弟30話 マジかよW カツ丼決戦!! もう、どうにでもなれ!! ①
夕方の午後5時。
『ホール』には、店のスタッフ(従業員)が集まっていた。
『ホールスタッフ』、『キッチンスタッフ』、ぼぼ全員である。
営業時間外だから客はいない。
なごやかで、のんびりとした雰囲気である。
スタッフ同士ワイワイとおしゃべりしながら、盛り上がってる。
チン毛大根は、『ホール』で一緒に働いた、春奈と目が合う。
春奈は、親指を立てて、「いいね!」というジェスチャーをする。
何がいいんだ? この状況?
チン毛大根は、『キッチン』で一緒に働いた、由美と目が合う。
由美は、微笑みながら、ピースサインをする。
なぜピース? 写真撮影でもしてるのか?
チン毛大根は、『ホール』と『キッチン』の両方で一緒に働いた、あやみと目が合う。
あやみは、ガッツポーズをする。
そういうのは、勝ったあとにしたい。
なぜ、目が合うと何かポーズをするんだ?
チン毛大根は笑う。
店の出入り口から、ハクマイとマサヒロがやってくる!!
ハクマイは、食材の入った袋を持っている!!
店内がざわつく!!
場の空気が一気に張り詰める!!
店長がやってきて、出迎える。
「お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」
店長はそう言って、ホールの中央席へと案内する。
チン毛大根は、ハクマイと目が合う。
相変わらず、貫禄がある。
すげぇ気だ……!!
オラ、ワクワクしてきたぞ!!
「どうかね? 調子は?」
ハクマイは聞く。
「普通ですよ」
チン毛大根は答える。
「そうか」
ハクマイとマサヒロは、中央のテーブル席に座る。
続いて、店の出入り口から、『フードファイター』のキャッスル京子がやってくる。
店長が出迎えて、同じくホールの中央席へと案内する。
「今日は仕事オフなんだけど、この『カツ丼勝負』のために何も食べずにきた。お腹ペコペコ」
キャッスル京子はそう言って、ハクマイとマサヒロが座ってる、横のテーブル席に座る。
マサヒロが立ち上がる。
「『カツ丼勝負』の前に、契約書を書いてもらいたい」
マサヒロは言った。
「契約書?」
チン毛大根は聞く。
「口約束では負けたあと、どうにでもなるからね。これは遊びや余興ではなく、真剣勝負なのだろう?」
マサヒロはそう言って、契約書をテーブル席に置く。
「簡単な『カツ丼敗者契約書』さ。難しく考えずに、ただ、サインしてくれればいい」
マサヒロは言った。
チン毛大根は、ハクマイとマサヒロが座ってる、テーブル席に行く。
契約書を見る。
『カツ丼敗者契約書』には、『私、チン毛大根は、『カツ丼勝負』に負けたら、ハクマイの『奴隷』として一生仕えます(*^_^*)』と書かれており、署名のサインを記入する欄がある。
「ここにサインすればいいんだな? ハクマイはサインしたのか?」
チン毛大根は聞く。
「ワシは、君が書いた後にサインする。まずは君からだ」
ハクマイは答えた。
「わかった」
チン毛大根は、署名にサインする。
「迷うことなくサインするとは!! 本当に負けたら一生『奴隷』ですよ」
マサヒロは驚く。
「疲れと緊張で、テンションがおかしくなってるんだ。もう、どうにでもなれっ!!」
チン毛大根は言った。
ハクマイは「アㇵㇵㇵッ」と笑う。
「おもしろい奴だ。いいだろう。ワシも小僧に続いて、この場の勢いに乗ることにしよう」
ハクマイの『カツ丼敗者契約書』には、『私、ハクマイは、『カツ丼勝負』に負けたら、この『ファミレス・スカイピーチ』の『奴隷』として、超絶ブラック労働を一生やり続けます(*^_^*)』と書かれており、署名のサインを記入する欄があった。
ハクマイは、署名にサインする。
「では、『カツ丼勝負』を始めましょう!! ハクマイさん、先攻と後攻、どちらにしますか?」
マサヒロは言った。
「どちらでも構わない。小僧、どうする?」
ハクマイは聞く。
「じゃあ、後攻で」
チン毛大根は答える。
「なら、ワシが先攻だな」
ハクマイは、食材の入った袋を持って、『キッチン』へと向かう。
約30分後。
ハクマイはエプロン姿で、おぼんに『カツ丼』をのせて、戻ってきた。
「お待たせしました。どうぞ」
ハクマイは、『カツ丼』を中央のテーブル席に置く。
「わぁ、おいしそう!!」
キャッスル京子は興奮する。
ハクマイは、自分が料理した『カツ丼』の説明を始める!!
