第四十七話 千を越えた五人と真の勇者
《災厄魔皇ヴォルガン・ディザスター》の生命反応が完全に消えた直後、私たち五人の身体を眩い光が包み込んだ。
今までのレベルアップとは明らかに違う。視界の端では通知が次々と重なり、数字がものすごい勢いで上昇していた。
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パーティー共有経験値取得
討伐対象:
魔王種
《|災厄魔皇ヴォルガン・ディザスター》
Lv1180
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経験値効率:
×10,000
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「……すごい上がってる」
『リリス、今は数字を数えている場合か?』
「もうヴォルガンは倒したから大丈夫」
『まだ戦場にはオークが残っている!』
「あ」
そうだった。
最後の一撃が大きすぎて、戦争そのものまで終わったような気分になっていた。
そんなことを話している間にもレベルアップは続き、やがて私の前で数字が止まる。
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リリス・ルクスヴィア
Lv689
↓
Lv1128
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「千超えた」
四百三十九レベル上昇。
さすがLv1180の魔王種。それを経験値効率一万倍で受け取った結果は、とんでもなかった。
少し離れた場所では、アルも自分の表示を見つめたまま固まっている。
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アルドラ・ヴァルグレイヴ
Lv678
↓
Lv1116
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『……千百十六』
「アルも千超え」
『見れば分かる。だが、これはさすがに上がりすぎだろう……』
続いてノルン。
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ノルン
Lv683
↓
Lv1121
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「ウォォォォォォン!」
白銀の魔力が巨体から噴き上がり、《白銀疾装》が眩しく輝く。
ヴァルカも同じだった。
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ヴァルカ
Lv680
↓
Lv1118
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「グオオオオオオオッ!」
深紅の巨体を包む魔力が一段と濃くなり、翼を大きく広げただけで周囲へ強い風が吹き抜ける。
最後はクロ。
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クロ
Lv694
↓
Lv1133
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『……我まで千を大きく超えたか』
「クロが一番高い」
『わずかな差であろう』
「十五差」
『数えるのが早いな』
『だから競うな!』
アルの声が飛んできた。
競ってはいない。
ちょっと確認しただけ。
◇◇◇
けれど、通知はまだ終わらなかった。
今度は私の正面へ、黄金色の表示が現れる。
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特殊成長条件を確認
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Lv1000到達
国家級災害の撃破
災厄級魔王種の撃破
大規模防衛戦への参加
多数の生命を守護
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特殊上位資格:
《真の勇者》
条件達成
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「真の勇者?」
私が呟くのとほとんど同時に、アルの身体にも黄金色の光が降り注いだ。
『私にも出たぞ』
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アルドラ・ヴァルグレイヴ
特殊上位資格:
《真の勇者》
獲得
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「アルも勇者になった」
『待て。私は重騎士だったはずだぞ』
「勇者兼重騎士?」
『そんな気軽に増えるものなのか、勇者というのは』
「私も最初から二つあったし」
『お前を基準に考えるのが間違いな気がしてきた』
失礼。
私の《勇者》も、そのまま上位の存在へ変化した。
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職業進化
《勇者》
↓
《真の勇者》
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特殊補正:
全能力成長補正
聖属性適性極大上昇
精神・呪詛耐性極大上昇
対魔王種補正
対災厄種補正
守護対象存在時能力上昇
勇者系技能上位派生解放
