第三十六話 黒帝蠍と岩王城塞の実戦試験
王都外縁。
広い訓練場。
朝。
私は黒銀色の全身鎧を纏っていた。
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《黒帝蠍装甲》
S級
古代級
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頭には。
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《黒帝蠍兜》
S級
古代級
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背中。
《黒帝蠍魔弓》。
腰。
《黒帝蠍尾鞭剣》。
いつもの白銀装備とは。
全然違う。
「……やっぱりいい」
『何回目だ?』
「今日は一回目」
『昨日からなら?』
「数えてない」
『都合の悪い時だけ数えないんだな』
横。
アル。
こっちも。
いつもの《剛魔鋼》装備じゃない。
黒灰色と暗銀色。
琥珀色の地脈紋。
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《岩王重騎鎧》
《岩王重騎兜》
《岩王城塞大楯》
《岩王断城大斧》
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巨大な片刃大戦斧。
反対側には装甲破砕用の重い角。
かなりアルに似合っている。
「カッコいい」
『二回目だぞ』
「私の装備一回、アル一回」
『別集計なのか!?』
「もちろん」
『何がもちろんなんだ』
「ウォン!」
「グオオッ!」
ノルン。
ヴァルカ。
朝から元気。
「じゃあ行こう」
『訓練場で試すんじゃないのか?』
「ここだと全力で試せない」
『嫌な予感がする』
「人がいないところまで行くだけ」
『その先は?』
「強そうな魔物探す」
『やっぱりか!』
◇◇◇
王都からかなり離れた。
北西部。
岩山と森林が入り混じる地域。
人通りはほとんどない。
「《上級索敵》」
範囲を広げる。
生命反応。
小型。
中型。
大型。
「……いた」
『その声は強い奴を見つけたな』
「兜で顔見えないのに」
『もう声で分かる』
「対策できない」
『する必要があるのか?』
ないかも。
◇◇◇
反応。
三体。
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《剛殻岩獅子》
Lv87
危険度:
A級
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《|剛殻岩獅子》
Lv89
危険度:
A級
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そして。
一際大きい。
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《地砕岩獅子王》
Lv99
危険度:
A級
分類:
群れ主・上位個体
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主能力:
《岩王皮殻》
《地砕爪》
《震地咆哮》
《大地纏》
《岩槍隆起》
《強靭再生》
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「Lv99」
『ちょうどいいな』
「アルも言うようになった」
『……お前に影響された気がする』
「成長」
『悪化かもしれん』
◇◇◇
岩場。
三体の巨大な獅子型魔物。
身体を覆う。
岩石みたいな甲殻。
太い前脚。
一本一本が短剣ほどもある爪。
「最初どうする?」
『王は私が受ける』
「防御試験?」
『ああ。せっかく作ってもらった防御特化装備だ。どこまで耐えられるか見たい』
「分かった」
『リリスは?』
「毒と麻痺」
『その返事だけ聞くと完全に暗殺者だな』
「錬金術師」
『もっと分からなくなった』
◇◇◇
「グルルルル……!」
三体がこちらへ気づいた。
中央。
地砕岩獅子王。
「ガァァァァァァァッ!」
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《震地咆哮》
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ドォォンッ!
大気。
大地。
同時に震える。
そのまま。
地砕岩獅子王が走り出した。
「速い」
『来い!』
アル。
大楯。
地面。
ズンッ!
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《大楯固定》
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
《不動要塞》
━━━━━━━━━━
さらに。
━━━━━━━━━━
《岩王城塞》
発動
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地面から。
琥珀色の魔力。
アルの両脚。
全身鎧。
大楯。
つながる。
「ガァァァァッ!」
激突。
ドゴォォォォォォンッ!
地面。
割れる。
岩。
飛ぶ。
土煙。
「アル!」
『問題ない!』
土煙が晴れる。
アル。
その場所から。
一歩も動いていない。
「……すご」
Lv99。
大型魔物。
全力突進。
完全停止。
むしろ。
地砕岩獅子王の方が頭を振っていた。
『これはいいな』
「城壁」
『今回は否定しない』
「やった」
『なぜそこを喜ぶ!』
◇◇◇
残る二体。
一体。
ノルンへ。
もう一体。
ヴァルカへ。
「ウォン!」
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《白銀疾駆》
━━━━━━━━━━
白銀の残像。
「グオオオオッ!」
ヴァルカ。
上昇。
私は。
《黒帝蠍魔弓》を構える。
「さて」
毒。
麻痺。
試したい。
でも。
一発ずつ撃つ必要は。
「……ないね」
『何がだ?』
「一度にいっぱい撃てばいい」
『嫌なことを思いついた顔をしているな』
「兜で見えないよ」
『だから声で分かると言っている!』
◇◇◇
スキル。
発動。
「《魔力矢多重生成》」
ブンッ!