「肉は、日本最高峰で最高級の『鹿児島県産の黒豚』です」
ハクマイは続けて、
「タマゴは、タマゴかけごはん祭り(TKG)で、3年連続グランプリを獲得して殿堂入りした、『日本1の高級タマゴ夢王』です」
ハクマイは続けて、
「米は、日本最高峰で最高級の『新潟県魚沼産のコシヒカリ』です」
と、説明した!!
「へぇー。肉もタマゴも米も、日本最高級をそろえたってことね。食べるのが楽しみ!!」
キャッスル京子は、割り箸を手に取る。
ハクマイは、再び、自分が料理した『カツ丼』の説明を始める!!
「『鹿児島県産の黒豚』は、最高ランクの肉のうまみと、肉の脂の濃厚なコクが味わえます。食感も弾力があって、噛みごたえがあります」
ハクマイは続けて、
「『日本1の高級タマゴ夢王』は、最高ランクの甘みとコクがあり、鮮やかな黄身で、臭みがまったくありません」
ハクマイは続けて、
「『新潟県魚沼産のコシヒカリ』は、豊富な雪解けの水と、魚沼地方特有の昼と夜の寒暖差によって、最高ランクの甘みと、深いうまみがあります。米粒もしっかりしており、粘りも強く、炊き上がりのツヤも抜群です」
と、説明した!!
「そろそろ食べてもいい?」
キャッスル京子は、早く食べたくて仕方がない様子だった。
「どうぞ」
ハクマイは言った。
キャッスル京子は、ハクマイの『カツ丼』を食べ始める!!
そのまま一気に勢いよく食べ続けて、あっという間に食べ終えてしまった!!
わずか3分程度で完食!!
「さすが『フードファイター』だ」
ハクマイは感心する。
キャッスル京子は、昇天したかのように、
「あぁ~、もう最高!! 幸せ!! 私は、この『カツ丼』を食べるために、生まれてきたんだ!! うますぎて、全身が溶けてしまいそう」
と、言った。
キャッスル京子は、いきなり『演劇の劇団員』みたいに語り始める!!
「私は『カツ丼』を食べているのではない。『カツ丼』に食べられてる。そう、私は『カツ丼』の中にいる。同化してる。『カツ丼』に導かれてる。ここは、どこ? そこは私と『カツ丼』の世界。私と『カツ丼』しかいない。私は『カツ丼』の声に耳を傾ける」
と、語り続けて、
「聴こえるのは『カツ丼』の真の声。肉、タマゴ、米の具材の声。我々は食べられるために生まれてきた。銀河の星に帰らなければならない。玉ねぎ、つゆ、だしの素、醤油、みりん、砂糖が待ってる。さらばだ。私はいかないでと叫びたかった!! でも、できなかったの!!」
と、語り続けて、
「私は、『カツ丼』を味わうことしかできない!! 『カツ丼』は、まだ私の頭の中にいるの!! ねぇ、そうでしょ? 返事して!! 私は『カツ丼』と結ばれたいの!! これは、私と『カツ丼』の悲恋物語。私はー」
と、意味不明な『カツ丼』の『演劇』が続いていく!!
キャッスル京子は、『カツ丼』がうますぎて、絶頂に達してしまい、頭がおかしくなってしまったみたいだ!!