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さらに、視界いっぱいに新しい表示が広がった。
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《真の勇者》
専用技能群解放
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新規取得可能技能:
100
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「百個」
『その顔は嫌な予感がする』
「全部取るよ?」
『聞く前から分かっていた』
せっかく解放されたのだから、取らない理由はない。
「全部取得」
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《真の勇者》専用技能
一括取得開始
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【勇者権能】
《勇者威光》
《勇者覇気》
《勇者心核》
《勇者不屈》
《勇者直感》
《勇者覚醒》
《勇者共鳴》
《勇者統率》
《勇者祝福》
《勇者領域》
【聖光系統】
《聖光生成》
《聖光収束》
《聖光圧縮》
《聖光増幅》
《聖光槍雨》
《聖光剣雨》
《聖光爆裂》
《聖光結界》
《聖光追尾》
《聖光極照》
【守護系統】
《絶対守護》
《広域守護》
《守護連結》
《守護転写》
《守護反射》
《守護再生》
《守護強化》
《守護範囲拡張》
《守護自動展開》
《勇者天蓋》
【治癒系統】
《勇者治癒》
《広域完全治癒》
《聖癒再生》
《生命保護》
《生命循環》
《重傷即時治癒》
《欠損再生補助》
《魔力回復支援》
《疲労完全回復》
《聖域治療》
【浄化・感知系統】
《邪気浄化》
《呪詛浄化》
《瘴気浄化》
《精神浄化》
《魔毒浄化》
《汚染浄化》
《聖域展開》
《邪悪感知》
《災厄感知》
《魔王感知》
【対高位存在系統】
《対魔王特効》
《対災厄特効》
《対邪神補正》
《魔王障壁破壊》
《災厄装甲破壊》
《邪悪耐性貫通》
《勇者断罪》
《聖滅印》
《魔核看破》
《災厄弱点看破》
【勇者戦闘系統】
《勇者剣気》
《勇者射撃》
《勇者魔法強化》
《勇者身体強化》
《勇者反応強化》
《勇者瞬動》
《勇者空歩》
《勇者戦闘演算》
《勇者連続行動》
《勇者限界突破》
【軍勢支援系統】
《勇者鼓舞》
《全軍士気上昇》
《全軍防御強化》
《全軍攻撃強化》
《全軍魔力強化》
《全軍速度強化》
《味方位置共有》
《戦況共有》
《危機共有》
《勇者号令》
【聖魔法系統】
《聖属性極意》
《聖魔力生成》
《聖魔力圧縮》
《聖魔力循環》
《聖魔力放出》
《聖魔法多重化》
《聖魔法超射程》
《聖魔法精密制御》
《勇者極大魔法》
《勇者魔法領域》
【真勇者上位権能】
《勇者魔力炉》
《勇者生命炉》
《勇者自動再生》
《勇者魔力循環》
《勇者超感覚》
《勇者因果抵抗》
《勇者空間耐性》
《勇者時間耐性》
《勇者概念耐性》
《真勇者解放》
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100/100
取得完了
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「次は強化」
『やはり間を置かないのだな』
「《技能一括強化》」
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対象:
《真の勇者》専用技能100種
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一括強化開始
Lv1
↓
Lv100
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100/100
強化完了
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「終わった」
『速すぎる……』
「便利」
『その一言で済ませるな』
でも、これで勇者として使える力が一気に増えた。
特に《勇者極大魔法》《勇者魔法領域》《聖光極照》あたりは気になる。
弓と剣以外の戦い方を本格的に試してみるのも面白そうだった。
◇◇◇
そこへ、さらに別の通知が現れる。
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職業昇格条件達成
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《錬金術師》
↓
《神級錬金術師》
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「……神級」
一瞬、戦場にいることを忘れそうになった。
LGOでずっと使っていた職業。
サービス終了の日まで、私の分身だったリリスが辿り着いていた場所だった。
この世界へ来てから普通の《錬金術師》として一から始め、それがようやく戻ってきた。
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《神級錬金術師》
獲得
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解放:
《神級錬成》
《神級素材加工》
《神級品質制御》
《神級付与》
《神級装備錬成》
《特殊素材再構築》
《高位概念素材加工》
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「……懐かしい」
『知っている職業なのか?』
