第三十四話 初めてのBランク依頼
朝。
王都冒険者ギルド。
「今日はちゃんと依頼を受けに来ました」
「……」
受付のエレナさんが私を見る。
「何ですか?」
「いえ」
「疑ってる?」
「少し」
「ちゃんと来たのに」
「昨日までの実績がありますので」
横から。
「気持ちは分かる」
「アルまで」
「ウォン」
「ノルンも?」
「ウォフ」
味方がいない。
◇◇◇
壁際。
依頼掲示板。
今まで見られなかった区画へ向かう。
━━━━━━━━━━
B級依頼
━━━━━━━━━━
「増えた」
護衛。
討伐。
採取。
遺跡調査。
危険地帯での捜索。
種類もかなり多い。
「どれにする?」
「まずは普通のものを選べ」
「普通」
「ああ」
アルが念を押す。
「初めてのBランク依頼だ。いきなり妙な依頼へ首を突っ込む必要はない」
「分かった」
一枚目。
━━━━━━━━━━
《飛竜討伐》
推奨ランク:B
━━━━━━━━━━
「飛竜」
「普通だな」
二枚目。
━━━━━━━━━━
《大型魔獣群討伐》
推奨ランク:B
━━━━━━━━━━
「これも」
「普通だ」
三枚目。
━━━━━━━━━━
《黒鋼峡谷・異常個体調査》
推奨ランク:B
備考:
A級相当個体出現の可能性あり
━━━━━━━━━━
「これ」
「なぜだ!」
即座に取ったら怒られた。
「調査依頼だから」
「最後を読め!」
「Aランク相当個体がいるかも」
「そこだ!」
「でも“可能性”だよ?」
「そういう時のお前は絶対に見つける!」
「まだ分からない」
エレナさんが遠くから口を挟む。
「私もアルドラさんに一票です!」
「受付から聞いてたんですか?」
「嫌な予感がしました!」
すごい。
最近エレナさんの危険察知能力が上がっている気がする。
◇◇◇
「じゃあ、これは?」
隣。
━━━━━━━━━━
《黒鋼大蠍の群れ討伐》
依頼ランク:
B級
依頼地:
王都西方《黒鋼峡谷》
内容:
交易路付近へ出現した
《黒鋼大蠍》の群れを討伐。
確認数:
八体以上
報酬:
金貨180枚
追加報酬:
希少個体・群れ主討伐時加算
━━━━━━━━━━
「同じ場所だ」
「……」
「アル?」
「嫌な予感しかしない」
「正式なBランク依頼だよ」
「そこは間違っていない」
エレナさんのところへ持っていく。
「これ受けます」
「《黒鋼大蠍》ですね」
「はい」
エレナさんが内容を確認。
「通常個体はLv60台後半から80前後です。硬い外殻と毒針を持ちますので注意してください」
「毒」
「猛毒です」
アルが私を見る。
「毒対策は?」
「ある」
「私も防具でかなり防げる」
「ノルンは?」
「ウォン」
「たぶん大丈夫」
「そこを“たぶん”で済ませるな」
「解毒薬も持ってる」
「ならいい」
エレナさんが続ける。
「なお最近、峡谷の奥で通常より大型の個体が目撃されています」
「大型」
「リリス」
「まだ何も言ってない」
「目が輝いた」
「気のせい」
「……本当に気をつけてくださいね」
「はい」
◇◇◇
王都外縁。
騎獣区画。
「グオオオッ!」
「ヴァルカ、おはよう」
ヴァルカと合流。
アルが装備する。
まず。
透明化した《創晶透明戦衣》。
その上から。
剛銀色の《剛魔重騎鎧》。
《剛魔重騎兜》。
《剛魔破城斧》。
《剛魔城塞大楯》。
さらに《蒼雷竜翼外套》。
「完成」
『何がだ?』
「見た目」
『装備の確認ではないのか』
