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第三十五話 黒帝蠍の遊戯装備



 王都冒険者ギルド。


 扉を開ける。


「ただいま」


「ウォン!」


「お帰りなさい、リリスさん」


 受付のエレナさんが顔を上げる。


 そして。


 私とアルを見る。


「……依頼は?」


「終わりました」


「無事に?」


「はい」


 エレナさんが少し安心した。


「よかったです。では《黒鋼大蠍》の討伐記録を――」


「十体いました」


「依頼書では八体以上でしたから、問題ありませんね」


「あと一体」


「……あと?」


 エレナさんの動きが止まった。


 アルが横で小さく息を吐く。


「やっぱりそこに引っ掛かるか」


「何が出ました?」


「《双尾黒鋼帝蠍》」


「…………」


「Lv94」


「…………」


「A(ランク)の希少変異個体でした」


 エレナさんが目を閉じる。


「アルドラさん」


「何だ?」


「私、朝に何と言いました?」


「大型個体が目撃されている、と」


「見つけましたね」


「ああ」


「やっぱり……」


「私のせいじゃないです」


「誰もリリスさんのせいとは言ってません」


「ならよかった」


「ただ、どうして毎回見つけるんだろうとは思っています」


「《上級索敵》?」


「そういう意味ではありません!」


 難しい。


◇◇◇


 討伐記録を提出する。


━━━━━━━━━━


《Bランク依頼》


《黒鋼大蠍の群れ討伐》


━━━━━━━━━━


通常個体:


《黒鋼大蠍》×10


━━━━━━━━━━


追加討伐:


《双尾黒鋼帝蠍》×1


Lv94


危険度:


A(ランク)


分類:


希少変異個体


━━━━━━━━━━


依頼達成


追加報酬対象


━━━━━━━━━━


「問題ありません。むしろ十分すぎます」


「初Bランク依頼成功」


「おめでとうございます」


「ありがとう」


「ただし」


「はい?」


「次もBランク依頼だからといって、Aランク個体を探しに行かないでくださいね」


「探してないです」


「今回は、ですね」


「今回は」


 エレナさん。


 だんだん私への理解が深くなっている。


 少し怖い。


◇◇◇


「素材の売却は?」


「一部だけ」


 黒鋼甲殻。


 魔石。


 通常個体の大鋏。


 余裕のある素材を売却。


 希少変異個体の素材は残す。


「《黒帝鋼晶》も?」


「残します」


「やっぱり何か作るんですね」


「まだ決めてません」


 アルがこっちを見る。


「嘘だな」


「嘘じゃない」


「峡谷で既に“何か作れそう”と言っていただろう」


「何を作るかは決めてなかった」


「なるほど」


 エレナさんが頷く。


「言葉の隙間を突いてきましたね」


「そこまで?」


「二人とも私への当たりが強い」


「ウォン」


「ノルンまで!?」


◇◇◇


 報酬を受け取る。


━━━━━━━━━━


《依頼報酬》


金貨×180


━━━━━━━━━━


《希少変異個体討伐追加報酬》


受領


━━━━━━━━━━


 さらに素材売却分。


 全部インベントリへ。


「これで終了です」


「ありがとうございます」


「今日はもう何も起こさずに帰ってくださいね」


「宝箱開けます」


「宿で!」


「分かってます」


「なら結構です」


 即答だった。


◇◇◇


 銀の月亭。


 夕食。


 今日は肉と茸を煮込んだ濃いシチュー。


 焼いたパン。


 香草を添えた鶏肉。


 野菜のサラダ。


「おいしい」


「ああ」


 アルもよく食べる。


 特に肉。


 ノルンにも別で肉。


「ウォン!」


「ヴァルカにもあとで持っていこう」


「かなり食うぞ」


「肉いっぱいある」


「魔物肉が数百単位で出る理由が初めて役立った気がする」


「いつも役立ってるよ」


「お前一人では食べ切れないだろう」


「インベントリは時間止まるから大丈夫」


「そういう問題か?」


「たぶん」


「最近その言葉で押し切ろうとしてないか?」


 ばれた。


◇◇◇


 食後。


 お風呂。


 それから。


 自室。


「宝箱」


 本日の分。


━━━━━━━━━━


銀宝箱×5


金宝箱×4


白金宝箱×1


━━━━━━━━━━


 まず銀。


 次に金。


 素材。


 回復薬。


 魔晶石。


 金銭。


 装備。


 技能書。


 色々。


 全部収納。


 そして。


 最後。


「白金」


 罠。


 なし。


 蓋を開く。


 カチッ。


 白金色の光。


━━━━━━━━━━


《白金宝箱》


開封完了


━━━━━━━━━━


黒帝守護指輪ブラックエンペラー・ガードリング


A(ランク)


