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第三十七話 百矢と弓聖



 夕方。


 王都へ戻った。


 私。


 黒帝蠍装備。


 アル。


 岩王装備。


 ノルン。


 白銀。


 ヴァルカ。


 深紅。


「……」


 門の衛兵さんが。


 こっちを見る。


「どうしたの?」


『今の私たち、かなり目立つぞ』


「そう?」


『そうだ』


 確かに。


 黒銀色の蠍型全身鎧。


 その隣には。


 巨大な片刃大戦斧と城壁みたいな大楯を持った重騎士。


 さらに。


 巨大な白銀狼。


 深紅の飛竜。


「……強そう」


『自分たちで言うのか?』


「見た目の話」


『否定はしない』


「ウォン!」


「グオオッ!」


 ノルンとヴァルカ。


 なんとなく誇らしそうだった。


◇◇◇


 銀の月亭。


 装備を外す。


 夕食。


 今日は。


 焼いた牛肉。


 香草入りの温野菜。


 豆と茸のスープ。


 それから。


 柔らかい白パン。


「お肉」


『結局そこから食べるんだな』


「好きだから」


『知っている』


 アルも肉を切る。


「アルも」


『私は重騎士だからな。よく動く日は特に腹が減る』


「私、食べなくても平気だけど食べる」


『それは趣味に近い気がするぞ』


「美味しいもの食べるの大事」


『そこには同意する』


 食事。


 ゆっくり。


 今日の戦い。


 岩王装備。


 黒帝蠍装備。


 話しながら食べる。


「毒麻痺矢、三十本でLv99にも効いた」


『食事中に毒の話をするな』


「あ」


『しかも笑顔で』


「美味しいから」


『どっちの話だ!?』


 肉。


 もちろん。


◇◇◇


 食後。


 お風呂。


 自室。


「宝箱」


 今日の収穫。


━━━━━━━━━━


金宝箱×2


白金宝箱×1


━━━━━━━━━━


 まず。


 金宝箱。


 開く。


━━━━━━━━━━


《金宝箱》


開封完了


━━━━━━━━━━


《地晶鋼》×60


《高純度土魔晶》×30


《剛獣皮》×40


《高級回復薬》×20


《技能書:地属性耐性》×1


金貨×850


━━━━━━━━━━


 二個目。


━━━━━━━━━━


《金宝箱》


開封完了


━━━━━━━━━━


《金剛晶》×40


《大地魔晶石》×30


《高純度アダマンタイト》×20


《技能書:衝撃耐性強化》×1


《戦技書:地砕撃》×1


白金貨×300


━━━━━━━━━━


「地属性いっぱい」


 岩獅子だったから。


 分かりやすい。


 そして。


「白金」


 最後。


 蓋。


 開く。


 白金色。


 光る。


━━━━━━━━━━


《白金宝箱》


開封完了


━━━━━━━━━━


地王獅心首環ガイア・レオハートカラー


A(ランク)


伝説級(レジェンド)


分類:


高位騎獣・従魔用首環


━━━━━━━━━━


主効果:


《物理防御超強化》


《衝撃耐性超強化》


《地属性耐性超強化》


《持久力強化》


《疾走安定化》


《悪路走破強化》


《踏ん張り強化》


《魔力循環補助》


《自己修復》


━━━━━━━━━━


「首輪」


 従魔用。


「ノルン」


「ウォン?」


 部屋の外。


 呼ぶ。


 少しして。


 大きな白銀の顔。


「これ出た」


「ウォフ?」


━━━━━━━━━━


《地王獅心首環》


━━━━━━━━━━


 ノルン。


 匂い。


 嗅ぐ。


「いる?」


「ウォン!」


「じゃあ付けよう」


 今の《白銀疾装》と干渉しないよう。


 首元。


 装着。


 黒銀色。


 中央には。


 琥珀色の獅子型魔晶。


━━━━━━━━━━


ノルン


《地王獅心首環》


装備


━━━━━━━━━━


「似合う」


「ウォン!」


 尻尾。


 ゆっくり。


 ぶんぶん。


『また装備を配っているのか?』


 後ろ。


 アル。


「ノルン用出た」


『なるほど』


「アルには今日はなし」


『安心した』


「残念?」


『安心した!』


「二回言った」


『大事だからな!』


◇◇◇


 白金宝箱。


 まだある。


━━━━━━━━━━


《技能書:地脈踏破》×1


《技能書:超衝撃軽減》×1


《大地獅王晶》×10


《高純度地脈結晶》×30


《金剛晶》×80


《アダマンタイト》×100


創晶石(アルケリウム)》×50


《万能回復薬》×10


白金貨×2200


━━━━━━━━━━


「いっぱい」


『また何か作るなよ』


「まだ何も言ってない」


『素材を見ながら考えている顔だった』


「顔見えてるから?」


『今は兜を外しているからな!』


「あ」


 逃げ道。


 なくなった。


◇◇◇


 翌朝。


 王都から離れた。


 広い荒野。


 周囲。


 人。


 なし。


 建物。


 なし。


 魔物反応も。


 近くにはなし。


『ここまで来ればいいだろう』


「うん」


 アル。


 岩王装備じゃない。


 今日は普段用。


 《剛魔鋼》装備。


 深青色の《蒼雷竜翼外套》。


 ヴァルカ。


 上空。


 ノルン。


 隣。


 私は。


 《黒帝蠍装甲》。


「昨日の続き」


『百本か』


「覚えてた」


『あれだけ大声で言われたらな』


「じゃあやる」


『的は?』


「作る」


 錬金。


 岩。


 金属。


 簡単な大型標的。


 距離。


 一キロ。


 三キロ。


 五キロ。


 十キロ。


 複数。


『……訓練で十キロか』


「遠距離射撃だから」


『まあ、お前ならそうなるか』


◇◇◇


 《黒帝蠍魔弓》。


 構える。


「最初は普通の魔力矢」


『毒は?』


「今日は的だから」


『少し安心した』


 魔力。


 展開。


「《魔力矢多重生成》」


 一。


 十。


 二十。


 五十。


 さらに。


 百。


━━━━━━━━━━


《魔力矢》×100


生成


━━━━━━━━━━


『……本当に出したな』


「出た」


 私の周囲。


 百本。


 銀白色の魔力矢。


 浮かぶ。


 でも。


 これ。


 ただ撃つだけなら簡単。


 問題。


 全部。


 別々に狙うこと。


「《並列思考》」


「《戦闘思考加速》」


「《超高速魔力演算》」


「《魔力操作》」


 百。


 同時。


 座標。


 距離。


 風。


 高度。


 標的。


 全部。


 計算。


 視界。


 広がる。


「《高速照準》」


 一本。


 近距離。


 十五本。


 三キロ。


 二十本。


 五キロ。


 残り。


 十キロ。


『待て』


「何?」


『一本ずつ違う位置を狙っているのか?』


「うん」


『百本全部?』


「うん」


『……毒麻痺より、そっちの方が怖いな』


「そう?」


『普通はできん!』


 そうなのかな。


◇◇◇


「《多重標的射撃》」


 百。


 固定。


「発射」


 シュバァァァァァァァァッ――!


 空。


 埋まる。


 百本。


 一斉。


 でも。


 一本の塊じゃない。


 別々。


 散る。


 上。


 下。


 左右。


 曲線。


 直線。


 急上昇。


 急降下。


 そして。


 着弾。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドッ――!


 一キロ。


 三キロ。


 五キロ。


 十キロ。


 ほぼ同時。


 標的。


 全部。


 中心。


「……できた」


『できた、じゃない!』


「ズレ?」


『そうではない!』


 遠視。


 確認。


 命中。


 九十九。


「一本外した」


『一本しか外していないのか!?』


「悔しい」


『その感想になるのか!?』


◇◇◇


 もう一回。


「次は百本全部当てる」


『休まなくていいのか?』


「全然」


 魔力。


 まだ。


 いっぱいある。


「《魔力矢多重生成》」


 百。


 今度。


 一つ一つ。


 少し違う。


 速度。


 軌道。


 到達時間。


 全部。


 調整。


『……何をしている?』


「同時着弾」


『距離が全部違うぞ?』


「だから速度変える」


『百本全部?』


「うん」


 アル。


 黙った。


「どうしたの?」


『もう好きにしろ』


「やった」


『褒めてはいない!』


◇◇◇


「《超精密射撃》」


「《軌道予測》」


「《超長距離狙撃》」


「《多重標的射撃》」


 百。


 狙い。


 固定。


「行く」


 放つ。


 シュン――。


 最初。


 遠距離用。


 高速。


 続けて。


 中距離。


 少し遅く。


 近距離。


 最後。


 速度調整。


 百本が。


 それぞれ。


 全く違う軌道で飛ぶ。


 でも。


 着弾。


 一つ。


 瞬間。


 ドォォォォォォンッ!