「それも」
『順番がおかしい』
私は白銀の《蒼聖勇装》。
内側には同じく《創晶透明戦衣》。
「行こう」
「ウォン!」
「グオオオッ!」
◇◇◇
王都西方。
《黒鋼峡谷》。
名前の通り。
峡谷を形成する岩肌は黒っぽい。
鉱物成分が多いらしく、ところどころ金属光沢まで見える。
「採掘したい」
『依頼を先にしろ』
「まだ何もしてない」
『歩く速度が落ちている』
「石見てた」
『知っている』
アル。
かなり私の扱いに慣れてきた。
「帰りに採掘していい?」
『依頼が終わったらな』
「やった」
『子供か』
◇◇◇
「《上級索敵》」
範囲を広げる。
岩壁。
地面。
複数の生命反応。
「いた」
『数は?』
「十一」
『依頼書より多いな』
「近いところに七。奥に四」
「ウォン」
ノルンが鼻を動かす。
「分かる?」
「ウォフ」
「毒っぽい匂いある?」
「ウォン」
「やっぱり蠍かな」
岩陰から。
ガリッ。
何か硬いものが岩を擦る音。
出てきた。
━━━━━━━━━━
《黒鋼大蠍》
Lv69
危険度:
B級
━━━━━━━━━━
続けて。
Lv72。
Lv74。
Lv76。
Lv77。
Lv79。
Lv81。
七体。
全長数メートル。
黒鉄色の外殻。
巨大な鋏。
背後には長い尾。
先端。
黒紫色の毒針。
「硬そう」
『私向きだな』
アルが大楯を前へ。
「毒針気をつけて」
『任せろ』
「ヴァルカは上」
「グオッ!」
「ノルンは左右から」
「ウォン!」
「私は後ろ」
『いつもの形だな』
「うん」
◇◇◇
「ギギギギッ!」
大蠍たちが一斉に動く。
速い。
見た目よりずっと速い。
三体がアルへ。
二体がノルンへ。
二体が岩壁を使って回り込む。
『来い!』
アル。
大楯。
━━━━━━━━━━
《大楯固定》
━━━━━━━━━━
銀白色の障壁。
巨大な鋏。
ガァン!
ガガァンッ!
続けて。
毒針。
ドォンッ!
《剛魔城塞大楯》へ突き刺さる。
『この程度なら問題ない!』
「硬いね」
『盾がな!』
「アルも」
『そこは否定しない!』
◇◇◇
右。
ノルン。
「ウォォン!」
━━━━━━━━━━
《白銀疾駆》
━━━━━━━━━━
白銀の残像。
大蠍の鋏が閉じる。
でも。
もういない。
背後。
━━━━━━━━━━
《銀嵐刃》
━━━━━━━━━━
ズバァッ!
「ギギッ!?」
尾の付け根。
甲殻の隙間を切断。
「上手い」
「ウォン!」
もう一体。
毒針。
ノルンへ。
「危ない!」
でも。
ノルン。
一歩。
横へ。
スッ。
毒針が地面へ刺さる。
「ウォフ」
「余裕だった?」
「ウォン」
なんか。
ちょっと得意そう。
◇◇◇
上。
「グオオオオッ!」
ヴァルカが急降下。
両脚。
巨大な爪。
━━━━━━━━━━
《竜爪撃》
━━━━━━━━━━
ガゴォンッ!
一体の外殻が砕ける。
そのまま翼を広げ。
再び上空。
「ギギギギッ!」
別の大蠍。
尾を反らす。
毒液。
飛ばした。
「ヴァルカ!」
バサッ!
翼を傾ける。
回避。
直後。
「グルァァァッ!」
━━━━━━━━━━
《緋炎竜息》
━━━━━━━━━━
ゴォォォォォッ!
炎。
大蠍の進路を塞ぐ。
『いいぞ!』
「グオッ!」
◇◇◇
私も。
「《高速照準》」
白銀の聖弓。
狙い。
外殻の継ぎ目。
「《魔力矢高速生成》」
三本。
「《三連射》」
シュシュシュッ!
ドッ!
ドッ!
ドッ!