伝説級(レジェンド)


━━━━━━━━━━


主効果:


《毒完全無効》


《猛毒完全無効》


《腐食耐性超強化》


《麻痺耐性超強化》


《刺突耐性超強化》


《物理防御強化》


《魔法防御強化》


《状態異常耐性強化》


━━━━━━━━━━


「防御指輪」


 私は毒には強い。


 というより。


 《不老不死の加護》があるから、毒そのものがほとんど意味を持たない。


「これは……」


 アルを見る。


 いない。


「あ」


 自室だった。


 一人でちょっと笑う。


「あとで渡そう」


◇◇◇


 さらに。


━━━━━━━━━━


《技能書:完全毒耐性》×1


《黒帝鋼》×50


《黒帝毒晶》×20


《高純度猛毒魔晶》×20


《高純度魔晶石》×50


《アダマンタイト》×80


創晶石(アルケリウム)》×50


━━━━━━━━━━


希少素材:


《双尾帝毒核》×1


品質:


逸話級(エピック)


━━━━━━━━━━


《特級解毒薬》×30


《万能状態異常回復薬》×10


白金貨×2500


━━━━━━━━━━


「《双尾帝毒核》」


 黒紫色。


 中心には二つの光。


 一つは濃い紫。


 もう一つは青紫。


「……二種類?」


 《上級鑑定》。


━━━━━━━━━━


《双尾帝毒核》


逸話級(エピック)


━━━━━━━━━━


《双尾黒鋼帝蠍》の

二本の毒尾が持つ性質を

高密度に保持した特殊核。


内包特性:


《猛毒》


《神経麻痺》


《毒性増幅》


《麻痺蓄積》


《状態異常魔力伝導》


━━━━━━━━━━


「毒と麻痺」


 そこで。


 峡谷で見た二本の尾を思い出す。


 一本。


 もう一本。


 二種類の毒針。


「……これ、面白そう」


 武器。


 作りたい。


 本気用じゃなくて。


 遊び用。


「蠍装備」


 黒い装備。


 毒。


 麻痺。


 いつもの白銀の勇者装備とは真逆。


「弓と……」


 尾。


 長い。


 柔軟。


 先端には毒針。


「鞭剣がいいかも」


 決定。


 そして。


「防具も」


 中途半端な軽装じゃなくて。


 黒鋼蠍を思わせる全身鎧。


 頭鎧まで。


「遊び用だけど、見た目は本気」


 何か違う気もするけど。


 格好いいからいい。


◇◇◇


 その前に。


 足りないスキル。


「取ろう」


 毒。


 麻痺。


 状態異常。


━━━━━━━━━━


《毒魔法》


《麻痺魔法》


《毒属性付与》


《麻痺属性付与》


《状態異常強化》


《状態異常蓄積強化》


《複合状態異常付与》


《毒耐性貫通》


《麻痺耐性貫通》


《状態異常魔力制御》


━━━━━━━━━━


「全部」


━━━━━━━━━━


新規技能習得


《毒魔法》Lv10


《麻痺魔法》Lv10


《毒属性付与》Lv10


《麻痺属性付与》Lv10


《状態異常強化》Lv10


《状態異常蓄積強化》Lv10


《複合状態異常付与》Lv10


《毒耐性貫通》Lv10


《麻痺耐性貫通》Lv10


《状態異常魔力制御》Lv10


━━━━━━━━━━


 これで。


 毒。


 麻痺。


 両方。


 全部扱える。


◇◇◇


 素材を並べる。


━━━━━━━━━━


《双尾黒鋼帝蠍の帝鋼甲殻》


《双尾黒鋼帝蠍の帝鋏》


《双尾黒鋼帝蠍の双毒針》


《双尾黒鋼帝蠍の猛毒袋》


《双尾黒鋼帝蠍の魔石》


《黒帝鋼晶》


《双尾帝毒核》


《黒帝鋼》


《黒帝毒晶》


《高純度魔晶石》


創晶石(アルケリウム)