弓の周囲。
魔力。
広がる。
一本。
二本。
四本。
八本。
十六本。
さらに。
紫色の魔力。
半分。
青紫色の魔力。
半分。
━━━━━━━━━━
《毒魔力矢》×10
《麻痺魔力矢》×10
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「二十本」
『待て待て待て!』
「何?」
『最初からそれをやるのか!?』
「そのための装備だし」
『そうだが!』
「《多重射撃》」
狙い。
一体の《剛殻岩獅子》。
全身。
脚。
肩。
胴。
甲殻の継ぎ目。
「発射」
シュバババババババババッ――!
二十本。
同時。
空を走る。
「ガァッ!?」
岩獅子。
避けようとする。
でも。
「《予測射撃》」
逃げる先まで。
全部。
先回り。
ドドドドドドドドドドッ!
紫。
青紫。
次々。
命中。
━━━━━━━━━━
《猛毒》
蓄積:
100%
━━━━━━━━━━
《神経麻痺》
蓄積:
100%
━━━━━━━━━━
《猛毒》
発症
━━━━━━━━━━
《神経麻痺》
発症
━━━━━━━━━━
「ガ……ァ……」
ドサッ。
一瞬。
本当に。
一瞬だった。
剛殻岩獅子。
地面へ崩れる。
死んではいない。
でも。
全身麻痺。
さらに猛毒。
完全に動けない。
「……おお」
『おお、ではない!』
「一瞬だった」
『見れば分かる!』
「一発ずつ撃つよりこっちの方が早い」
『当たり前だ!』
「何で最初からこれにしなかったんだろう」
『私が聞きたい!』
確かに。
◇◇◇
「じゃあ次」
『まだやるのか!?』
「もう一体いる」
ヴァルカが牽制している。
Lv89。
《剛殻岩獅子》。
「今度は混ぜる」
毒と麻痺。
一つの矢へ。
「《複合状態異常付与》」
「《魔力矢多重生成》」
黒紫色。
青紫色の筋。
十本。
二十本。
━━━━━━━━━━
《毒麻痺複合矢》×20
━━━━━━━━━━
『増えてないか?』
「さっきも二十本」
『一本一本が両方になってるだろう!』
「あ」
『あ、じゃない!』
「強化された」
『誰が強化しろと言った!』
◇◇◇
「《多重標的射撃》」
二十本。
標的。
全部。
一体。
「《高速照準》」
「《多重射撃》」
放つ。
シュバババババババッ!
剛殻岩獅子。
横へ跳ぶ。
でも。
魔力矢。
曲がる。
追う。
「ガァァッ!?」
ドドドドドドドドッ!
肩。
前脚。
後脚。
脇腹。
次々と突き刺さる。
━━━━━━━━━━
《猛毒》
蓄積:
100%
━━━━━━━━━━
《神経麻痺》
蓄積:
100%
━━━━━━━━━━
《毒性増幅》
発動
━━━━━━━━━━
《麻痺蓄積増幅》
発動
━━━━━━━━━━
「ガ……」
ドォン。
二体目。
倒れた。
「速い」
『むしろ今まで一発ずつ試していた方がおかしい』
「性能確認だったから」
『今回は?』
「効率確認」
『言い方を変えただけだろう!』
「ウォン!」
ノルンがこっちを見る。
「ノルンも撃ってほしい?」
「ウォフッ!?」
すごい勢いで首を横に振られた。
「冗談」
『動物にも通じる冗談にしろ!』
◇◇◇
中央。
アル。
地砕岩獅子王。
巨大な爪。
大楯。
ガガガガガンッ!
『ハァッ!』
全部。
受ける。
一歩も退かない。
「本当に硬い」
『私もそう思う!』
地砕岩獅子王。
両前脚。
地面。
叩く。
━━━━━━━━━━
《岩槍隆起》
━━━━━━━━━━
ドドドドドドッ!
アルの足元。
背後。
左右。
岩槍。
無数。
『来たか!』
━━━━━━━━━━
《緊急岩王障壁》
━━━━━━━━━━
琥珀色。
半球状。
障壁。
ガガガガガガンッ!