「昔、すごく好きだった」
アルは詳しく問い返さなかった。
ただ少しだけ笑う。
『なら、よかったな』
「うん」
それは素直に嬉しかった。
◇◇◇
今度はアルの身体から、黄金色と琥珀色の強い光が噴き上がった。
『な、何だ!?』
「アルもクラスアップみたい」
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上位職業進化
対象:
アルドラ・ヴァルグレイヴ
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《重騎士》
↓
《龍聖重騎士》
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進化条件:
Lv1000以上
竜人血統
重装騎士系高位熟練
大楯守護功績
重武器戦闘功績
大型騎獣との高位連携
《真の勇者》資格
精霊との高位同調
国家級防衛功績
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《竜地精霊鎧装》が呼応するように輝いた。
大地、炎、風の精霊光が三重の輪となってアルを包み、その背後へ巨大な竜翼と大盾を組み合わせたような聖紋が浮かび上がる。
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《龍聖重騎士》
獲得
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主要補正:
超重装防御極大強化
大楯防御極大強化
重武器威力極大強化
竜人能力極大強化
聖属性適性獲得
騎乗戦闘極大強化
竜騎連携強化
精霊鎧装同調強化
守護対象存在時攻防上昇
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『……これはいいな』
「気に入った?」
『かなりな』
アルが《剛魔城塞大楯》を構えると、その周囲へ黄金色の防御紋が自然に浮かび上がった。
「龍聖重騎士のアル」
『何だ?』
「前よりアルっぽい」
『どういう意味だ』
「とにかく硬そう」
『褒めているなら受け取っておこう』
ちゃんと褒めている。
◇◇◇
私にも、さらに二つの通知が現れた。
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《弓聖》
聖級実戦熟練度:
100%
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王級昇格条件達成
《弓王》
解放
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《剣聖》
聖級実戦熟練度:
100%
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王級昇格条件達成
《剣王》
解放
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「両方来た」
一万本の精霊矢による同時狙撃。
オークキングとの弓戦と近接戦。
ヴォルガンとの総力戦。
最後にはLv1180の魔王種へ《八耀魔穿狙撃・限界突破》を撃ち込んだ。
今回だけでも、弓と剣の両方で相当な実戦経験を積んでいる。
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《弓聖》
↓
《弓王》
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《剣聖》
↓
《剣王》
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「弓王と剣王」
『おめでとうと言っておく』
「ありがとう」
『まさか、もう帝級を見ていないだろうな』
「ちょっとだけ」
『今日はやめておけ』
でも、私自身も少し考えていた。
弓も剣も王級まで来た。
なら、一度ここで区切りをつけてもいいかもしれない。
次は魔法。
せっかく《真の勇者》になって魔法系技能も増えたのだから、今度は本格的な魔法使いとして戦ってみたい。
◇◇◇
その時、ノルンの身体から再び強烈な光が噴き上がった。
「ノルン?」
「ウォン……?」
本人にも何が起きているのか分からないらしい。
白銀の毛並みから大量の魔力が溢れ、《地王獅心首環》まで共鳴するように輝いている。
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特殊進化条件達成
対象:
ノルン
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Lv1000突破
王級以上の戦闘経験
国家級災害戦への参加
魔王種討伐経験
《白銀獣王晶》適合
主人との高位成長同調
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固有進化開始
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「固有進化?」
『通常の種族進化とは違うようだな』
クロも興味深そうにノルンを見る。
白銀の光が巨大な繭のようにノルンを包み込み、やがてその巨体はさらに雄大な姿へ変わっていった。
光が消えると、白銀の毛並みには淡い蒼白色の魔紋が刻まれ、額には王冠を思わせる銀色の紋章が浮かんでいた。四肢の周囲では風と光の精霊が舞い、身体全体を薄い白銀の風が包んでいる。
「ウォォォォォォォォォン――!」