━━━━━━━━━━


「《魔物素材加工》」


「《上級素材精製》」


「《複合素材加工》」


「《素材特性融合》」


「《希少素材共鳴》」


 黒帝蠍の性質を引き出す。


 そして。


 《双尾帝毒核》。


━━━━━━━━━━


《特殊属性生成》


《毒属性》



《麻痺属性》


━━━━━━━━━━


《複合状態異常属性》


《毒麻痺》


生成成功


━━━━━━━━━━


「できた」


◇◇◇


 まず。


 弓。


「《古代装備錬成》」


「《魔導装備製作》」


「《魔導回路構築》」


「《複合状態異常付与》」


「《装備性能限界突破》」


「《製作品質超向上》」


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


黒帝蠍魔弓スコルピオ・ノクスアーク


S(ランク)


古代級(エンシェント)


分類:


毒麻痺複合魔導弓


━━━━━━━━━━


 黒銀色の弓身。


 両端は蠍の鋏を思わせる形。


 紫色。


 青紫色。


 二本の魔導回路が走る。


━━━━━━━━━━


主性能:


《魔力矢生成》


《毒魔力矢生成》


《麻痺魔力矢生成》


《毒麻痺複合矢生成》


《状態異常蓄積超強化》


《毒耐性貫通》


《麻痺耐性貫通》


《追尾毒針》


《毒霧拡散》


《超長距離射撃補助》


《魔力矢高速生成》


《魔力消費軽減》


《自己修復》


━━━━━━━━━━


特殊射撃:


双帝毒針矢ツイン・エンペラー・スティンガー


━━━━━━━━━━


命中時:


《猛毒》


《神経麻痺》


同時蓄積


━━━━━━━━━━


「いい」


◇◇◇


 次。


 鞭剣。


「《古代装備錬成》」


 形成。


 細身の剣。


 でも。


 魔力を流す。


 ジャラララッ!


 何十枚もの刃節へ分離。


 長い鞭へ。


 さらに。


 先端が二つへ分かれる。


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


黒帝蠍尾鞭剣スコルピオ・テイルブレイド


S(ランク)


古代級(エンシェント)


分類:


双属性可変式鞭剣


━━━━━━━━━━


主性能:


《剣形態》


《鞭剣形態》


《双尾展開》


《伸縮刃節》


《高速形態変化》


《多段斬撃》


《拘束》


《刺突強化》


《毒属性付与》


《麻痺属性付与》


《毒麻痺複合付与》


《状態異常蓄積超強化》


《魔力伝導超強化》


《自己修復》


━━━━━━━━━━


特殊機構:


双蠍尾ツイン・スコルピオテイル


第一尾:


《猛毒針》


第二尾:


《麻痺針》


━━━━━━━━━━


「カッコいい」


 これは。


 かなり遊べそう。


◇◇◇


 次。


 全身鎧。


 黒帝甲殻。


 黒帝鋼。


 アルケリウム。


 魔晶石。


「《古代装備錬成》」


 黒銀色の光。


 胸。


 肩。


 腕。


 腰。


 脚。


 そして。


 頭。


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


黒帝蠍装甲スコルピオ・ノクスアーマー


S(ランク)


古代級(エンシェント)


━━━━━━━━━━


黒帝蠍兜スコルピオ・ノクスヘルム


S(ランク)


古代級(エンシェント)


━━━━━━━━━━


 黒鋼蠍を思わせる。


 黒銀の全身装甲。


 胸部は硬質な曲面甲殻。


 肩は鋏を思わせる鋭い形。


 腕と脚は節状の多層装甲。


 腰の後ろには。


 蠍尾を思わせる分節装甲。


 頭鎧は完全なフルフェイス。


 視界部。


 紫。


 青紫。


 二色の細い光。


━━━━━━━━━━


防具共通性能:


《超物理防御》


《超魔法防御》


《毒完全耐性》


《麻痺完全耐性》


《腐食耐性超強化》


《斬撃耐性強化》


《刺突耐性強化》


《敏捷補助》


《身体能力補助》


《状態異常付与適性上昇》


《隠密補助》


《気配遮断補助》


《毒麻痺魔力伝導》


《重量軽減》


《自己修復》


《緊急障壁》


━━━━━━━━━━


「完成」


 弓。


 鞭剣。


 全身鎧。


 頭鎧。


「……遊び用にしては豪華」


 でも。


 いい。


◇◇◇


 そこで。


 《インベントリ》の中。


 別の素材が目に入った。


「……あ」


 前に倒した。


 《岩王装甲竜》。


 その素材。


━━━━━━━━━━


《岩王装甲竜の王岩甲殻》×80


《岩王装甲竜の大爪》×40


《岩王装甲竜の剛牙》×30


《岩王装甲竜の魔石》×10


《地脈王晶》×1


逸話級(エピック)


