第十九話 六属性魔力矢と魔穿狙撃
翌朝。
目を覚ました瞬間、最初に思ったことは決まっていた。
「試し撃ちしたい」
昨日、《白金の宝箱》から手に入れた新しい力。
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《月蝕魔導腕輪》
S級
伝説級
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《属性魔力矢》Lv10
《魔穿狙撃》
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全部まだ本格的には使っていない。
「早く撃ちたい」
ベッドから起き上がり、顔を洗う。
その時、ふと思い出した。
「そういえば最近、ステータスちゃんと見てなかった」
《ヴァーダント・セイバー》。
白銀峡谷の魔物たち。
《銀嶺暴牙狼》だったノルンとの戦闘。
《魔晶ゴーレム》。
そしてフィールドボス《白銀魔晶巨像》。
かなりの数を倒している。
ステータスを開く。
「……あ」
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リリス・ルクスヴィア
Lv68
種族:人族
職業:
《錬金術師》
《勇者》
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「六十八?」
最後にしっかり確認した時はLv41だった。
履歴を開く。
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《累積レベルアップ履歴》
Lv41
↓
Lv68
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獲得AP:27000
獲得SP:27000
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《女神の加護》
獲得経験値10倍
《必要経験値減少》Lv10
各種成長補正適用
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「思ったより上がってた」
高レベルの魔物やフィールドボスまで倒したんだから、考えてみれば当然かもしれない。
しかも私には《女神の加護》がある。
「これなら、もっと強い場所にも行けそう」
少し嬉しくなる。
でも今日はレベル上げが目的じゃない。
「まず試し撃ち」
装備を整える。
黒い《魔鋼板戦闘服》。
要所を守る銀灰色の魔鋼板。
その上から《晶影隠密外套》。
黒い布マスク。
腰には《黒鋼刃剣》。
左手首には《月蝕魔導腕輪》。
そして。
「今日もカッコいい」
《幻穿黒魔弓》。
黒銀色の大型魔導弓を手に取る。
滑らかな月弧状の弓身には銀白色の光が流れ、周囲には薄い黒色の魔力光が漂っている。
左腕の《エクリプス・ブレスレット》も呼応するように淡く輝いた。
「……組み合わせるともっとカッコいい」
かなり好き。
◇◇◇
朝食を済ませた後。
宿の裏庭へ出る。
「おはよう、ノルン」
「ウォン!」
白銀色の巨大狼が立ち上がった。
肩まで二メートルを少し超える巨体。
頭はさらに高い。
白銀色の長い毛並みに、《白銀疾装》の銀白色装甲がよく似合っている。
「ノルンもカッコいい」
「ウォフ」
また少し胸を張った。
「今日は新しい技の練習、付き合ってね」
「ウォン!」
◇◇◇
向かったのは王都西方。
以前から狩りに使っている森林地帯より、さらに奥。
周囲に人が少なく、ある程度強い魔物も生息する場所を選んだ。
ノルンの背中から降りる。
「まずは属性魔力矢」
《ファントム・ブラック・ムーン》を構える。
普通の《魔力矢》なら銀白色。
でも今回は違う。
「最初は火」
意識する。
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《属性魔力矢》
属性選択:
火
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「《火炎魔力矢》」
弦を引く。
ボッ――。
赤橙色の炎が集まり、一本の矢を形作った。
ただ炎を纏わせた矢ではない。
矢そのものが、高密度の火属性魔力で形成されている。
「分かりやすい」
少し離れた岩を狙う。
放つ。
シュンッ!
着弾。
ドォンッ!
岩の表面が爆ぜ、赤い炎が広がった。
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《火炎魔力矢》
火属性攻撃
《爆炎効果》
範囲攻撃補正
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「群れ相手に良さそう」
次。
「《水流魔力矢》」
青色の魔力。
透き通った高圧水流が高速回転しながら矢を形成する。
放つ。
バシュッ!