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固有進化完了
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《銀嶺暴牙狼》
↓
固有個体
《白銀天嵐狼王》
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個体名:
ノルン
Lv1121
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固有能力:
《天嵐銀牙》
《白銀王威》
《天翔疾駆》
《銀嶺絶風》
《獣王再生》
《風光精霊纏》
《王狼結界》
《群狼王権》
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「ノルン、王様になった」
「ウォン!」
嬉しそうだったので頭を撫でる。
「……さらにふわふわ」
『最初に確認するところがそれなのか』
「大事」
ノルンも満足そうなので問題ない。
◇◇◇
続いて、上空のヴァルカが大きく咆哮した。
「グオオオオオオオッ!」
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特殊進化条件達成
対象:
ヴァルカ
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Lv1000突破
高位騎獣戦闘経験
《龍聖重騎士》との高位連携
精霊鎧装戦闘への参加
魔王種討伐経験
大規模空中戦闘功績
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固有進化開始
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『ヴァルカまで!?』
「今日はいっぱい進化する日みたい」
『そんな日があってたまるか!』
深紅と黒金の炎がヴァルカを包み込む。
進化後の翼はさらに雄大になり、深紅の鱗の縁には黒金色の光が走っていた。額には後方へ湾曲した二本の竜角が伸び、胸部には炎を思わせる王紋が浮かんでいる。
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固有進化完了
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《緋翼重竜》
↓
固有個体
《緋天覇翼竜》
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個体名:
ヴァルカ
Lv1118
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固有能力:
《覇翼飛翔》
《緋天竜炎》
《龍王剛鱗》
《超重騎搭載》
《覇竜急降下》
《竜騎共鳴》
《緋天再生》
《空域支配》
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ヴァルカがアルの近くへ降りる。
『お前……さらに大きくなったな』
「グルル」
「アルも嬉しそう」
『当然だ! 私の騎竜だぞ!』
「所有者は私だけど」
『今それを言うな!』
ヴァルカが私を見る。
「グオッ」
「分かってる。これからもアルと一緒に乗っていいよ」
『そこは最初から変わっていないだろう!』
◇◇◇
そして残るクロも、自分の身体を見下ろした。
『……我にも来たようだ』
「やっぱり」
次の瞬間、濃密な黒霧と青白い魂炎がクロの全身から噴き上がる。
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特殊進化条件達成
対象:
クロ
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Lv1000突破
高位魂捕食
大量魔力吸収
災厄級魔王種との戦闘
魔王種魂魄への接触
高位相互契約
主人との《成長同調》
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固有進化開始
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『……面白い』
「クロ、余裕あるね」
『進化というものには以前から興味があるのでな』
黒霧の渦がクロを完全に包み込む。
しばらくして霧が晴れると、そこには以前よりさらに威厳を増した巨大な黒狼が立っていた。
夜より深い黒の毛並み。
額には青白い魂炎による三日月型の紋章。
四肢には銀黒色の魔紋が走り、首周りには鬣のような魂炎が静かに揺れている。
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固有進化完了
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《冥魂狼》
↓
固有個体
《冥魂神狼》
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個体名:
クロ
Lv1133
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固有能力:
《神魂喰》
《冥界支配》
《魂炎神域》
《魔力完全捕食》
《呪詛完全捕食》
《冥界瞬走》
《魂魄再生》
《霊魂王威》
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『悪くない』
「ふわふわは?」
『またそれか』
首周りを撫でてみる。
「前よりふわふわ」
