第2話 VSスライムその2 壁を作るがスライムに飛び越えられる
「とにかくルールだ! まずは消滅する条件を教えろ!!」
「え? なんですか? いきなりやる気ですね!?」
死に戻った俺は再びスライムと対峙する。
何度も死んではたまらない。
とにかく、まずは前回のようにスライムに取り込まれて分身が消滅しないようにしたい。何しろ、俺は囲碁ミリしら勢なのだから。
「ええと、勇者さん、分身は――」
「俺は分身出せるタイプだ。そこは安心しろ」
「そうなんですね、じゃあ、説明するです。スライムも同じですけど、その分身は大気中の魔力で維持してるので――」
女神が言うにはこうだ。
・分身(スライムは分裂体)は完全に敵に囲まれると消滅する。
・消滅した分身は敵に吸収され、相手の生命力に加算される。
・闘技場の壁も囲むのに有効。
俺は色々分からないが、とりあえず分身が一体だけでポツンと突っ立ってるとあぶない気がしてきた。
「でも、たしか、さっきは上空は空いてたのに消滅したような気がするんだが……?」
「さっき? 上空? 何のことです? 取り囲むのは前後左右ですよ。上空とか、斜めとか何をわけの分からないことを言ってるですか!?」
「斜めは言ってないんだが……」
「斜めは2マス分離れた場所なのです!! お隣さんではないのです!! 近くにいるのに助けてくれないです!! フレネミーなのですよ!!」
「それ、使い方あってるのか……?」
例えば、一体の分身を囲むのに、最低四体が必要。
二体なら六体、三体なら八体と、大きくなるごとに囲まれにくくなる……らしい。
分からんが、とにかく大きく、つながっていれば囲まれにくいという理屈は分かる。一塊で大きくなっていくスライムの戦術は、一応、理にかなっているというわけか……
「いや、かたまりになって大きくするよりもいい方法があるな!!」
俺はある作戦を考え付く。
そして、スライムとの戦いを進めることにしたのだった。
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「――どうだ!! これなら囲まれる心配はないだろ!! 名付けて『万里の長城作戦』!!」
俺は、スライムが、のそのそと大きくなっているのを脇に見ながら、闘技場の端から端まで連なる一直線の壁を作り上げた。
スライムの拡大も、予想通り壁の手前で止まっている。
目の前に分身がいても、襲い掛かってくる様子はない。
俺の分身はきちんと壁としての役割を果たしているようだった。
このサイズであれば、囲まれる心配は――
「あー、その作戦は、みなさんよくやるんですけど……そろそろ飛んでくるですよ?」
「……は? 飛ぶ?」
これで安心と思ったのもつかの間。
スライムは突如として、分裂体を壁のこちら側、俺達の陣地後方まで飛ばしてきたのだ。
「そんなんありか!?」
「あの、言い忘れてましたけど!! 当たり前ですけど、分身はどこにでも出せるので!!」
「そんな当たり前知るかあああああ!!!」
想定外のスライムの行動に俺は混乱して、スライムのさらに後方に分身を出してしまった。後から考えれば当然のことだったが、壁とスライムに挟まれる形になり――
「あ、消された……」
「あああああ……、あのスライムは消せなそうな形になってしまったです」
「消せなそうな形……? ちょっと、そこのところを詳しく聞かせてほしいんだが」
「ほら、あっちのスライムをみるです。体の中に何も無い空間があるのが見えます?」
「ああ、たしかにあるな。人間の眼っぽくみえる、あれだろ?」
ここから見ると、丸く広がったスライムの中に不自然に空いているスペースがあるのが分かった。
丸く広がったスライムの体に、二つあるので眼のように見える。あれで鼻と口があったら、スライムにすら舐めプされているとブチ切れる自信があるが――
「あの何も無い空間から魔力が供給されるので消せないです!! 二つあるから!! 両方同時にふさがないと消せないけど、分身は同時に出せないのですよ!!」
「……なるほどな!!!」
分からんわ。