岩槍。
全部。
停止。
「すごい」
『かなりいいぞ、この鎧!』
「作ってよかった」
『ああ!』
声。
ちょっと楽しそう。
「アルも遊んでる」
『これは実戦試験だ!』
「私も」
『お前は完全に遊んでいただろう!』
◇◇◇
アル。
防御を解く。
大楯。
背中。
《岩王断城大斧》。
両手。
『今度は斧だ!』
片刃。
巨大な刃。
琥珀色の地脈魔力。
走る。
岩獅子王。
爪。
振り下ろす。
アル。
片刃大戦斧。
迎撃。
ガァァンッ!
『《重斬撃》!』
ズガンッ!
巨大な爪。
弾く。
そのまま。
反転。
反対側。
破砕角。
ドゴンッ!
「ガァァッ!」
岩甲殻。
亀裂。
『いいな』
「片刃?」
『ああ!』
アル。
大斧。
振りかぶる。
『刃側へ重心を集中できる!』
踏み込み。
『《剛断》!』
ズドォォォォンッ!
片刃。
岩王皮殻。
深く。
食い込む。
「ガァァァァッ!」
「やっぱり似合う」
『今それを言うのか!?』
「戦ってるところも含めて」
『……なら悪い気はしない!』
素直。
◇◇◇
私は。
倒れている二体を見る。
麻痺。
毒。
効いている。
これなら。
複数の魔物でも。
「まとめてできるかな」
『何を考えた!?』
「今は二体別々だったから」
『まさか』
「敵が十体いたら」
『やめろ』
「一体につき二十本」
『やめろ』
「二百本」
『数えるな!』
「《魔力矢多重生成》で――」
『今ここで試すな!』
「敵いない」
『そういう問題じゃない!』
「冗談」
『絶対半分本気だっただろう!』
「半分?」
『もっとか!?』
◇◇◇
でも。
性能としては。
できる。
私の魔力。
魔力制御。
並列思考。
多重生成。
多重射撃。
多重標的。
組み合わせれば。
大量の毒麻痺複合矢を。
複数標的へ同時に撃てる。
「強い」
『今さらだな』
「遊び用なのに」
『その言葉を禁止したくなってきた』
◇◇◇
「じゃあ鞭剣」
『まだあるんだったな……』
弓。
収納。
《黒帝蠍尾鞭剣》。
抜く。
黒銀色。
剣形態。
「展開」
ジャララララッ!
━━━━━━━━━━
《鞭剣形態》
━━━━━━━━━━
さらに。
━━━━━━━━━━
《双尾展開》
━━━━━━━━━━
先端。
二本。
一方。
紫。
一方。
青紫。
アル。
少し離れる。
「何で離れるの?」
『さっき二十本撃った奴の近くにいたくない!』
「鞭剣だから矢は出ないよ」
『それは分かっている!』
◇◇◇
狙い。
すでに麻痺している岩獅子。
「動かない相手だと練習しやすい」
『急に悪役みたいなことを言うな』
「安全だから」
『言い換えても怖い!』
鞭剣。
振る。
ジャラァァッ!
最初。
やっぱり。
普通の剣とは違う。
刃節。
長さ。
軌道。
重心。
全部。
常に変わる。
「《戦闘思考加速》」
右。
左。
回す。
伸ばす。
戻す。
「なるほど」
魔力操作。
加える。
「《状態異常魔力制御》」
鞭剣。
滑らかに。
動く。
岩獅子の前脚。
巻きつく。
━━━━━━━━━━
《拘束》
━━━━━━━━━━
「できた」
『初めてにしては普通に使えているな』
「スキルいっぱいあるから」
『便利だな、お前』
「うん」
◇◇◇
さらに。
「《双尾》」
二本。
伸びる。
ドッ!
ドッ!