岩へ細い穴が開いた。
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《水流魔力矢》
水属性攻撃
《高圧水流》
《切断強化》
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「火より貫通と切断寄り」
次。
「《氷結魔力矢》」
淡い水色。
矢の周囲から白い冷気が零れる。
着弾。
パキィンッ!
岩の周囲が一瞬で白く凍りついた。
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《氷結魔力矢》
氷属性攻撃
《凍結蓄積》
《移動阻害》
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「足止め向き」
さらに。
「《疾風魔力矢》」
薄緑色の矢。
周囲を圧縮された風が螺旋状に回転する。
放った瞬間。
「速っ」
ほとんど視認できない。
ズドンッ!
離れた岩へ深々と突き刺さった。
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《疾風魔力矢》
風属性攻撃
《矢速大幅上昇》
《射程延長》
《貫通補助》
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「長距離狙撃にすごく合う」
そして。
一番試してみたかった属性。
「《雷撃魔力矢》」
バチバチッ!
青白い雷が黒銀色の弓身を走る。
形成された矢は、ほとんど雷そのものだった。
「カッコいい……」
放つ。
バヂィィンッ!
着弾した岩から周囲へ雷光が走る。
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《雷撃魔力矢》
雷属性攻撃
《感電》
《麻痺蓄積》
《金属伝導》
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「ミスリル系とか金属系にはかなり効きそう」
最後。
「《光輝魔力矢》」
白金色の光。
六属性の中で一番明るい。
放つ。
シュウッ!
一直線。
着弾した岩を白金色の閃光が貫いた。
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《光輝魔力矢》
光属性攻撃
《浄化》
《闇属性特効》
《邪性特効》
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「全部ちゃんと役割が違う」
火は爆発と範囲。
水は切断。
氷は拘束。
風は速度と射程。
雷は麻痺と金属。
光は浄化と対闇。
「これは楽しい」
◇◇◇
ちょうどいいタイミングで《上級索敵》が反応した。
「魔物」
森の向こう。
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《硬殻大角鹿》
Lv38~42
×9
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大型の鹿型魔物。
背中から首、頭部の一部を硬い甲殻が覆っている。
「試してみよう」
まず三体。
「《氷結魔力矢》」
三本生成。
左腕の《エクリプス・ブレスレット》が淡く光る。
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《多重照準超補助》
発動
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「《多重標的射撃》!」
三本の水色の矢が別々の標的へ。
パキンッ!
鹿たちの脚元から氷が広がった。
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《凍結》
×3
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「本当に止まった」
残り六体がこちらへ突進する。
「じゃあ火」
赤橙色の矢を六本。
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標的捕捉
6
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「《火炎魔力矢》」
「《マルチロック・シュート》!」
放つ。
ドンッ!
ドドンッ!
六箇所で爆炎。
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《硬殻大角鹿》
×6
討伐
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凍結していた三体には。
「《雷撃魔力矢》」
青白い雷矢を生成。
「角に当てれば……」
放つ。
バヂィンッ!