『そうか』
「嬉しい?」
『……悪い気はせぬ』
否定しなかった。
◇◇◇
三体の進化が終わると、改めて現在の五人が表示された。
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リリス・ルクスヴィア
Lv1128
《真の勇者》
《神級錬金術師》
《弓王》
《剣王》
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アルドラ・ヴァルグレイヴ
Lv1116
《真の勇者》
《龍聖重騎士》
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ノルン
Lv1121
固有個体
《白銀天嵐狼王》
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ヴァルカ
Lv1118
固有個体
《緋天覇翼竜》
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クロ
Lv1133
固有個体
《冥魂神狼》
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「……全員すごくなった」
『原因の大半はお前だ』
「一万倍?」
『それだ!』
◇◇◇
遠くから、オークたちの叫び声が聞こえてきた。
そこでようやく、私たちはまだ戦争が終わっていないことへ意識を戻した。
ヴォルガンが消滅したことで、《軍団強化》《皇帝覇気》《軍勢統率》は完全に失われている。さらに魔王種へ進化する際、ヴォルガン自身が周囲の配下から大量の生命力と魔力を吸い取ったせいで、残存軍は完全に混乱していた。
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《オーク大軍勢》
最高統率個体:
消失
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軍勢統率:
崩壊
士気:
壊滅的低下
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多くのオークが王都とは反対方向へ逃げ始めている。
でも、このまま逃がすわけにはいかない。
街道へ出れば旅人を襲うかもしれないし、周辺の村へ流れれば別の被害が出る。
「今回攻めてきたオークは、全部ここで倒した方がいいね」
『同感だ』
私は《広域精神念話》を開いた。
『グレンさん』
『リリス! 無事なのか!?』
『はい。あと、逃げてるオークも全部倒しましょう』
一瞬だけ沈黙があった。
『……ああ。そのつもりだ。この規模の軍勢を散らせば周辺集落が危険になる』
直後、グレンさんの声が戦場へ響く。
「全軍に通達! 追撃ではない――包囲殲滅戦へ移行する!」
「今回王都へ侵攻したオークを、一体たりとも周辺地域へ逃がすな!」
王国軍と騎士団が動き出す。
「アルは高位個体をお願い。ノルンとクロは地上の逃走個体。ヴァルカは上空から包囲を抜けそうな群れを探して」
『了解した!』
「ウォン!」
『承知』
「グオオッ!」
「私は全体を見る」
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《広域索敵網》
《味方位置共有》
《戦況共有》
同時発動
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新しく覚えた《真の勇者》の技能が、さっそく役に立った。
『全軍へ敵位置を共有します』
六万人を超える味方へ、周辺に存在するオークの位置情報を伝える。
「北西に敵集団!」
「森林方面にも反応あり!」
「騎兵隊、回り込め!」
「魔導部隊は南を塞げ!」
包囲網が一気に完成していった。
◇◇◇
固有進化した三体の力は、すぐに戦場で発揮された。
ノルンの《天翔疾駆》は以前の高速移動よりさらに速く、逃げるオークロードへ瞬時に追いつく。
「ウォォォン!」
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《銀嶺絶風》
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巨大な白銀の風刃が重装甲を断ち切った。
一方のヴァルカは上空から《空域支配》を発動し、広範囲の敵配置を把握しながら《緋天竜炎》で逃走経路を塞いでいく。
クロも黒霧すら残さず姿を消した。
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《冥界瞬走》
━━━━━━━━━━
次に姿を現した時には、すでにオークキングの背後。
『《魂炎神域》』
青白い炎が広がり、肉体を焼かずに魂と魔力だけを削っていく。
『リリス』
「何?」
『素材は残している』
「完璧」
『言われる前に覚えたぞ』
「偉い」
『我は犬ではない』
「狼だね」
『そういう意味でもない』
◇◇◇
アルも《龍聖重騎士》の力を試していた。
巨大なオークキングの大斧が振り下ろされる。
『《龍聖城塞》!』
《剛魔城塞大楯》へ黄金色と琥珀色の光が集まり、真正面から大斧を受け止めた。
アルの身体は一歩も動かない。
『軽い!』
「前にも言ってた」
『今回は本当に軽い!』
そのまま大楯で押し返し、《剛魔破城斧》を構える。
『《龍聖破城撃》!』
黄金、炎、大地の力を纏った両刃大戦斧が横薙ぎに走り、オークキングを重装甲ごと吹き飛ばした。
「アル、すごく強くなった」
『お前にだけは言われたくない!』
まだ余裕がありそうだった。
◇◇◇
私も掃討へ加わる。
