第33話 マジかよW カツ丼決戦!! クライマックス!!
「ふん。食材が互角なのは認めよう。だが、これは勝負。どちらかが勝ち、どちらかが負ける。勝者と敗者に分かれるのだ。総合力ではワシの勝ちだ」
ハクマイは言った。
「それを決めるのは、キャッスル京子さんだ」
チン毛大根は言った。
「そうだな。さて、そろそろジャッジ(判定)を聞かせてもらおうか。どちらの『カツ丼』の方が良かったか? うまかったか?」
ハクマイは言った。
「難しいわ。本当にどちらもおいしかったから。3分考えさせて」
キャッスル京子は言った。
「よかろう。3分待ちましょう」
ハクマイは言った。
キャッスル京子は、目をつぶって、腕を組んで考え込む!!
3分間、誰も言葉を発することもなく、緊張感が包み込む!!
チン毛大根。
ハクマイ。
マサヒロ。
店長。
『ホール』の春奈。
『キッチン』の由美。
互角の食材を用意した、『ホール』と『キッチン』のあやみ。
他のスタッフ(従業員)。
全員、固唾をのむ!!
こんなに緊張する3分間は、初めてだ……!!
心臓の鼓動が早くなり、体が硬直し、心が押しつぶされそうになる!!
キャッスル京子は、目を開ける!!
「……決めたわ」
キャッスル京子は言った。
「判定結果を伝えます。勝ったのはー」
キャッスル京子は、チン毛大根とハクマイを交互に見る!!
「勝ったのは、チン毛大根さんです!!」
キャッスル京子は。判定結果を伝えた!!
「なっ、なんだと!?」
ハクマイは驚く。
「や、やった……勝った……えっ!? マシで?」
チン毛大根は信じられないといった様子。
「マジで俺の勝ちですか?」
チン毛大根は聞く。
「はい。チン毛大根さんの勝ちです」
キャッスル京子は同じことを言った。
「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーl!」
チン毛大根はガッツポーズをする!!
「理由はなんだ? 食材は互角、料理の腕はワシの勝ち、総合力でもワシの勝ちだろうがっ!! バカタレ!! もう1度ちゃんと考えろ!!」
ハクマイは興奮する!!
「好みですよ」
キャッスル京子は言った。
「好みだと?」
ハクマイは聞く。
「チン毛大根さんの『カツ丼』の方が、私の好みに合っていたんです。私の好みの味というか」
キャッスル京子は言った。
「貴様の好みの味ってなんだ?」
ハクマイは聞く。
「私、『甘党』なんです。甘いものが大好き!! チン毛大根さんとハクマイさんの『カツ丼』を比べたとき、どちらがの方が甘いか、甘さを感じたか、それだけを考えました。その結果、チン毛大根さんの『カツ丼』の方が甘さを感じました」
キャッスル京子は答えた。
「そんな馬鹿なっ!! 小僧の『カツ丼』の方が甘さを感じたから、小僧の勝ちだというのかっ!?」
ハクマイは納得できない。
「そうです。その甘さこそ、私の好みの味なんです!!」
キャッスル京子は答えた。
あのとき、ミスっておいてよかった!!
チン毛大根は思い出す。
勝負の『カツ丼』を作ったときのことを!!
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チン毛大根は、『カツ丼』を作り始める!!
これで『カツ丼』を作るのは2回目。
1度作ってるから、そんなに時間はかからないだろう。
小さめの鍋に、水、だしの素、醤油、みりん、砂糖を入れて加熱する。
「あっ、やばっ。砂糖の量ミスった」
『調理マニュアル』に書いてある通常の量よりも、砂糖が多く入ってしまった!!
「まぁ、いいか」
そこまで味に影響ないはず。
チン毛大根は、そのまま料理続行する!!
沸騰を始めた鍋に、玉ねぎを入れて、3分ほど煮込む。
沸騰している鍋に、とんかつを入れて、1分ほど煮込む。
円を描くように、溶き卵を回しながら入れる。
ふたをして半熟状になった卵を見ながら、同じように残りの卵も回しながら入れる。
どんぶりの中に、ごはんを入れて、その上に作ったカツ煮をのせる!!
最後に三つ葉を添えて、『カツ丼』が完成した!!