金属質を含む大角から全身へ雷撃が伝わった。
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《硬殻大角鹿》
×3
討伐
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そして。
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LEVEL UP
Lv68
↓
Lv70
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「二つ上がった」
九体まとめて。
相手のレベル自体は今の私より低いけど、経験値補正が大きい。
「まだ普通に上がるんだ」
◇◇◇
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《自動収集》
《硬殻大角鹿の角》×90
《硬殻大角鹿の甲皮》×110
《硬殻大角鹿の腱》×70
《硬殻大角鹿の魔石》×90
遺骸×9
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《宝箱ドロップ》
《木の宝箱》×3
《銅の宝箱》×2
《鉄の宝箱》×1
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「また増えた」
全部収納。
「次は本命」
《魔穿狙撃》。
でも。
「普通の魔物に撃つには強すぎそう」
何か硬い相手。
できれば大型。
《上級索敵》の範囲を広げる。
「……いた」
かなり遠い。
森のさらに奥。
一体。
「行こう、ノルン」
「ウォン!」
◇◇◇
しばらく移動したところで、ノルンが止まった。
「グル……」
「分かってる」
地面が微かに揺れている。
木々の奥。
大きな影。
「《上級鑑定》」
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《鉄岩巨犀》
Lv54
種族:大型獣系魔物
危険度:高
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全長:約6m
岩石と金属質の硬皮に覆われた
大型犀型魔獣。
極めて高い正面防御力を持ち、
巨大な《鉄岩角》による突進を得意とする。
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「ちょうどいい」
ノルンを見る。
「今回は私一人で撃ってみるね」
「ウォン」
ノルンはその場で伏せた。
私は距離を取る。
二百メートル。
三百。
さらに。
「このくらいかな」
《アイアンロック・ライノ》はまだこちらに気づいていない。
《上級隠密》。
《気配遮断》。
《魔力隠蔽》。
《晶影隠密外套》。
《ファントム・ブラック・ムーン》の《射撃時気配遮断》。
さらに左腕。
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《エクリプス・ブレスレット》
《魔力隠蔽強化》
発動
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「……全然気づかれてない」
《魔力照準》。
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標的捕捉
《鉄岩巨犀》
距離:428m
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「四百二十八メートル」
普通の弓なら相当な遠距離。
でも。
《超遠距離射撃》。
《狙撃》。
《上級弓術》。
《ファントム・ブラック・ムーン》。
今の私には十分射程内。
弓を構える。
「《魔穿狙撃》」
瞬間。
周囲の空気が変わった。
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《魔力超収束》
開始
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銀白色の魔力が一本の矢へ集まっていく。
《エクリプス・ブレスレット》が強く輝いた。
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《魔力収束強化》
《魔力充填速度大幅上昇》
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本来ならもっと時間が必要なはずなのに。
「速い」
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《魔力超収束》
完了
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一本の矢。
普通の《魔力矢》より細い。
光もほとんど漏れていない。
静か。
なのに内部に詰まっている魔力量は桁違い。
「すごい……」
標的。
額。
分厚い鉄岩外皮の中央。
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《弱点狙撃補正》
《超貫通補正》
《障壁貫通補助》
有効
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「属性も入れられるかな」
意識する。
「《雷撃魔力矢》」
バチッ。
超収束された銀白色の矢へ、青白い雷が纏わりつく。
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《魔穿狙撃》
+
《雷撃魔力矢》
複合成立
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「できた」
さらに。
「《疾風加速》」
今度は風属性補助魔法。
圧縮された追い風を矢へ纏わせる。
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《疾風加速》
対象:
《魔穿狙撃・雷撃魔力矢》
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《矢速強化》
《射程強化》
《貫通補助》
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「……盛りすぎかな」
でも。
試したい。
「撃つ」
指を離す。
音はなかった。
一瞬。
本当に何も起きなかったように見えた。
そして。
四百二十八メートル先。
バヂンッ――!
青白い一本の光が《鉄岩巨犀》の額を貫通。
巨大な頭蓋を抜け。
さらに。
背後にあった大岩へ。
ドォンッ!