━━━━━━━━━━
《猛毒針》
命中
━━━━━━━━━━
《麻痺針》
命中
━━━━━━━━━━
もう。
状態異常にはなっているけど。
追加蓄積。
━━━━━━━━━━
《状態異常深度上昇》
━━━━━━━━━━
「重ねられる」
『……これ、毒や麻痺に多少耐性があっても数で押し切れるんじゃないか?』
「たぶん」
『あ』
「アル?」
『聞かなかったことにしてくれ』
「もう聞いた」
『忘れろ』
「無理」
『嫌な予感しかしない!』
◇◇◇
中央。
地砕岩獅子王。
「ガァァァァァァァッ!」
全身。
大地魔力。
爆発。
━━━━━━━━━━
《大地纏》
━━━━━━━━━━
岩装甲。
さらに。
厚くなる。
傷。
再生。
『リリス!』
「うん」
『最後に最大防御を試す!』
「分かった」
地砕岩獅子王。
距離を取る。
そして。
走る。
地面。
砕く。
一歩。
一歩。
加速。
アル。
大楯。
━━━━━━━━━━
《大楯固定》
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
《不動要塞》
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
《岩王城塞》
最大展開
━━━━━━━━━━
琥珀色。
巨大な障壁。
『来い!』
衝突。
ドゴォォォォォォォォンッ!
轟音。
地面。
沈む。
岩山。
震える。
でも。
アル。
動かない。
「完全停止」
『ハァァァァッ!』
大楯。
押す。
地砕岩獅子王。
巨体。
押し返される。
「今」
私は。
《黒帝蠍魔弓》。
再び。
構える。
『また二十本か!?』
「違う」
『安心した』
「三十本」
『増やすな!』
黒紫色。
魔力。
展開。
━━━━━━━━━━
《魔力矢多重生成》
━━━━━━━━━━
《毒麻痺複合矢》×30
━━━━━━━━━━
地砕岩獅子王。
Lv99。
Aランク上位。
状態異常耐性。
普通の二体より高い。
「どれくらい必要かな」
『実験する気満々だな!』
「《弱点看破》」
岩甲殻。
硬い。
でも。
継ぎ目。
腹。
脚の付け根。
口内。
「全部狙う」
「《多重標的射撃》」
三十本。
別々の場所へ。
「《超精密射撃》」
さらに。
「《状態異常強化》」
「発射」
シュバババババババババババッ――!
三十本。
黒紫。
空。
覆う。
「ガァァァァッ!?」
岩獅子王。
岩槍。
生成。
迎撃。
何本か。
砕かれる。
「《軌道予測》」
残り。
曲がる。
潜る。
交差。
ドドドドドドドドドドドドッ!
次々。
命中。
━━━━━━━━━━
《猛毒》
蓄積:100%
━━━━━━━━━━
《神経麻痺》
蓄積:100%
━━━━━━━━━━
《状態異常耐性》
突破
━━━━━━━━━━
「ガ……ァ……!?」
巨体。
止まる。
前脚。
震える。
麻痺。
毒。
同時発症。
『Lv99まで一瞬か!』
「三十本なら」
『数で殴ってるだけじゃないか!』
「弓だから撃ってる」
『意味は同じだ!』
◇◇◇
でも。
試験。
ここまで。
「最後は普通に倒す」
『普通という言葉の信用がなくなってきたぞ』
毒麻痺矢。
解除。
白い。
純粋な魔力。
「《超魔力矢》」
一本。
『……本当に一本だな』
「疑ってる?」
『さっき三十本撃ったからな!』
魔力。
圧縮。
「《超魔力圧縮》」
狙い。
アルが。
片刃大戦斧で破壊した。
肩甲殻の亀裂。
「《超狙撃》」
「《魔穿狙撃》」
放つ。
キィィィィン――!
白い閃光。
一直線。
ズドォォォンッ!
岩甲殻。
貫通。
体内。
抜ける。
「ガ……ァ……」
地砕岩獅子王。
崩れる。
━━━━━━━━━━
《地砕岩獅子王》
討伐完了
━━━━━━━━━━
残る。
二体。
すでに。
麻痺して動けない。
「……」
『どうした?』
「これ倒すだけになった」
『お前がそうしたんだろう!』
「ウォン!」
ノルン。
一体。
「グオオッ!」
ヴァルカ。
一体。
「任せた」
「ウォン!」
「グオオオッ!」
━━━━━━━━━━
《銀嵐刃》
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
《急降下突撃》
━━━━━━━━━━
ズバァッ!
ズドォンッ!