一体。
三ヶ所。
関節を撃ち抜く。
「ギギッ!?」
動きが止まった。
『そこだ!』
アル。
大楯解除。
一歩。
踏み込む。
『《震脚》!』
ドォンッ!
地面。
爆発したみたいに揺れる。
「ギギギッ!?」
三体の大蠍が一斉に浮いた。
「おお」
『これは使える!』
「楽しそう」
『戦技の確認だ!』
「絶対ちょっと楽しんでる」
『否定はしない!』
大戦斧。
振り抜く。
『《旋牙斬》!』
ブォォォォンッ!
ガガガァンッ!
二体。
黒鋼甲殻ごと吹き飛ぶ。
◇◇◇
一体。
私の方へ来た。
「ギシャァァッ!」
「近い」
弓を《インベントリ》へ。
代わり。
二振り。
《双耀聖剣》。
抜く。
左右。
「《上級二刀流》」
毒針。
上から。
速い。
でも。
見える。
右剣。
「《受流し》」
キィンッ!
毒針を逸らす。
左。
「《装甲断ち》」
ズバッ!
黒鋼甲殻。
切断。
大蠍が鋏を振る。
一歩。
内側。
「《双剣連撃》」
銀白。
二本。
十字。
ザンッ!
「ギ……」
大蠍。
崩れる。
━━━━━━━━━━
《剣聖》
実戦条件進行
━━━━━━━━━━
「お」
表示。
出た。
「また進んだ」
『何がだ?』
「《剣聖》」
『……お前、剣まで上を目指しているのか?』
「弓も」
『どっちかにしろ!』
「両方欲しい」
『欲張りだな!』
「取れるなら取る」
『お前らしい!』
◇◇◇
七体。
討伐終了。
━━━━━━━━━━
《黒鋼大蠍》×7
討伐完了
━━━━━━━━━━
でも。
奥。
生命反応。
まだ四つ。
「次」
『通常個体か?』
「三つはたぶん」
『残り一つは?』
「大きい」
『やはりいたか』
「エレナさん当たったね」
『喜ぶな』
◇◇◇
峡谷奥。
幅が広くなる。
そこ。
三体の大蠍。
Lv78。
Lv82。
Lv84。
そして。
中央。
「でかい」
岩陰が動いたかと思った。
でも違う。
巨大な蠍。
通常個体の倍近い。
外殻は黒銀色。
鋏は分厚い。
尾。
二本。
「尾が二本ある」
『毒針も二本か。嫌な相手だな』
「《上級鑑定》」
━━━━━━━━━━
《|双尾黒鋼帝蠍《ツインテイル・ブラックスティールスコーピオン》》
Lv94
危険度:
A級
分類:
希少変異個体
━━━━━━━━━━
主能力:
《黒帝甲殻》
《双毒尾》
《猛毒噴射》
《地潜》
《鋼鋏破砕》
《毒耐性》
《甲殻硬化》
━━━━━━━━━━
「Lv94」
『……』
「アル?」
『言っただろう』
「何を?」
『“可能性がある”と書いてあれば、お前は見つけると』
「本当にいたね」
『そこは感心するところではない!』
「でも追加報酬」
『……』
アルが黙る。
「アル?」
『それは少し嬉しい』
「でしょ?」
『金の問題ではない!』
「じゃあ素材?」
『お前に毒されてきた気がする……』
◇◇◇
「ギシャァァァァァァッ!」
双尾黒鋼帝蠍。
動く。
「速い!」
巨体。
なのに。
一気に距離を詰める。
『私が受ける!』
アル。
前。
━━━━━━━━━━
《不動要塞》
━━━━━━━━━━
ドンッ!
剛銀色の魔力。
全身。
大楯。
地面へ。
━━━━━━━━━━
《大楯固定》
━━━━━━━━━━
二重。
「ギシャァッ!」
巨大な鋏。
左右。
同時。
ドゴォォンッ!
大楯へ。
アル。
動かない。
「すご」
『まだだ!』
二本の尾。
上。
下。
連続。
ガァン!