岩にまで大穴が開いた。
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《鉄岩巨犀》
Lv54
討伐
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「…………」
私は弓を下ろす。
ノルンを見る。
「ウォン?」
「強すぎない?」
ノルンが首を傾げた。
「一発だった」
全長六メートル。
高防御。
Lv54。
四百メートル以上先。
正面の最も硬い部分。
それを。
一撃。
「《ファントム・ブラック・ムーン》と《エクリプス・ブレスレット》の組み合わせ、すごい」
そこへ《魔穿狙撃》。
《雷撃魔力矢》。
《疾風加速》。
「ボスにも使える」
いや。
「弱点をちゃんと狙えれば、もっと上の相手にも通りそう」
◇◇◇
《鉄岩巨犀》のところまで移動する。
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LEVEL UP
Lv70
↓
Lv72
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「また二つ」
現在Lv72。
「結構上がったなあ」
でも私の成長補正を考えれば、これでも驚くほどではないのかもしれない。
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《自動収集》
《鉄岩巨犀の硬皮》×20
《鉄岩巨犀の大角》×10
《鉄岩巨犀の骨》×60
《鉄岩巨犀の腱》×30
《鉄岩巨犀の魔石》×10
《鉄岩巨犀の肉》×150
遺骸×1
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さらに。
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《強敵討伐》
宝箱確定
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《銀の宝箱》×1
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「銀」
収納。
「また開封用が増えた」
昨日、白金箱を開けたばかりなのに。
「今度はどれくらい貯めようかな」
大量に並べて開けるのも楽しい。
◇◇◇
その後も、属性魔力矢を試しながら森を探索した。
《水流魔力矢》で硬質蔦を切断。
《氷結魔力矢》で高速魔獣の脚を凍結。
《火炎魔力矢》で群れをまとめて攻撃。
《疾風魔力矢》で飛行魔物を超高速狙撃。
《雷撃魔力矢》で甲殻魔物を麻痺。
そして。
《光輝魔力矢》は――。
「これはまだ相手がいない」
闇属性。
不死系。
邪性魔物。
そういう相手が出た時に使えばいい。
「今後の楽しみ」
◇◇◇
午後。
少し休憩する。
私は大木の木陰へ座り、携帯食料と果実水を取り出した。
ノルンには肉。
「はい」
「ウォン!」
大きな肉塊へ豪快に噛みつく。
「今日はいっぱい試せた」
かなり満足。
《属性魔力矢》。
《魔穿狙撃》。
《エクリプス・ブレスレット》。
全部強い。
しかも。
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現在Lv72
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「レベルも上がった」
Lv41だった頃から考えると、かなり成長した。
でも。
「強くなると、もっと強い相手と戦いたくなるんだよね」
「ウォン」
「ノルンも?」
「ウォウッ!」
「やっぱり」
似た者同士かもしれない。
そんなことを考えながら《インベントリ》を眺める。
大量の素材。
ミスリル。
月銀。
白銀魔晶。
白金魔晶。
《白銀魔晶核》。
《翠嵐獣核》。
魔物素材。
「次、何作ろうかな」
防具はまだ更新しなくていい。
《アーマード・コンバットウェア》は十分使える。
弓も当然。
「《ファントム・ブラック・ムーン》は変えない」
むしろ《エクリプス・ブレスレット》のおかげで、さらに強くなった。
剣も《ブラック・ファング》がある。
「アクセサリとか、魔道具?」
少し考える。
そして。
「素材探し用の魔道具とかいいかも」
もっと珍しい素材を見つけるためのもの。
それなら装備を無理に更新しなくても、錬金術を使える。
「面白そう」
希少鉱石。
珍しい植物。
特殊な結晶。
レアな魔物素材。
「探したい」
私は錬金術師なんだから。
戦うだけじゃない。
素材を探して。
集めて。
それを使って作る。
「次は珍しい素材探しもいいな」
その時だった。
隣で肉を食べ終えたノルンが、突然顔を上げた。
「ん?」
白銀色の耳が立つ。
鼻を動かす。
「何か匂う?」
ノルンが森の北側を見る。
「グル……」
威嚇じゃない。
警戒とも少し違う。
何かが気になっている。
私も《上級索敵》を広げた。
「……魔物の反応はない」
では。
「《魔力感知》」
さらに範囲を広げる。
遠く。
本当に微か。
普通の魔物とも。
鉱石とも。
少し違う。
淡い魔力反応。
「何だろう」
ノルンが立ち上がる。
「行ってみたい?」
「ウォン」
私も立つ。
《ファントム・ブラック・ムーン》を背負い直した。
「じゃあ、ちょっとだけ」
まだ時間はある。
珍しい素材かもしれない。
あるいは。
まだ知らない何か。
私はノルンと一緒に、森のさらに北へ向かうことにした。