今回は弓ではなく、覚えたばかりの魔法を使ってみることにした。
「《聖光槍雨》」
上空へ百を超える黄金の魔法陣が展開され、そこから大量の聖光槍が降り注いだ。
一本一本が別々の敵を追尾し、味方を避けながらオークだけを正確に貫いていく。
ドドドドドドドドッ!
「……使いやすい」
『もう新しい魔法を試しているのか!?』
「ちゃんと掃討してるよ」
『楽しそうな声だったぞ!』
否定はしない。
魔法。
やっぱり面白い。
弓王にもなったし、しばらく弓は休んでもいいかもしれない。
◇◇◇
包囲殲滅戦はその後も続いた。
王国軍、騎士団、援軍、冒険者たちが包囲を狭め、私たちが突破しようとする高位個体や大集団を処理していく。
そして最後。
《広域索敵網》に映っていた敵対反応が、一つ消えた。
━━━━━━━━━━
王都侵攻オーク軍
総数:
102,684体
━━━━━━━━━━
残存敵対生命反応:
0
王都周辺逃走個体:
0
━━━━━━━━━━
完全殲滅確認
━━━━━━━━━━
「全部いなくなった」
念のため森、丘、街道、岩場まで索敵範囲を広げる。
反応はない。
『グレンさん、敵対反応ゼロです』
『こちらでも確認した!』
直後、グレンさんの声が戦場全体へ響いた。
「全軍――戦闘終了!」
少しの静寂のあと。
「王都防衛戦――我々の完全勝利だぁぁぁぁぁっ!」
「うおおおおおおおおおおっ!」
六万を超える兵士、騎士、冒険者たちの歓声が平原を震わせた。
私は味方側の生命反応も確認する。
━━━━━━━━━━
王都防衛軍
最終生存確認
━━━━━━━━━━
戦闘死亡者:
0
━━━━━━━━━━
「ゼロ」
『……本当にやったのだな』
「うん」
敵は十万二千六百八十四体。
オークキング。
オークロード。
ネームド・オークカイザー。
最後にはLv1180の魔王種まで出現した。
それでも、こちらの戦死者は一人もいなかった。
「よかった」
『お前が六万人以上を守ったからだ』
「みんなが戦ったからだよ」
『……そういうことにしておこう』
アルは少しだけ笑った。
◇◇◇
そして戦闘が完全に終了すると、《自動収集》が猛烈な勢いで反応し始めた。
素材、魔石、武器、防具。
さらに大量の宝箱。
表示が速すぎて追えない。
「多い……」
『十万体以上いたのだから当然だろう』
今回、私自身が討伐した個体には《女神の加護》によるドロップ率補正が働いている。
本来五十%の宝箱出現率も、私の場合は上限まで引き上げられていた。
━━━━━━━━━━
《自動収集》
王都防衛戦
宝箱回収完了
━━━━━━━━━━
今回回収宝箱総数:
32,684個
━━━━━━━━━━
《木の宝箱》×8,240
《銅の宝箱》×7,615
《鉄の宝箱》×6,988
《銀の宝箱》×5,204
《金の宝箱》×3,579
《白金の宝箱》×912
《ミスリルの宝箱》×112
《アダマンタイトの宝箱》×25
《ヒヒイロカネの宝箱》×6
《オリハルコンの宝箱》×2
━━━━━━━━━━
特殊討伐宝箱:
《虹の宝箱》×1
━━━━━━━━━━
合計:
32,684個
━━━━━━━━━━
「三万二千六百八十四個」
『まさか一個ずつ開けるつもりではないだろうな』
「さすがに大変」
『安心した』
「《一括開封》が欲しい」
『そちらへ行くのか……』
《虹の宝箱》だけは、他の宝箱とは明らかに違う七色の光を放っていた。
━━━━━━━━━━
《虹の宝箱》
取得
━━━━━━━━━━
発生条件:
ネームド個体討伐
魔王種討伐
災厄級討伐
━━━━━━━━━━
「これは帰ってから開けよう」
『珍しく我慢するのだな』
「三万個以上あるから」
『理由が少し違う気がする』
◇◇◇
さらに《災厄魔皇ヴォルガン・ディザスター》の特殊ドロップも表示される。
━━━━━━━━━━
特殊討伐素材
《災厄魔皇ヴォルガン・ディザスター》
━━━━━━━━━━
《災厄魔皇鎧》
×1
状態:
大破
━━━━━━━━━━
《魔皇断肉双包丁》
×2
状態:
損傷
━━━━━━━━━━
《災厄魔王角》×6
《災厄魔王血晶》×10
《災厄魔王魔石》×1
━━━━━━━━━━
「装備も残った」
『お前の一撃で肉体ごと消えたのに残るのか』
「ドロップだから」
『便利な仕組みだな』
大破していても問題ない。
今の私は《神級錬金術師》。
しかも《特殊素材再構築》まで使える。
「これ、別の装備に作り直せそう」
『また妙なものを作る気か?』
「格好いいの」
『その答えだけは予想できた』
そして最後に、一つだけ異質なものが現れた。
真っ黒な結晶。
中心では、濃い紫色の光が心臓のように脈打っている。
━━━━━━━━━━
特殊進化素材
《魔王因子核》
━━━━━━━━━━
品質:
解析不能
━━━━━━━━━━
分類:
魔王種進化因子
━━━━━━━━━━
通常使用:
非推奨
━━━━━━━━━━
「……魔王因子核」
『リリス』
「何?」
『最後の“非推奨”をよく見ろ』
「見てるよ」
『なら、その顔をやめろ』
「どんな顔?」
『使ったらどうなるのだろう、と考えている顔だ』
「……」
『リリス』
「今日は使わないよ」
『“今日は”を付けるな!』
ちゃんと《インベントリ》へ収納した。
今すぐ使うとは言っていない。
今日は《真の勇者》になって専用技能を百個覚え、《神級錬金術師》へ戻り、《弓王》と《剣王》にもなった。
アルは《龍聖重騎士》。
ノルン、ヴァルカ、クロは三体揃って固有個体へ進化した。
そのうえ宝箱が三万二千六百八十四個。
十分すぎるくらい色々あった。
だから《魔王因子核》は、また今度。
落ち着いた場所で。
ゆっくり試せばいい。
『その顔は絶対に試す顔だぞ』
「気のせい」
『気のせいではない!』