ガァンッ!
黒紫色の毒液。
弾ける。
でも。
《剛魔城塞大楯》。
《岩王城塞護符》。
《不動要塞》。
全部。
受け切る。
『……これが不動要塞か』
「本当に城壁」
『今は否定しない!』
「認めた」
『戦闘中だぞ!』
◇◇◇
「ヴァルカ!」
「グオオッ!」
上空。
急降下。
「グルァァァ!」
でも。
「ギシャッ!」
帝蠍。
片方の尾。
ヴァルカへ。
もう片方。
アルへ。
「二本便利だなぁ」
『感心している場合か!』
「分かってる」
弓。
構える。
標的。
ヴァルカへ伸びる毒尾。
「《反応射撃》」
シュンッ!
魔力矢。
尾の先端。
ドンッ!
「ギシャァッ!」
軌道が逸れる。
ヴァルカ。
そのまま。
━━━━━━━━━━
《急降下突撃》
━━━━━━━━━━
ズドォォォンッ!
帝蠍の背部へ。
黒帝甲殻。
亀裂。
「硬い」
『だが壊せる!』
◇◇◇
ノルン。
側面。
「ウォォォン!」
風。
━━━━━━━━━━
《風纏》
━━━━━━━━━━
白銀の身体。
さらに加速。
一瞬。
帝蠍の視界外。
脚。
━━━━━━━━━━
《銀嵐刃》
━━━━━━━━━━
ズバァッ!
一ヶ所。
関節が切れる。
巨体が傾く。
「今」
私は聖弓。
魔力。
収束。
「《超魔力圧縮》」
「《魔力矢超圧縮》」
銀白色の矢。
甲殻の亀裂。
狙う。
「《超狙撃》」
「《魔穿狙撃》」
放つ。
キィィィン――!
一筋。
白銀。
ズドォォンッ!
黒帝甲殻。
貫通。
「ギシャァァァァァッ!」
でも。
まだ生きてる。
「アル!」
『任せろ!』
大楯。
解除。
《不動要塞》解除。
走る。
巨大戦斧。
両手。
剛銀色の刃へ魔力。
『ヴァルカ!』
「グオッ!」
ヴァルカが低空飛行。
アル。
飛び乗る。
そのまま。
上昇。
「またあれだ」
急反転。
帝蠍。
こちらを向く。
二本の尾が。
上空の二人を狙う。
「させない」
魔力矢。
二本。
「《多重標的射撃》」
シュンッ!
シュンッ!
二本の毒尾。
同時に弾く。
『助かる!』
「どういたしまして」
「グオオオオッ!」
ヴァルカ。
急降下。
━━━━━━━━━━
《急降下突撃》
━━━━━━━━━━
アル。
大戦斧。
『《重斬撃》!』
さらに。
『《装甲断ち》!』
剛銀色。
一閃。
ズガァァァァァァンッ!