 全部。


 同時。


 百の標的。


 中心。


 貫通。


━━━━━━━━━━


命中:


100/100


━━━━━━━━━━


「できた」


 その瞬間。


 目の前。


 表示。


━━━━━━━━━━


《弓術系統》


実戦・技量条件


達成


━━━━━━━━━━


「ん?」


 さらに。


━━━━━━━━━━


《上級弓術》


《超狙撃》


《超精密射撃》


《超長距離狙撃》


《多重標的射撃》


《魔導弓術》


《魔力矢》


《魔力操作》


関連条件達成


━━━━━━━━━━


 そして。


 金色。


 今までとは。


 違う表示。


━━━━━━━━━━


特殊技能解放


《弓聖》


━━━━━━━━━━


「……」


『リリス?』


「取れた」


『何が?』


「《弓聖》」


『……本当に?』


「うん」


━━━━━━━━━━


《弓聖》


習得完了


━━━━━━━━━━


 来た。


 ずっと。


 条件を進めていた。


 弓。


 ようやく。


 聖級。


「やった」


「ウォォォン!」


「グオオオオッ!」


 ノルン。


 ヴァルカ。


 鳴く。


『おめでとう、リリス』


「ありがとう」


 嬉しい。


 かなり。


◇◇◇


 詳細。


━━━━━━━━━━


《弓聖》


分類:


聖級弓技能


━━━━━━━━━━


効果:


《弓術総合補正・聖級》


《射撃威力超強化》


《射撃精度超強化》


《射程超拡張》


《弾道制御超強化》


《高速照準超強化》


《多重射撃制御超強化》


《魔力矢制御超強化》


《弱点狙撃補正》


《超長距離射撃安定化》


《弓戦技成長補正》


━━━━━━━━━━


 さらに。


━━━━━━━━━━


《聖級戦技習得条件》


解放


━━━━━━━━━━


「戦技も増えそう」


『まだ強くなるのか』


「うん」


『即答だな……』


 でも。


 その下。


━━━━━━━━━━


上位段階:


《弓王》


━━━━━━━━━━


習得条件:


未達成


《弓聖》熟練不足


━━━━━━━━━━


「次は弓王」


『早い!』


「表示されたから」


『弓聖になった直後だぞ!』


「まだ取らないよ」


『当たり前だ!』


「熟練足りないし」


『そういう意味じゃない!』


◇◇◇


 弓。


 握る。


 さっきまでと。


 同じ。


 なのに。


 違う。


 距離感。


 弦。


 魔力。


 軌道。


 全部。


 前より。


 自然。


「試していい?」


『何本?』


「一本」


『……本当に?』


「一応」


『何だ、その“一応”は』


 普通の標的。


 十キロ先。


 弓。


 構える。


 特別。


 力を入れない。


「《魔力矢》」


 一本。


 狙う。


 放つ。


 シュン。


 直後。


 十キロ先。


 ドンッ!


「速い」


『今の普通射撃か?』


「うん」


 威力。


 精度。


 速度。


 全部。


 上がっている。


「弓聖すごい」


『その弓も古代級なんだがな』


「両方強い」


『そうだな』


◇◇◇


 でも。


 あと一つ。


━━━━━━━━━━


《剣聖》


条件進行中


━━━━━━━━━━


「剣」


『やはり両方取るんだな』


「うん」


『次は百本の剣を飛ばす、とか言うなよ』


「それ魔法じゃない?」


『そういう問題ではない!』


「剣はちゃんと近接で取る」


『……安心した』


「たぶん」


『今の一言を取り消せ!』


 でも。


 剣聖。


 条件。


 かなり進んでいる。


 あと少し。


 弓聖。


 取れた。


 なら。


 剣聖も。


「近いうちに取る」


『ああ』


 アル。


 大戦斧を肩に担ぐ。


『なら、次は近接戦を多めにすればいい』


「アル付き合ってくれる?」


『もちろんだ』


「ありがとう」


『ただし』


「何?」


『私に毒麻痺矢を百本撃つのは禁止だ』


「百本は撃たない」


『……一本なら撃つつもりか?』


「冗談」


『間が怖い!』


「ウォン!」


「グオオッ!」


 百本の魔力矢。


 そこから。


 ようやく手に入れた。


 《弓聖》。


 次。


 目指すのは。


 《剣聖》。


 その前に。


「お昼食べよう」


『急に日常へ戻ったな』


「お腹空いた」


『お前、食べなくても平気なんじゃなかったか?』


「食べたいのは別」


『……それもそうか』


「お肉あるよ」


『行こう』


「即答」


『朝から訓練したからな』


 そんな感じで。


 弓聖になった最初の日は。


 お昼ご飯を食べるところから始まった。

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