第二十四話 虹霊晶脈と古代採掘遺構の最奥
横穴の奥へ進む。
一歩。
二歩。
進むたびに、淡い虹色の光が強くなっていく。
「明るくなってきた」
《灯光》を消す。
もう必要ない。
岩壁そのものが、七色の光を反射していた。
「ウォン」
ノルンも周囲を見回している。
敵の気配はない。
《上級索敵》にも生命反応なし。
でも。
《魔力感知》には、かなり濃い反応がある。
「この先」
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《霊脈素材探査盤》
特殊反応:
至近距離
判定:
不能
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「何があるんだろう」
さらに数十メートル。
狭かった横穴が、突然開けた。
「……わ」
思わず声が漏れる。
そこは。
小さな地下空洞だった。
でも。
普通の空洞じゃない。
壁。
床。
天井。
そのすべてから、虹色に輝く半透明の結晶が無数に生えている。
赤。
青。
緑。
金。
紫。
白。
見る角度によって色が変わる。
「綺麗……」
中央には、大きな結晶柱。
その根元には、青白い霊脈光が集まっていた。
《霊脈素材探査盤》が激しく点滅する。
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特殊素材領域発見
《七彩霊晶洞》
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「七彩霊晶洞?」
近くの結晶へ。
「《上級鑑定》」
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《虹霊晶》
分類:
超希少魔晶素材
品質:高品質
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複数属性の魔力が
長期間にわたり均衡状態で結晶化した
極めて珍しい多属性魔晶。
単一属性へ偏らず、
複数の属性魔力に高い適応性を持つ。
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主適性:
《多属性魔力付与》
《属性変換》
《魔力増幅》
《複合魔法補助》
《魔導装備製作》
《高位アクセサリ》
《属性魔力矢強化》
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「属性魔力矢強化」
そこに目が止まった。
「これ、私と相性すごくいい」
《火炎魔力矢》。
《水流魔力矢》。
《氷結魔力矢》。
《疾風魔力矢》。
《雷撃魔力矢》。
《光輝魔力矢》。
全部に使える。
「ファントム・ブラック・ムーンを作り直す必要もない」
矢の補助具。
アクセサリ。
魔道具。
そういう形で使えばいい。
「欲しい」
周囲を見る。
「……いっぱいある」
一個や二個じゃない。
洞窟の壁と天井。
床の裂け目。
全部。
「採る」
◇◇◇
「《採掘》」
さらに。
「《自動収集》」
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《広域採掘》
開始
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虹色の結晶群へ光が走る。
パキン。
パキパキッ。
壁面から結晶が次々と外れ、《インベントリ》へ収納されていく。
ただし。
「全部は採らない」
霊脈そのものを壊したくない。
結晶の母床。
中央の巨大結晶柱。
空洞を支えている部分。
そこは残す。
採っても問題ない部分だけ。
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《採掘成功》
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《虹霊晶》・高品質×420
《虹霊晶》・良質×860
《七彩魔晶片》×1250
《高純度魔晶石》×980
《属性晶砂》×1600
《霊脈晶水》×180L
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「千個以上」
かなりある。
でも。
《自動収集》がまだ止まらない。
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《追加採取》
《火晶核》×28
《水晶核》×30
《氷晶核》×24
《風晶核》×32
《雷晶核》×26
《光晶核》×18
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「六属性全部ある」
この洞窟そのものが、多属性の魔力が混ざる場所らしい。
「すごくいい場所見つけた」
そして。
中央。
巨大な《虹霊晶》の根元。
《レア素材発見》が反応した。
「ん?」
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《希少部位反応》
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「結晶にも希少部位あるんだ」
近づく。
普通の虹霊晶とは違う。
中心部に。
小さな球状の結晶。
虹色というより。
透明に近い。
でも内部では六色の光がゆっくり回転していた。
「《上級鑑定》」
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《六属性霊晶核》
分類:
特殊魔晶核
品質:
逸話級
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六属性の魔力が
極めて高い均衡状態で融合した
特殊な霊晶核。
《虹霊晶》の大規模群生地でも
極めて稀にしか形成されない。
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適性属性:
火
水
氷
風
雷
光
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主適性:
《六属性魔法増幅》
《六属性魔力矢強化》
《属性切替高速化》
《複合属性制御》
《高位魔導具中核》
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「これ大当たり」
慎重に採取する。
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《採掘成功》
《六属性霊晶核》×1
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「一個だけ」
むしろ。
こういうのは一個だから嬉しい。
「大事に使おう」
《インベントリ》へ収納した。
◇◇◇
洞窟をもう少し調べる。
奥には自然にできた小さな泉。
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《七彩霊泉》
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「また水」
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《七彩霊泉水》
分類:
高位錬金素材
品質:高品質
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複数属性魔力を微量に含む霊泉水。
属性ポーション、
魔導触媒、
属性素材精製、
複合魔力錬金などに利用可能。
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「これも採ろう」
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《七彩霊泉水》×300L
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水面へ視線を落とす。
「まだある」
底に小石みたいな結晶。
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《虹晶砂》×950
《七彩霊石》×180
