第29話 マジかよW 天使アミムラのめちゃめちゃ展開⑮
午後2時。
ランチのピークタイムが終了。
ようやく、一段落する。
「ふぅーーーっ」
チン毛大根は大きく息を吐く。
春奈がやってくる。
「ピークタイム終了よ。きつかった?」
春奈は聞く。
「はい。とっても疲れました……」
チン毛大根は答えた。
「私も疲れたわ。チン君の発作って、すごいわね」
春奈は言った。
「本当にすみませんでした。迷惑ばかりかけて」
チン毛大根は頭を下げる。
「すごく失礼だけど、思わず笑っちゃった。笑いをこらえることができなかった」
春奈は、思い出したかのように「アㇵㇵㇵッ」と笑った。
チン毛大根は、頭を下げたまま、
「本当にすみませんでした。春奈さんがフォローしてなきゃ、どうなっていたことか」
と、感謝する。
「もういいわ。まだ仕事中よ。最後までがんばりましょ」
春奈は言った。
「はい」
チン毛大根は頭を上げる。
『キッチンスタッフ』のあやみがやってくる。
「『休憩』終わりました。今から『ホール』入りまーす」
あやみは言った。
「あれ? 『キッチン』だけじゃないのか?」
チン毛大根は聞く。
「あたし、もともと『ホール』ですけど、お願いして、『キッチン』もやらせてもらってるんです。料理うまくなりたくて」
あやみは答えた。
「あやみちゃんは、がんばり屋さんなの」
春奈は言った。
春奈は、あやみを見ながら、
「実家の『牧場』を手伝いながら、ここで働いて、『農業大学』にも通ってるのよね?」
と、確認する。
「はい。そういえば、『農業検定1級』合格しました」
あやみは嬉しそうに言った。
「すごい。おめでとう」
春奈は祝福する。
「(口が勝手に動く)すごいな。農業のプロってことか。俺もおっぱいを吸うのに関してはプロだぜ!! 試しにどうだ? 吸われてみるか? ヘヘヘッ」
チン毛大根は言った。
春奈は照れながら、
「そんな、プロだなんて……。そこまで、すごくないです」
と、言って、続けて、
「チン大根さんって、そんなにおっぱいを吸うのがうまいんですか?」
と、聞く。
「俺、ときどき、変なこと言い出すから、シカト(無視)してくれ」
チン毛大根は言った。
「実家は『山形』よね? 遠くて大変ね。来週のシフト、もう出した?」
春奈は聞く。
「まだです。最近は、実家の『牧場』手伝えてません。大学が忙しくて」
あやみは言った。
「大学って『埼玉』だっけ?」
春奈は聞く。
「はい。『埼玉農業大学』です」
あやみは答える。
「『山形』の『牧場』と『埼玉』の『農業大学』、そしてここか。いろいろ大変そうだな」
チン毛大根は言った。
「チン大根さんも大変ですよね? ここで24時間働いた後、ハクマイさんと『カツ丼勝負』するんでしょ?」
あやみは聞く。
「(口が勝手に動く)知ってたのか。ご褒美に俺様のウインナーを舐めさせてやろう。こんなチャンスめったにないぞ。ヘヘヘッ」
チン毛大根は言った。
「もう、みんな知ってると思う。『カツ丼勝負』は勝てそう?」
春奈は聞く。
「無理です」
チン毛大根は即答する。
「今日の夕方5時からですよね?」
あやみは確認する。
チン毛大根は店内時計を見る。
時計の針は、午後3時30分を指している。
春奈は、あやみに、
「私、『休憩』に入るから、あとはお願いね」
と、言って、足早に去って行く。
それが合図であったかのように、出入り口から客が入ってくる。
テーブル席の客が追加注文してくる。
チン毛大根とあやみは、それぞれ対応する。
そして、とうとう『午後4時』となる!!
『労働基準法』を完全無視した、『不眠不休』の『ファミレス24時間超絶ブラック労働(しかも無給)』が終了する!!
「やっと、終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」
チン毛大根は、両膝に手を当てて、くたびれた表情をする。
ようやく、アミムラが考えた『なんでもできる力』が終了した!!
『料理のぶっかけ』!!
『不眠不休』の『24時間超絶ブラック労働(しかも無給)』!!
『午後6時から、乱暴で下品な言葉を、仕事終了まで連発するようになる』という設定!!
この3つが終了したのだ!!
もう口が勝手に動くことはない!!
チン毛大根は『スタッフルーム』に戻る。
今すぐ倒れ込みたかったが、そこに店長がやってくる。
「1日ご苦労さまでした」
店長はねぎらいの言葉をかける。
「『制服』は、後日洗って返せばいいですか?」
チン毛大根は聞く。
「がんばってくれたお礼に、『制服』はあげましょう。それが『無給』の代わりと思ってくれれば」
店長は答えた。
これだけ働いて、給料なし!!
この『制服』が給料の代わり。
チン毛大根は苦笑する。
「ありがとうございます。何もないよりはいいです。大切にします」
チン毛大根は言った。
「この後のハクマイさんとの『カツ丼勝負』、やるんですか? それとも、やめて帰宅しますか?」
店長は聞く。
「やります。男の約束です」
チン毛大根は答えた。
もう、身も心も疲れ切っている……!!
倒れそうだから、勝負なんかせずに、家に帰りたい……!!
ベッドに倒れ込みたい……!!
だけど、それだとカッコ悪すぎる。
「『カツ丼勝負』などせずに帰ってくれれば、わざわざ営業時間外として認可することもなく、助かるんですがね。僕も男の約束をしてしまいましたから、仕方ない」
店長は苦笑する。
「店長って、意外と義理がたい人なんですね」
チン毛大根は言った。
「それは、君も同じですよ、チン毛大根君。君は、『雇用契約書』どおりに働き、これから口約束だけの『カツ丼勝負』をしようとしてる。男の約束だと言って。今の時代、そんな若者はなかなかいない」
店長は言った。
「そうなんですか。じゃあ、俺は古いタイプの人間なんですね。昭和の男とか」
チン毛大根は言った。
店長は「アㇵㇵㇵッ」と笑った。
「がんばってください、チン毛大根君。やっぱり、君は勇者だ。それでは」
店長は部屋から出て行く。
「ーさてと」
チン毛大根は、背伸びをする。
チン毛大根は、部屋の時計を見る。
時計の針は、午後4時50分を指している。
チン毛大根は、『カツ丼勝負』モードへと気持ちを切り替える。
チン毛大根は、『キッチン』の調理服に着替える。
チン毛大根は、顔の両頬をパシパシ叩いて気合いを入れる!!
心臓の鼓動が高鳴る!!
勝っても負けても、悔いがないように!!
いざ、『決戦』の場へ!!
チン毛大根は『スタッフルーム』を出る。




