話の女神アテナの『守護のタオル』だろうな。オルーレは『守護のタオル』で、サトシの体を拭いた。だから、まだ生きてる。『守護のタオル』と人間界のタオルは似ているから、気づかなかったよ。オルーレ、大した子だ」
オルデンは感心した。
「でも、『守護のタオル』」は、『防御力』を最大限上げるだけで、不死身になるわけじゃない。レーザー光線を、もう1、2発くらえば、死ぬでしょう」
アミムラは言った。
「だろうな。死ぬのが遅くなっただけだ。結果は変わらないだろう。でも、もう少し楽しめそうだ。アミムラ、どうする? 1日待ってから、サトシの元に行くか? それとも、今から行くか?」
オルデンは言った。
「今から行きます」
アミムラは迷うことなく言った。
「今のこの状況は、アマンダ―が力を3つ使って、作り出したものだ。だから、今日1日は、力を使うことを禁止する。あと、人間に化けたら、私の許可なく天使の姿に戻らないこと。いいね? アミムラ」
オルデンは言った。
「はい。わかってます」
アミムラはそう言って、地上へと降りて行った。
「アミムラ、君は私の出した条件を甘く見ている。いくら君でも、力を使わず人間のままなら、生き残れないだろう」
オルデンは、ニヤリと笑みを浮かべた。