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「ほんとに素材だらけ」
楽しい。
かなり楽しい。
◇◇◇
採取を終える。
《霊脈素材探査盤》を見る。
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《七彩霊晶洞》
主要素材反応:
採取完了
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「よし」
でも。
画面を切り替える。
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《古代地下採掘遺構》
特殊反応:
残り1
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「やっぱり」
まだある。
最初の分岐。
中央通路。
「右側だけでこれだったのに」
アダマンタイト大鉱脈。
《虹霊晶》。
《六属性霊晶核》。
それでも。
まだ中央に一つ。
「行きたい」
「ウォン」
「ノルンも?」
「ウォン!」
「じゃあ戻ろう」
◇◇◇
巨大鉱床まで戻る。
もう一度見る。
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《アダマンタイト原鉱》
総保有数:3260
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「……すごい量」
これなら加工の練習にも使える。
装備も作れる。
売却してもいい。
でも。
「今は保存」
何を作るかは王都に帰ってから考える。
私はノルンと一緒に来た道を戻った。
◇◇◇
途中。
さっき倒した《アダマン・クリスタルガーディアン》の残骸跡。
そこで。
「そういえば」
《インベントリ》を開く。
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未開封
《白金の宝箱》×1
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「……」
止まる。
「ウォン?」
「開けたい」
前回の白金箱。
《エクリプス・ブレスレット》。
《属性魔力矢》。
《魔穿狙撃》。
《白銀獣王晶》。
かなりすごかった。
「今回も絶対すごい」
でも。
中央通路が残っている。
「帰ってから」
画面を閉じる。
三歩進む。
また開く。
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《白金の宝箱》×1
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「……」
「ウォフ」
「笑った?」
ノルンが先へ歩いていく。
「待って」
◇◇◇
分岐地点へ戻った。
左。
中央。
右。
右側は探索済み。
《霊脈素材探査盤》を確認する。
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左:
特殊反応なし
中央:
特殊反応1
右:
探索完了
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「中央」
進む。
右側と違って。
こちらの通路には採掘跡が少ない。
「変だな」
古代採掘施設なのに。
中央だけ。
壁が綺麗。
人工的に整えられている。
石床にも。
細い銀色の線。
「魔法陣?」
《上級鑑定》。
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《古代魔力導路》
状態:
一部稼働中
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「まだ動いてる?」
床に刻まれた線の内部を、微かな魔力が流れていた。
かなり古い施設なのに。
「霊脈から供給されてるのかな」
さらに進む。
百メートル。
途中。
扉。
「閉まってる」
石ではない。
黒銀色の金属扉。
表面には六角形の紋章。
中央に魔晶。
「《上級鑑定》」
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《古代封鎖扉》
状態:
施錠
魔力供給:
継続中
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解除条件:
不明
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「壊せるかな」
《ブラック・ファング》を抜こうとして。
「……いや」
やめる。
こういうのは。
「探せば解除方法ありそう」
周囲を見る。
右壁。
小さな台座。
そこに。
手のひらほどの窪み。
「何か入れる?」
《上級鑑定》。
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《魔晶認証台座》
必要魔力特性:
多属性
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「多属性?」
今日手に入れたばかり。
「まさか」
《インベントリ》から。
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《六属性霊晶核》
×1
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「これ?」
でも。
使い切るのは嫌。
試しに近づける。
すると。
ピィン――。
《六属性霊晶核》が輝いた。
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認証条件確認
六属性魔力
適合
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「やっぱり」
でも。
表示が続く。
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触媒消費:
不要
魔力認証のみ実行可能
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「よかった」
台座へ触れさせる。
六色の光が走った。
火。
水。
氷。
風。
雷。
光。
順番に扉へ流れ込む。
ゴウン――。
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《古代封鎖扉》
解錠
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「開いた」
黒銀色の扉が左右へゆっくり開く。
その向こう。
「……何ここ?」
採掘場じゃない。
四角い巨大な部屋。
壁には古い棚。
石箱。
金属箱。
さらに。
中央。
巨大な円形魔法陣。
そして。
《霊脈素材探査盤》が強く反応した。
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《特殊反応》
到達
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反応源。
部屋の最奥。
そこには。
透明な結晶に包まれた。
一つの鉱石が浮いていた。
「……金色?」
違う。
赤。
金。
橙。
炎みたいな色。
でも燃えていない。
金属光沢を持った鉱石。
《上級鑑定》。
表示が出る。
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《鑑定中》
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「時間かかってる」
数秒。
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鑑定成功
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《緋緋色金原鉱》
分類:
超希少高位金属鉱石
品質:
良質
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「……ヒヒイロカネ?」
アダマンタイトの次。
また。
新しい高位金属。
透明な結晶の中で。
緋色と金色の光を帯びた鉱石が、静かに輝いていた。