帝蠍の背部。
私が開けた穴。
そこへ。
大戦斧が叩き込まれる。
「ギ……シャ……」
ドォォォォンッ。
巨大な身体。
沈む。
━━━━━━━━━━
《双尾黒鋼帝蠍》
討伐完了
━━━━━━━━━━
「やった」
『ああ!』
「ウォン!」
「グオオオッ!」
◇◇◇
━━━━━━━━━━
《パーティー経験値共有》
対象:
リリス
アルドラ
ノルン
ヴァルカ
━━━━━━━━━━
経験値。
入る。
さらに。
━━━━━━━━━━
リリス・ルクスヴィア
Lv107
↓
Lv109
━━━━━━━━━━
「二つ上がった」
『またか』
━━━━━━━━━━
アルドラ・ヴァルグレイヴ
Lv88
↓
Lv89
━━━━━━━━━━
『私も上がったな』
━━━━━━━━━━
ヴァルカ
Lv91
↓
Lv92
━━━━━━━━━━
「グオオッ!」
「ヴァルカも」
ノルンにも経験値。
ちゃんと共有されている。
「みんな育つ」
『やはりパーティーというのはいいな』
「うん」
◇◇◇
そして。
━━━━━━━━━━
《自動収集》
発動
━━━━━━━━━━
《黒鋼大蠍の黒鋼甲殻》×330
《黒鋼大蠍の大鋏》×110
《黒鋼大蠍の毒針》×110
《黒鋼大蠍の毒袋》×90
《黒鋼大蠍の魔石》×100
━━━━━━━━━━
《双尾黒鋼帝蠍の帝鋼甲殻》×80
《双尾黒鋼帝蠍の帝鋏》×20
《双尾黒鋼帝蠍の双毒針》×20
《双尾黒鋼帝蠍の猛毒袋》×20
《双尾黒鋼帝蠍の魔石》×10
━━━━━━━━━━
希少素材:
《黒帝鋼晶》×1
品質:
逸話級
━━━━━━━━━━
「黒帝鋼晶」
『またその顔だ』
「何か作れそう」
『だと思った』
「毒耐性装備とか」
『今のところ私は十分だぞ』
「まだアル用とは言ってない」
『……そうだった』
「でも候補」
『やっぱりか!』
◇◇◇
さらに。
宝箱。
━━━━━━━━━━
銀宝箱×5
金宝箱×4
白金宝箱×1
━━━━━━━━━━
「白金」
『希少変異個体だからな』
「今日は忘れない」
『成長したな』
「褒められた」
『そこを褒められて喜ぶな』
全部へ。
開けるのは。
あと。
「さて」
私は岩壁を見る。
『……』
「アル?」
『依頼は終わった』
「うん」
『採掘したいんだろう?』
「いいの?」
『最初から約束したからな』
「やった」
「ウォン!」
「グオッ!」
ノルンとヴァルカまで鳴く。
『二匹まで喜ぶことか?』
「待ってる間に休めるからじゃない?」
『なるほど』
◇◇◇
《上級採掘》。
《鉱物知識》。
《高位素材鑑定》。
岩壁を見る。
反応。
いっぱい。
「……おお」
『今度は何だ?』
「結構ある」
━━━━━━━━━━
《黒鋼鉱》
《魔鋼鉱》
《銀鉱》
《高純度鉄鉱》
《土属性魔晶鉱》
━━━━━━━━━━
「採ろう」
『何時間だ?』
「ちょっとだけ」
『具体的に』
「一時間?」
『本当か?』
「たぶん」
『二時間までなら待つ』
「最初から増やしてくれた」
『どうせ一時間で終わらないだろう!』
「アル優しい」
『学習しただけだ!』
私は採掘を始める。
その後。
本当に一時間を少し過ぎたくらいで終えた。
「終わった」
『……早い』
「約束したから」
『お前、ちゃんと止まれるんだな』
「失礼」
「ウォン」
「グル」
「二匹まで何その反応」
ちょっと納得いかない。
◇◇◇
夕方。
王都へ戻る。
Bランクになって。
初めて受けた正式依頼。
結果。
━━━━━━━━━━
《Bランク依頼》
《黒鋼大蠍の群れ討伐》
討伐数:
《黒鋼大蠍》×10
━━━━━━━━━━
追加討伐:
《双尾黒鋼帝蠍》×1
Lv94
A級
希少変異個体
━━━━━━━━━━
依頼達成
━━━━━━━━━━
「完璧」
『普通のBランク依頼だったはずなんだが』
「ちゃんとBランク依頼だったよ?」
『最後にAランクが混ざった』
「追加報酬」
『……まあ、それは嬉しい』
「やっぱり」
『言うな』
アルがヴァルカの背で笑う。
その隣。
ノルンの背中。
私も笑う。
「帰ったらエレナさんに報告」
『ああ』
「白金宝箱も開けたい」
『宿でな』
「分かってる」
『本当か?』
「今日は忘れてない」
『そこは信用している』
「成長した」
『基準が低い!』
また。
アルのツッコミが響いた。
初めてのBランク依頼は。
思っていたより。
かなり楽しかった。




