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第三十九話 おにぎり百個と剣聖への一歩



 翌朝。


 銀の月亭では、まだ朝食の準備が始まったばかりだった。


 私は女将さんに厨房の一角を借り、大きな鍋で炊き上げた白米を前にしていた。昨日取得した《炊飯》Lv10と《上級料理》のおかげで、粒はふっくらとしていて艶もある。湯気と一緒に、炊きたてのお米の甘い香りが立ち上っていた。


「本当に百個作るのか?」


 後ろからアルの声がする。まだ少し眠そうだった。


「うん。昨日、百個作るって言ったから」


「……まさか本当にやるとは思わなかった」


「《インベントリ》なら作りたてのまま保存できるし、冒険中に便利だから」


「理屈は分かるんだが、百個という数だけは相変わらず理解できん」


 アルが呆れたように言う。


 私は首を傾げた。


「少ない?」


「多い!」


 朝から元気だった。


◇◇◇


 具材も準備する。


 塩、焼いた魚、昨日作った甘辛肉、茸と香草の炒め物、それから薄切り肉を香ばしく焼いたもの。さらに、王都で買っておいた海苔に似た乾燥海藻も取り出した。


「五種類を二十個ずつ」


「そこは妙に几帳面なんだな」


「全部同じだと飽きるから」


 昨日取得した料理系技能を使う。


━━━━━━━━━━


《上級料理》Lv10


《食材下処理》Lv10


《高速調理》Lv10


《調味調合》Lv10


《料理品質向上》Lv10


━━━━━━━━━━


 炊きたての白米を手に取り、具を入れて形を整える。《高速調理》のおかげで手際はかなり速いけれど、雑にはならない。一個一個の大きさも具の量も、自然と同じくらいに揃っていく。


「料理スキルって便利」


「見ていると便利という言葉で済ませていいのか分からなくなるな」


「錬金術より平和だよ?」


「比較対象がおかしい」


 握って、包んで、また握る。


 しばらくすると、百個のおにぎりが完成した。


━━━━━━━━━━


《塩おにぎり》×20


《焼魚おにぎり》×20


《甘辛肉おにぎり》×20


《茸おにぎり》×20


《焼肉おにぎり》×20


━━━━━━━━━━


合計:100個


品質:高品質


━━━━━━━━━━


「完成」


「本当に百個作ったな……」


「アルの分」


 約束していた五個を取り分け、そのうち甘辛肉のおにぎりを一つ渡した。


「まだ朝食前だぞ?」


「味見」


「昨日も聞いた気がする言葉だ」


 そう言いながらも、アルは一口食べる。


 少しして、青い目がわずかに見開かれた。


「……うまい」


「でしょ?」


「もう一個いいか?」


「もちろん」


「朝飯前に二個か……」


「いっぱい味見」


「その言い方を覚えたのは失敗だった気がする」


 結局、私も一個食べた。


 炊きたての白米に甘辛い肉。朝からちょっと重いけど、美味しいから問題ない。


◇◇◇


 そのあと、私たちは普通に銀の月亭の朝食も食べた。


 今日の献立は白米、焼き魚、卵料理、野菜のお浸し、それに茸と根菜の温かい汁物だった。


 私は白米に焼き魚を乗せて食べながら満足する。


「やっぱり宿のご飯も美味しい」


「さっきおにぎりを食べたばかりじゃなかったか?」


「それとこれは別」


「お前は食事に関しても欲張りだな」


「美味しいものなら何種類でも食べたい」


「……まあ、それは分からなくもない」


 アルも普通におかわりしていた。


 人のことは言えないと思う。


◇◇◇


 朝食後。


 王都冒険者ギルドへ向かった。


「おはようございます、リリスさん、アルドラさん」


「おはようございます」


 受付のエレナさんへ挨拶すると、彼女は私の顔を見たあと、少しだけ警戒するような表情を浮かべた。


「今日は何をする予定ですか?」


「Bランク依頼」


「普通の依頼ですか?」


「普通です」


「……本当に?」


「今日は《剣聖》を取りたいから、近接戦ができる依頼を探します」


「はい?」


 エレナさんの表情が止まる。


「《剣聖》を?」


「うん。《弓聖》は昨日取れたから」


「ちょっと待ってください。昨日!?」


 ギルド内にエレナさんの声が響き、近くにいた冒険者たちがこちらを振り返った。


 アルが小さくため息をつく。


「朝から情報量が多いな」


「聞かれたから答えただけ」


「それが一番困るんだろう」


 エレナさんはしばらく額を押さえていた。


◇◇◇


 Bランク依頼掲示板へ向かい、近接戦に向いていそうな依頼を探す。


 すぐに一枚が目に入った。


━━━━━━━━━━


赤鋼鬼レッドスティール・オーガ討伐》


依頼ランク:

B(ランク)


依頼地:

王都北方《赤石丘陵》


内容:

街道周辺へ出没する

《赤鋼鬼》の集団を討伐。


確認数:

六体以上


推奨:

近接戦闘能力に優れた

冒険者を含むこと。


報酬:

金貨220枚


━━━━━━━━━━


「これにする」


「今日は本当に目的と依頼が一致しているな」


「いつも一致してるよ」


「黒鋼峡谷で依頼後に採掘を始めた奴が言うな」


「あれは帰り道」


「それを余計な寄り道というんだ」


 私は依頼書を持って受付へ戻った。


◇◇◇


「《赤鋼鬼》ですね」


 エレナさんが内容を確認する。


「通常個体でもLv70台から80台。大型の人型魔物で、棍棒、大剣、戦斧などを使います。人型なので、他の大型魔物より武器戦闘に慣れた個体が多いです」


「ちょうどいい」


「剣の訓練として、ですよね?」


「ちゃんと依頼も達成します」


「そこは心配していません。ただし……」


 エレナさんが少し表情を引き締めた。


「赤石丘陵の北側で、通常の赤鋼鬼より明らかに大きい足跡が確認されています。正体はまだ不明です」


「大きい?」


「リリス」


「まだ何も言ってない」


「声が変わった」


 アルが即座に言う。


「今回は街道周辺の《赤鋼鬼》討伐が目的です。もし大型個体を確認しても、無理に交戦せず情報を持ち帰ってください」


「分かりました」


「本当にお願いしますね?」


「無理なら帰ります」


 私がそう答えると、エレナさんは少しだけ安心した。


 隣ではアルがこちらをじっと見ている。


「何?」


「“無理なら”の基準がお前の場合かなり怪しい」


「そんなことない」


「ウォン」


「ノルンまで?」


 また味方が減った。


◇◇◇


 王都北方。


 《赤石丘陵》。


 名前の通り赤茶色の岩が多く、なだらかな丘と低木が続いている。


 街道から少し離れた場所で《上級索敵》を使うと、すぐに複数の大型反応を捉えた。


「八体いる」


「依頼条件は十分だな」


「ちょうどいい」


「剣聖のためにも?」


「もちろん」


 今日は白銀の《蒼聖勇装》。


 背中には《聖蒼銀弓》もあるけれど、基本的には使わない。


 腰の左右から《双耀聖剣》を抜く。


「今日は剣中心で行く」


「必要なら弓も使えよ」


「うん。縛りプレイするつもりはないから」


「その言葉の意味は分からんが、無茶をしないならいい」


 ノルンが低く鳴き、上空ではヴァルカが翼を広げた。


◇◇◇


 丘を越えると、八体の《赤鋼鬼》がいた。


 赤黒い皮膚に巨大な身体。肩や胸、腕の一部は赤い金属のような硬質皮膚に覆われている。それぞれが大剣、戦斧、棍棒を持っていた。


━━━━━━━━━━


赤鋼鬼レッドスティール・オーガ


Lv73


Lv75


Lv78


Lv79


Lv81


Lv82


Lv84


Lv86


━━━━━━━━━━


「私、四体」


「いきなり多くないか?」


「一対一より実戦条件が進みそう」


「……無茶はするなよ」


「分かった」


 ちょうどその時、一体の赤鋼鬼がこちらへ気づいた。


「グォォォォォッ!」


 咆哮を上げると、他の七体も一斉に武器を構える。


 地面を揺らしながら、巨大な鬼たちが突っ込んできた。


◇◇◇


「《上級二刀流》」


 最初の棍棒を《見切り》でかわす。


 巨大な棍棒が地面へ叩きつけられ、赤い岩が砕け散った。その直後、右から大剣が横薙ぎに迫る。


「《受流し》」


 右手の聖剣で刃を滑らせ、軌道を上へ逸らす。そのまま左の聖剣を振り抜いた。


「《瞬閃》」


 銀白色の軌跡が走り、赤鋼鬼の脇腹へ深い傷が刻まれる。


「グォッ!?」


「やっぱり硬い」


 でも、斬れないほどではない。


 三体目の戦斧と四体目の棍棒がほぼ同時に迫ったため、《戦闘思考加速》を発動する。


 斧を右剣で流し、左剣で棍棒の軌道を弾く。続けて身体を回転させるように踏み込み、二本の剣を一気に走らせた。


「《双剣連撃》!」


 胸、腕、腿、脇腹。


 複数の斬撃が赤鋼皮を削っていく。


『楽しそうだな!』