━━━━━━━━━━
《剛殻岩獅子》×2
討伐完了
━━━━━━━━━━
「速い」
『今回、一番かわいそうなのはあの二体だった気がする』
「毒と麻痺の試験だから」
『魔物相手でよかった』
「アルで試す?」
『絶対に嫌だ!』
◇◇◇
━━━━━━━━━━
《パーティー経験値共有》
対象:
リリス
アルドラ
ノルン
ヴァルカ
━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━
リリス・ルクスヴィア
Lv109
↓
Lv111
━━━━━━━━━━
「二つ上がった」
━━━━━━━━━━
アルドラ・ヴァルグレイヴ
Lv89
↓
Lv90
━━━━━━━━━━
『私もLv90だな』
「おめでとう」
『ありがとう』
━━━━━━━━━━
ヴァルカ
Lv92
↓
Lv93
━━━━━━━━━━
「グオオッ!」
「ヴァルカも」
「ウォン!」
ノルンにも。
同じく経験値。
「みんな順調」
『お前の速度だけ順調の範囲を超えている気がするがな』
「女神の加護」
『十倍だったな』
「うん」
『何度聞いてもすごいな……』
◇◇◇
そして。
━━━━━━━━━━
《自動収集》
発動
━━━━━━━━━━
《剛殻岩獅子の岩甲殻》×100
《剛殻岩獅子の爪》×60
《剛殻岩獅子の牙》×50
《剛殻岩獅子の強靭皮》×80
《剛殻岩獅子の魔石》×20
━━━━━━━━━━
《地砕岩獅子王の王岩殻》×50
《地砕岩獅子王の地砕爪》×20
《地砕岩獅子王の王牙》×20
《地砕岩獅子王の魔石》×10
━━━━━━━━━━
希少素材:
《大地獅王核》×1
品質:
逸話級
━━━━━━━━━━
「新素材」
『その声』
「何?」
『何を作ろうか考えているだろう』
「まだ考えてるだけ」
『ならいい』
「アル用とか」
『考えるのをやめろ!』
「まだ何も作ってない」
『その段階で止まってくれ!』
◇◇◇
宝箱。
━━━━━━━━━━
金宝箱×2
白金宝箱×1
━━━━━━━━━━
「白金」
『今日は?』
「宿で開ける」
『成長したな』
「最近それよく言われる」
『前がおかしかったんだ』
「失礼」
◇◇◇
帰る前。
装備。
確認。
《黒帝蠍魔弓》。
毒。
麻痺。
複合。
全部。
問題なし。
そして。
今回。
一番分かったこと。
「大量に撃てば一瞬」
『最初から分かりそうなものだが』
「実際にやらないと分からない」
『二十本、三十本と撃つ必要まであったか?』
「試験だから」
『便利な言葉だな、それ!』
でも。
これなら。
敵が群れでも。
複数へ毒麻痺矢をばら撒ける。
一体の強敵なら。
大量集中射撃。
耐性が高くても。
蓄積量で押し切る。
「かなり使える」
『遊び用なんだよな?』
「うん」
『……もう何も言うまい』
「諦めた?」
『少しな』
◇◇◇
アルの。
岩王装備も。
成功。
Lv99の全力突進。
最大防御。
完全停止。
片刃の《岩王断城大斧》も。
防御特化装備とは思えない攻撃力。
「アル」
『何だ?』
「岩王装備どう?」
『かなり気に入った』
「剛魔鋼とどっち好き?」
『難しい質問だな』
少し考える。
『普段なら剛魔鋼。真正面から強敵を止めるなら岩王だ』
「ちゃんと使い分けできそう」
『ああ』
「よかった」
『ありがとう、リリス』
「うん」
こういうの。
やっぱり嬉しい。
◇◇◇
その時。
表示。
━━━━━━━━━━
《弓聖》
実戦条件進行:
大幅上昇
━━━━━━━━━━
《剣聖》
実戦条件進行:
上昇
━━━━━━━━━━
「お」
『今度は何だ?』
「《弓聖》」
さらに。
詳細。
━━━━━━━━━━
《弓聖》
習得条件達成率:
極めて高い
━━━━━━━━━━
「もうすぐ」
『大量に毒矢をばら撒いて弓聖へ近づくというのも妙な話だな』
「弓は弓だから」
『それで通るのか……』
「通った」
『表示されてるから否定できないな』
剣聖も。
まだ。
進んでいる。
「両方取る」
『ああ』
アル。
片刃の大戦斧を肩に担ぐ。
『そこまで来たなら、弓聖も剣聖も取ってしまえ』
「うん」
「ウォン!」
「グオオオッ!」
私は。
黒帝蠍魔弓を背中へ戻す。
今日は。
かなりいい実戦試験だった。
「次は百本くらい――」
『やめろ!』
「まだ最後まで言ってない」
『言わなくても分かる!』
「……百本同時射撃」
『やっぱりそれじゃないか!』
夕方の岩山に。
アルの声が響いた。