━━━━━━━━━━


「アルにいいかも」


 完全に。


 防御向き。


 今の《剛魔鋼》装備は。


 硬さ。


 魔法耐性。


 機動補助。


 騎乗戦。


 全部を高い水準でまとめた万能型。


 でも。


 岩王装甲竜なら。


 もっと。


 偏らせられる。


「防御特化」


 真正面から。


 絶対に退かない。


 対大型。


 対突進。


 対地上戦。


「……作ろう」


◇◇◇


「何を作るつもりだ?」


「うわ」


 振り向く。


 扉。


 アル。


「またいつの間に」


「ノックした」


「聞こえなかった」


「もう慣れた」


 アルが室内を見る。


 黒帝蠍の弓。


 鞭剣。


 全身鎧。


「これは?」


「遊び用」


「……」


「何?」


「古代級の全身鎧まで遊びに使うのか」


「見た目揃えたかったから」


「お前の遊びは本気すぎる」


「そう?」


「そうだ」


 そして。


 アルの視線。


 今度は。


 岩王装甲竜の素材へ。


「これは?」


「アル用」


「また私か!」


「今度は岩王装備」


「待て」


 アルが額を押さえた。


「私は既に《剛魔鋼》装備一式を貰っている」


「うん」


「全部S(ランク)で《古代級(エンシェント)》だ」


「うん」


「なぜ二着目を作ろうとしている?」


「役割が違うから」


「……役割?」


「剛魔鋼は万能型」


 私は素材を指す。


「こっちは防御特化」


「…………」


「使い分けできる」


 アルが少し黙る。


「お前」


「うん?」


「最初から作る気満々だろう」


「うん」


「聞いた私が馬鹿だった」


◇◇◇


「武器も作るよ」


「また大戦斧か?」


「うん。でも形変える」


「どうする?」


「片刃」


 アルの目が少し変わった。


「片刃の大戦斧か」


「大きい刃を片側だけ。反対側は装甲破砕用」


「……いいな」


「気に入った?」


「ああ」


 ちょっと嬉しそう。


「じゃあ作る」


「待て。決断が早い」


「気に入ったんでしょ?」


「それはそうだが」


「なら問題ない」


「その理屈、強いな……」


◇◇◇


 素材。


 並べる。


━━━━━━━━━━


《岩王装甲竜の王岩甲殻》


《岩王装甲竜の大爪》


《岩王装甲竜の剛牙》


《岩王装甲竜の魔石》


《地脈王晶》


《高純度アダマンタイト》


《高純度魔晶石》


《金剛晶》


創晶石(アルケリウム)


━━━━━━━━━━


 中心。


 《地脈王晶》。


 一つしかない。


 だから。


 装備全部の素材へ変えるわけじゃない。


 セット全体を共鳴させる。


 高位触媒兼中枢核。


「《魔物素材加工》」


「《複合素材加工》」


「《素材特性融合》」


「《希少素材共鳴》」


「《古代装備錬成》」


 大地色。


 黒灰。


 暗い銀。


 琥珀色の魔力。


 混ざる。


◇◇◇


 まず。


 大戦斧。


 アルの身長。


 腕力。


 騎乗時。


 地上戦。


 全部合わせる。


 柄。


 長い。


 刃。


 巨大。


 片側だけ。


 もう片側には。


 鋭い破砕角。


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


岩王断城大斧ロックロード・ブレイカー


S(ランク)


古代級(エンシェント)


分類:


超重量片刃大戦斧


━━━━━━━━━━


 巨大な。


 片刃大戦斧。


 刃は暗銀色。


 外縁には岩王甲殻を圧縮した黒灰色の補強層。


 反対側。


 巨大な破砕用の角。


 魔力を通すと。


 琥珀色の地脈紋が刃から柄へ走る。


━━━━━━━━━━


主性能:


《斬撃威力超強化》


《破砕威力超強化》


《装甲破壊超強化》


《対大型特効》


《対硬質外殻特効》


《重量打撃強化》


《地属性魔力付与》


《衝撃波増幅》


《防御姿勢破壊》


《地砕衝撃》


《重量最適化》


《自己修復》


━━━━━━━━━━


「おお……」


 アルが。


 珍しく素直に見入っている。


「どう?」


「いい」


「即答」


「これは仕方ないだろう」


 アルが柄を握る。


 持ち上げる。


 ブォンッ!