 少し離れた場所で二体を受け止めていたアルの声が飛んできた。


「楽しい!」


『やっぱりか!』


 今日は剣を存分に使える。


 いつもの遠距離狙撃とは違うけれど、これはこれで面白い。


◇◇◇


 一体が巨大な拳を振り下ろしてくる。


「《武器受け》!」


 二本の聖剣を交差させて受け止める。


 重い。


 それでも《超筋力強化》と《身体強化》で押し返し、相手の体勢が崩れた瞬間に左右から斬り込んだ。


「《双剣反撃》!」


 二本の刃が腕と腹を裂く。


 さらに右剣へ魔力を集中。


「《装甲断ち》!」


 硬質化した胸部を斬り開き、左剣を続ける。


「《魔力斬撃》!」


 銀白色の刃が傷口から内部へ走った。


「グ……ォ……」


 最初の一体が崩れ落ちる。


━━━━━━━━━━


《赤鋼鬼》


討伐


━━━━━━━━━━


 残り三体。


 一体の棍棒を《受流斬》で逸らし、その流れを利用して腕を斬る。続けて下段から《反月》を放ち、赤鋼鬼の体勢を大きく崩した。


「《疾風連斬》!」


 高速の連撃で硬質皮膚を削り、最後は首元へ。


「《一閃》!」


 銀色の線が走る。


 二体目が地面へ倒れた。


 その瞬間、視界に表示が現れる。


━━━━━━━━━━


《剣聖》


実戦条件進行:


大幅上昇


━━━━━━━━━━


「来た」


『進んだのか?』


「うん!」


『ならその調子で行け!』


◇◇◇


 残る二体はLv84とLv86。


 さっきまでの個体より動きがいい。


 一体の戦斧を右剣で受け流した瞬間、もう一体の大剣が死角から迫ってきた。


「《双剣受流し》!」


 二本の剣を別々に動かし、斧と大剣を同時に逸らす。


 そのまま懐へ踏み込む。


「《高速斬撃》!」


 三連。


 四連。


 五連。


 赤鋼鬼の外皮に傷が増える。


 斧が振り戻される直前に横へ抜け、《連続斬撃》で腕、肩、腹を一気に斬り裂く。


「《剛断》!」


 最後の一撃。


 ズバァンッ!


 Lv84の赤鋼鬼が倒れた。


◇◇◇


 最後の一体。


 Lv86。


「グォォォォォッ!」


 全身から赤い魔力が噴き出す。


━━━━━━━━━━


《赤鋼硬化》


━━━━━━━━━━


 皮膚の金属光沢が一気に増した。


「防御強化か」


 弓なら弱点を狙って一撃で抜けばいい。


 でも、今日は剣。


 真正面から崩してみる。


「来て」


「グォォォッ!」


 大剣が振り下ろされる。


 右剣で刃を滑らせ、左剣を胸へ突き出す。


 キィンッ!


 弾かれた。


「かなり硬い」


 なら。


「《属性剣》」


 右剣へ光。


 左剣へ風。


 光の刃で硬化した外皮そのものを削り、風の刃で装甲の継ぎ目を狙う。


「《高速斬撃》!」


 銀白と淡緑の軌跡が何度も交差する。


 赤鋼硬化に傷が増え、ついに一部が砕け始めた。


 相手は構わず大剣を真上から振り下ろしてくる。


 今度は避けない。


「《双剣受流し》!」


 ガァァンッ!


 強烈な衝撃。


 それでも二本の聖剣で力を左右へ逃がす。


 大剣が地面を叩いた。


 赤鋼鬼の胸が開く。


「《弱点看破》」


 硬化が薄くなった一点。


 そこへ。


「《装甲断ち》!」


 右剣。


「《魔力障壁斬り》!」


 左剣。


 二つの防御を重ねて破壊し、最後は二剣を交差させる。


「《瞬閃》!」


 銀白の光が一瞬だけ走った。


「グ……ォ……」


 巨大な赤鋼鬼がゆっくりと倒れる。


 地面が大きく揺れた。


━━━━━━━━━━


《赤鋼鬼》


討伐完了


━━━━━━━━━━


◇◇◇


「終わった」


『こちらもだ!』


 アルは二体を撃破。


 ノルンとヴァルカも、それぞれ一体ずつ仕留めていた。


━━━━━━━━━━


《赤鋼鬼》×8


討伐完了


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 そして、待っていた表示が現れる。


━━━━━━━━━━


《剣聖》


実戦条件:


極めて高い水準まで到達


習得条件達成まで:


残り僅か


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「……あと少し」


 剣聖までは届かなかった。


 でも、本当にすぐそこまで来ている。


「今回は取れなかったか」


「うん。でも残り僅か」


「なら焦る必要はない。次の実戦で十分狙えるだろう」


「うん」


 《弓聖》は取得済み。


 そして《剣聖》も、あとほんの少し。


 順調。


◇◇◇


「ウォン……」


 突然。


 ノルンが北へ顔を向けた。


 耳が立ち、低い唸り声を漏らす。


「どうした?」


「グルルル……」


 上空のヴァルカも飛行速度を落とし、北側を警戒するように旋回した。


 私も《上級索敵》を広げる。


「……いる」


『大きいのか?』


「かなり」


 赤鋼鬼とは明らかに違う巨大な生命反応が、ゆっくりと移動している。


 方向は。


「街道側に向かってる」


『朝に言っていた大型個体かもしれんな』


「確認しよう」


『エレナの話は覚えているな?』


「危険すぎたら戻る。でも街道に出るなら放置はできない」


 アルは少し考えてから頷いた。


『それなら私も同意だ』


「ウォン!」


「グオオッ!」


◇◇◇


 移動前に経験値が反映される。


━━━━━━━━━━


《パーティー経験値共有》


対象:


リリス


アルドラ


ノルン


ヴァルカ


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


リリス・ルクスヴィア


Lv111



Lv113


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


アルドラ・ヴァルグレイヴ


Lv90



Lv91


━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━


ヴァルカ


Lv93



Lv94


━━━━━━━━━━


 ノルンにも経験値が共有される。


「みんな順調」


『このあと何も起きなければ、な』


「たぶん起きる」


『分かっているから言うな』


◇◇◇


 《自動収集》も発動する。


━━━━━━━━━━


《赤鋼鬼の硬皮》×240


《赤鋼鬼の大角》×80


《赤鋼鬼の剛牙》×100


《赤鋼鬼の魔石》×80


《赤鋼鬼の大剣》×30


《赤鋼鬼の戦斧》×20


《赤鋼鬼の重棍棒》×30


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希少素材:


《赤鋼鬼血晶》×2


品質:


希少級(レア)


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 宝箱は。


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銀宝箱×4


金宝箱×4


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「今日は白金なし」


『普通は金宝箱が四つもあれば十分なんだ』


「そう?」


『その感覚は一度冒険者ギルドで矯正してもらえ』


「エレナさんに?」


『あの人なら本気でやってくれそうだ』


 全部インベントリへ収納する。


◇◇◇


 北へ進む。


 丘を一つ越えたところで、大きな足跡を見つけた。


 普通の赤鋼鬼とは比べものにならない。


 足跡だけで、相当な巨体だと分かる。


 ズンッ。


 遠くで地面が揺れた。


 少し間を置いて、もう一度。


 ズンッ。


『近いぞ』


「うん」


 岩陰の向こうから、巨大な影が姿を現す。


 赤黒い肉体は通常の赤鋼鬼より一回り以上大きく、全身の硬質皮膚は鎧そのものみたいに発達している。頭部には王冠を思わせる複数の角が伸び、右手には人間なら家の柱ほどもある巨大な大剣が握られていた。


「《上級鑑定》」


━━━━━━━━━━


赤鋼鬼王クリムゾン・スティールオーガキング


Lv112


危険度:


S(ランク)


分類:


上位王種


━━━━━━━━━━


主能力:


《王鋼鬼殻》


《鬼王剛力》


《赤鋼硬化》


《大剣豪撃》


《衝撃波斬》


《闘気爆発》


《強靭再生》


━━━━━━━━━━


「Sランク……Lv112」


 私はLv113。


 レベルだけなら、ほとんど差はない。


 ただし、相手はS(ランク)の上位王種。単純なレベルだけでは測れない強さを持っている。


 そして私の視界には、もう一つの表示が残っていた。


━━━━━━━━━━


《剣聖》


習得条件達成まで:


残り僅か


━━━━━━━━━━


 左右の《双耀聖剣》を握り直す。


『リリス』


「うん」


『まず街道から引き離す。私が前へ出るから、お前は無理に正面から受けるな』


「分かった」


『危険だと判断したら撤退するぞ』


「うん。そこは約束する」


 ノルンが低く構え、ヴァルカが上空で大きく翼を広げる。


 赤鋼鬼王はこちらに気づいた。


「グオォォォォォォォォッ!!」


 轟く咆哮。


 大剣が持ち上がる。


 私も二本の聖剣を抜き放った。


 《剣聖》まで、あとほんの少し。


「行こう、アル」


『ああ!』


 S(ランク)の鬼王が、地面を震わせながらこちらへ踏み出した。

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