19.
『悠希はかわいいねぇ』
日常的に、祖父母はそう言ってくれた。
その言葉を額面通りに受け取っていたわけじゃない。
身内のひいき目だろうし、性格や仕草のことかもしれないし。
けれど、祖父母に「かわいい」と言われるのは嬉しかったし、好きだった。
――こけしに似てる
クラスメイトから、影でそう言われていたことは知ってる。悪口というほどでもない、単なる事実。
細い一重の目と、薄く小さな唇、まっすぐな黒髪。
まぁ、確かに似ている。自覚あり。
少しだけ傷ついたけど、その痛みはこっそり胸の奥にしまった。
知らないふりをして、笑ってやり過ごした。
自分が美人じゃないことは百も承知だ。
とはいえ、そこまで悲観することもなかった。
私は、私の顔に愛着がある。
同時に「ちんちくりんのこけし」だという自覚もある。
だから、ときどき友人が言う「かわいい」の言葉の裏も読めるし、自惚れたりしない。
それに、顔の善し悪しがその人の幸せを左右しないことを知ってる。
だって、ばーちゃんの若い頃、めちゃくちゃ私にそっくりだし。あ、私が似てるのか。
とにかく、ばーちゃんはいつも幸せそうだった。
辛いことや苦しいことがなかったわけじゃなく、小さな幸せを見つける努力を怠らない人だった。
世話焼きで、愛情深くて、損得勘定なしで動く。当然のように、周りの人からも愛された。
環境や境遇がその人を幸せにするわけじゃなく、そうあろうとする人だけが幸せに気づけるんだと教えてくれた。
隣にいるじーちゃんも、私も、まとめて幸せにしてくれる人だった。
ちなみに、じーちゃんは美形でした。
老いても美しかった。
その遺伝子どこいったん?と笑い合うのが我が家の通例だった。
ああ、懐かしい。
懐かしい...――夢