 重い風。


「……片刃も悪くない」


「似合う」


「まだ鎧を着ていないぞ」


「分かる」


「またそれか」


◇◇◇


「次、大楯」


 岩王甲殻。


 金剛晶。


 アダマンタイト。


 重ねる。


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


岩王城塞大楯ロックロード・フォートレス


S(ランク)


古代級(エンシェント)


分類:


超防御型城塞大楯


━━━━━━━━━━


 巨大。


 分厚い。


 剛魔城塞大楯より。


 さらに防御へ偏っている。


 黒灰色の岩王甲殻。


 暗銀色の補強骨格。


 中央には。


 琥珀色に光る地脈紋。


━━━━━━━━━━


主性能:


《物理防御極大強化》


《魔法防御超強化》


《衝撃完全分散》


《突進防御超強化》


《吹き飛ばし無効補助》


《転倒無効補助》


《地面固定超強化》


《範囲防御障壁》


《地属性完全耐性補助》


《防御姿勢安定》


《大楯技能超強化》


《自己修復》


━━━━━━━━━━


「……盾というより壁だな」


「城壁」


「まだ言うか」


「今回は本当に城壁っぽい」


「否定できん」


◇◇◇


「最後」


 全身鎧。


 そして。


 兜。


 岩王装甲竜の。


 硬さ。


 重量。


 地脈との結びつき。


 全部。


 防御へ。


「《古代装備錬成》」


「《高等装備強化》」


「《装備性能限界突破》」


「《製作品質超向上》」


 光。


 黒灰。


 暗銀。


 琥珀。


 巨大な装甲が。


 形になる。


━━━━━━━━━━


《製作成功》


━━━━━━━━━━


岩王重騎鎧ロックロード・ヘヴィアーマー


S(ランク)


古代級(エンシェント)


分類:


龍人重騎士専用超重装全身鎧


━━━━━━━━━━


岩王重騎兜ロックロード・ヘヴィヘルム


S(ランク)


古代級(エンシェント)


━━━━━━━━━━


 剛魔鋼装備とは。


 全然違う。


 黒灰色。


 暗い岩銀色。


 分厚い装甲。


 胸部。


 肩。


 腕。


 腰。


 脚。


 岩王装甲竜の甲殻を思わせる。


 巨大で。


 重厚。


 それでも。


 関節部はしっかり可動する。


 表面。


 琥珀色の地脈紋。


 兜は。


 完全なフルフェイス。


 岩竜の頭を思わせる。


 鋭く。


 重い。


 真正面から見たら。


 完全に要塞。


━━━━━━━━━━


防具共通性能:


《超物理防御》


《超魔法防御》


《衝撃耐性極大強化》


《打撃耐性極大強化》


《斬撃耐性超強化》


《刺突耐性超強化》


《地属性耐性超強化》


《吹き飛ばし耐性極大強化》


《転倒耐性極大強化》


《身体安定化》


《大楯技能超強化》


《重騎士技能超強化》


《防御姿勢強化》


《対大型防御強化》


《地脈魔力吸収》


《重量軽減》


《自己修復》


《緊急岩王障壁》


━━━━━━━━━━


セット共鳴:


岩王城塞ロックロード・フォートレス


《岩王重騎鎧》


《岩王重騎兜》


《岩王城塞大楯》


同時装備時発動。


防御姿勢中:


《物理防御大幅上昇》


《魔法防御大幅上昇》


《衝撃分散大幅上昇》


《吹き飛ばし耐性大幅上昇》


《地面固定力大幅上昇》


━━━━━━━━━━


「完成」


 静か。


「アル?」


「……」


 アルが。


 一式。


 見ている。


「また古代級一式を……」


「防御特化」


「それは見れば分かる」


「気に入らない?」


「逆だ」


 アルが片刃の《岩王断城大斧》を見る。


「かなり気に入った」


「よかった」


「だが」


「うん?」


「私は昨日まで装備すら持っていなかったんだぞ」


「うん」


「今は古代級装備を二種類持っている」


「増えたね」


「増えたね、じゃない!」


◇◇◇


 装着。


 まず。


 《創晶透明戦衣》。


 その上。


 《岩王重騎鎧》。


 ガシャン。


 ガシャン。


 ガシャンッ。


 いつもの剛銀色ではない。


 黒灰。


 暗銀。


 琥珀色の地脈光。


 最後。


 《岩王重騎兜》。


 カシャンッ。


「……」


 大きい。


 元から大きいアルが。


 さらに大きく見える。


『どうだ?』


「ボスみたい」


『カッコいいではないのか?』


「カッコいい」


『ならいい』


「でもボスみたい」


『どっちなんだ』


 《岩王城塞大楯》。


 左手。


 《岩王断城大斧》。


 右手。


 片刃の巨大斧。


「……すごい」


 これは。


 確かに。


 要塞。


『試すぞ』


 大楯。


 地面。


 ドンッ!


━━━━━━━━━━


《大楯固定》


━━━━━━━━━━


 さらに。


━━━━━━━━━━


《不動要塞》


━━━━━━━━━━


 そして。


━━━━━━━━━━


《岩王城塞》


発動


━━━━━━━━━━


 ズズズズズ……。


 地面。


 足元。


 大楯。


 地脈の魔力がつながる。


 琥珀色の障壁。


 巨大。


 分厚い。


「……」


『どうした?』


「今なら本当に城壁って言っていい?」


『……』


「アル?」


『今回は許す』


「やった」


『なぜ喜ぶ』


◇◇◇


 翌朝。


 王都外縁の訓練場。


 私。


 《黒帝蠍装甲》。


 《黒帝蠍兜》。


 背中に《黒帝蠍魔弓》。


 腰に《黒帝蠍尾鞭剣》。


 黒銀。


 紫。


 青紫。


 そして。


 横。


 アル。


 《岩王重騎鎧》。


 《岩王重騎兜》。


 《岩王城塞大楯》。


 片刃の《岩王断城大斧》。


 黒灰。


 暗銀。


 琥珀。


「……」


『何だ?』


「私たち悪役っぽい」


『今さら気づいたのか』


 白銀のノルンが来る。


「ウォン!」


 さらに。


 深紅のヴァルカ。


「グオオオッ!」


 白銀。


 深紅。


 黒帝蠍。


 岩王重騎士。


「統一感ないね」


『そこを気にするのか?』


「でもカッコいい」


『ならいいだろう』


◇◇◇


 私は《黒帝蠍尾鞭剣》を抜く。


 黒銀色の細身剣。


「展開」


 ジャララララッ!


━━━━━━━━━━


《双尾展開》


━━━━━━━━━━


 紫。


 青紫。


 二本の蠍尾。


 アルが。


 片刃の《岩王断城大斧》を肩へ担ぐ。


『近づけるなよ』


「大丈夫」


『その双尾を私に向けるな』


「毒耐性試験」


『しないぞ!』


「まだ言ってない」


『昨日言った!』


「覚えてたんだ」


『忘れるか!』


「ウォン!」


「グオオッ!」


 ノルンとヴァルカまで鳴く。


「二匹も覚えてるって」


『絶対に適当だろう、その通訳!』


◇◇◇


 次。


 弓。


 《黒帝蠍魔弓》。


「《毒魔力矢》」


 紫。


「《麻痺魔力矢》」


 青紫。


「《毒麻痺複合矢》」


 黒紫。


 青紫の筋。


「綺麗」


『相変わらず物騒なものを綺麗と言うな』


「アルの斧も綺麗だよ」


『これは毒を撒かない』


「岩を撒きそう」


『……否定できんな』


◇◇◇


 白銀の本気装備。


 黒帝蠍の遊戯装備。


 そして。


 アルには。


 剛魔鋼の万能重騎士装備。


 岩王の防御特化装備。


 選択肢が増えた。


「今日は試したいものいっぱい」


『嫌な予感しかしない』


「黒帝蠍装備」


『ああ』


「岩王装備」


『ああ』


「毒と麻痺」


『ああ』


「片刃大戦斧」


『ああ』


「不動要塞と岩王城塞の最大防御」


『それも試したいな』


「アルも楽しんでる」


『……』


「楽しんでるね」


『少しだけだ』


「やっぱり」


 私は笑う。


 アルも。


 兜の奥で。


 たぶん笑っている。


「じゃあ今日は」


 黒帝蠍魔弓を持ち上げる。


「装備の実戦試験」


『ほどほどにな』


「分かってる」


『本当に?』


「たぶん」


『そこだけは変わらないんだな!』


 アルの声が。


 朝の訓練場へ響いた。

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