チン毛大根は、『カツ丼』をおぼんの上にのせる。
そして、そのままキッチンを出る!!
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まさか、あれが『勝敗』を分けるポイントになるなんて!!
あれで、ハクマイの『カツ丼』より『甘いカツ丼』になってしまった!!
でも、その『甘いカツ丼』が、キャッスル京子にとっては、好みの味だった!!
「ワシは認めんぞ!! こんな、こんな馬鹿な判定があってたまるかっ!!」
ハクマイは結果を受け止めきれない!!
マサヒロは、ハクマイの肩に手を置く。
「あなたの負けです、ハクマイさん。『十人十色』というやつですよ。人の考え、好み、性格、価値観などは、人それぞれ異なり、まったく同じ人はいない。別の人が判定したら、ハクマイさんの『カツ丼』の方が好みに合って、ハクマイさんが勝ったかもしれない。でも、今日の勝負は、チン毛大根の『カツ丼』の方が、キャッスル京子の好みに合っていたんです。認めましょう」
マサヒロは言った。
「クソッ……!! クソッ!! クソォォォォォォォォォォォォ!!」
ハクマイは、悲痛な叫び声をあげる!!
「ワシが……このワシが……こんな小僧に……こんな小僧にぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ハクマイは、膝から崩れ落ちる!!
「ハクマイ…………」
チン毛大根は、あわれみの視線を送る。
「この『カツ丼勝負』、チン毛大根の勝ちとする!!」
マサヒロは言った。
マサヒロは、『カツ丼敗者契約書』を手に持って、この場の全員に見えるように高く上げる!!
「ハクマイさん、この『カツ丼敗者契約書』どおり、この『ファミレス・スカイピーチ』の『奴隷』として、超絶ブラック労働を一生やり続けてください!!」
マサヒロは宣告する!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
ハクマイは、再び、悲痛な叫び声をあげる!!
ハクマイは、両膝を床につけて、うなだれる!!
「マサヒロさん、引き分けじゃ駄目か?」
チン毛大根は言った。
「引き分け? どうしてですか?」
マサヒロは不思議そうに聞く。
「たまたま、キャッスル京子さんの好みに合って、俺が勝ったけど、総合力では、ハクマイの方が上だ。人は『十人十色』なんでしょ? 別の人がジャッジをしていたら、結果は逆になってたかもしれない。ちゃんと勝った気がしないんだ」
チン毛大根は答えた。
「それでも、勝ちは勝ちです。あなたは勝利者です」
マサヒロは言った。
「そこをなんとか引き分けで。引き分けなら、勝者も敗者もいないから、契約は無効でしょ?」
チン毛大根は言った。
「そうですが……」
マサヒロは迷っている。
「お願いします!! この『カツ丼勝負』、引き分けで!!」
チン毛大根は、手を合わせてお願いする。
マサヒロは、キャッスル京子を見ながら、
「……やれやれ。キャッスル京子さん、もう1度判定をしてください。この『カツ丼勝負』、引き分けですか?」
と、聞く。
キャッスル京子は、チン毛大根とハクマイを交互に見る。
「……はい。引き分けです。どっちも、最高の『カツ丼』でした!!」
キャッスル京子は答えた。
「ありがとうございます」
チン毛大根は頭を下げる。
「どういうつもりだ? ワシに貸しでも作るつもりか?」
ハクマイは聞く。
「そんなこと考えてない。ただ、本当に勝った気がしなかったから」
チン毛大根は答えた。
「情けは無用だぞ」
ハクマイは言った。
「情けなんか、かけるかよ。俺は、そんなお人よしじゃないぜ」
チン毛大根は言った。
ハクマイは「フッ」と笑った。
「チン毛大根、まだ『カツ丼』の余りはあるか? 食べてみたい」
ハクマイは言った。
「少しだけなら」
チン毛大根は『キッチン』へと行く。
チン毛大根は、余った『カツ丼』をおぼんにのせて、ハクマイのテーブル席に置く。
ハクマイは割り箸を持って、チン毛大根の『カツ丼』を食べ始める。
ゆっくりと一口、二口食べて、その味をかみしめる。
そして、そのまま一心不乱に食べる!!
「どうです? 俺の『カツ丼』は?」
チン毛大根は聞く。
「これが答えだ」
ハクマイは、空になったどんぶりを見せた!!




