第4話 建設スキル
小屋へ戻った俺は『魔石』を得るためにどうにかモンスターを倒していこうと頭を捻った。
そこでまず、さっきガチャで引いたレア度☆×4『風の腕輪』というアイテムを左腕に装着してみる。
鑑定で見ると、これは『身のこなし』を+200してくれるアイテムだというからだ。
まあ、+200というのがどれくらいのものなのかはわからなかったけどな。
それから銅の剣を持って外に出ると、やはり身体が軽い気がする。
試しにちょっと地面を蹴ってジャンプしてみると……
「うわっ!!」
なんと、小屋の屋根を超える高さまで飛び上がり、また、その着地も羽根のようにふわりとして衝撃がなかったのである。
「これは心強いな」
次に俺はさっきガチャで引いたレア度☆×6『索敵スキル』を使ってみる。
すると、
【索敵】
―――――――――――――――
○ ○
○
☆
領
○
○
△
―――――――――――――――
という図面が眼前に浮かぶ。
『領』が領地。
『☆』が現在位置。
『○』がモンスターであろう。
しかし『△』はなんだ……?
とは思ったが、まあ、わからん部分はひとまずおこう。
とりあえず俺は○に向かって森を縫って行くことにした。
ヒュンヒュンヒュンヒュン……
身のこなし+200が効いて、森を駆ける速さはオートバイのようである。
風を切って林中をハイ・スピードで行くのはたまらなく爽快だった。
方角はわかっているのですぐにモンスターのところまでたどり着く。
「キイイ!?」
またアンデッドだ。
俺は木々の隙間を走るその勢いでジャンプして、空中で剣を振り上げた。
シュン……
敵は消滅し、魔石が1つ残る。
「でも1つじゃなあ」
とぼやきながらも、また次の○へ向かって森を駆けていった。
次も、その次も、そのまた次もアンデッドだったので、少々うんざりする。
でも、これで魔石も全部で10個になったぞ。
確か『必要魔石10』で建設できるものもあったよな。
一度帰ろうか……
と思ったけれど、索敵スキルを見るとどうやら例の『△』が近くにいるようだ。
せっかくなので行ってみよう。
「ウウウウ……」
で、来てみると、なかなかサイズの大きな敵が唸っていた。
見た目からするとオークっぽい。
△というのは○よりは強いモンスターってことか?
ちょっと戦うのはやめておこうかなあ。
【鑑定】
≪オーク = 強くはないがタフ。初級冒険者最初の壁。魔石200。経験値200 ▽≫
「魔石200?」
というのにつられて、気づくと俺はその醜悪な豚鼻の魔物へ斬ってかかっていった。
「らあああ!」
「ウ?……」
しかし効かない。
剣は敵の肩口へヒットしたが、手がしびれるばかりである。
皮膚がすごく硬いのだ。
それから何度攻撃しても全然効く様子がなかった。
でも、相手の攻撃も俺にはあたらない。
オークの動きはのろかったし、身のこなし+200ですべてかわすことができたのである。
必然的に戦闘は長引き、あたりは夕暮れの赤に包まれた。
「暗くなったらヤバイか……」
そう思ってオークはあきらめることにする。
「くそ、覚えてろ!」
「ウッウッウッ(笑)」
こうして俺はオークから逃げて領地へと帰ったのだった。
領地に帰ると日はとっぷり暮れていた。
灯りがないので、小屋の中は真っ暗だ。
あまり暗いのでもう眠るより仕方がなかった。
ただし、布団がないから畳の上で直に寝ることになる。
眠りに落ちる前。
今さらながらに『これは夢なんじゃないだろうか』と思った。
あまりに非現実的なことが起きすぎて感覚がマヒしているようなところがある。
次に起きたら、あの練馬のアパートで目を覚ましていたってオチはじゅうぶんに考えられるよな。
◇ ◇ ◇
翌朝。
「夢じゃなかった」
と、縁側でつぶやく俺。
まあ、別に夢であってほしいとは思ってなかったけどな。
せっかく女神さまの土地のために頑張ろうって思ったんだし。
「さて。明るくなったし、やるか」
というわけで、昨日10個に達した魔石を使ってみようと思った。
建設スキルを開き、建設可能施設を見ると、
――――――――――――――――
【建設スキル】
《建設済み施設》
小屋・レベル1……0%
《建設可能施設》
小屋(小)……魔石20
祠(小)……魔石10
井戸(小)……魔石10
田んぼ(低)……魔石20
――――――――――――――――
祠(小)と井戸(小)なら作ることができそうだ。
祠は開発していくとお社を作ることができるようになるらしいので、
さしあたって必要なのは水だと思い、俺は井戸を建設することにした。
「で、どうやればいいんだ?」
とつぶやいた瞬間、
――――――――――――――――
≪井戸をどこに建設しますか?≫
□□□
□□□
家□□
――――――――――――――――
という図と文字が目の前に浮かんだ。
俺が適当なマスをタップすると、手元の魔石は消え、
――――――――――――――――
≪井戸を建設しました≫
□□□
井□□
家□□
――――――――――――――――
という図に切り替わった。
それで実際の領地を見てみると、
「おお、井戸ができてる!」
図と同じように小屋の隣に井戸ができていたのである。
木枠で囲まれた入口から桶ですくうと、ちゃんと水を得ることができた。
「わー、マジありがたや~」
と言ってゴクゴク水を飲む俺。
水質はとても綺麗なように感じた。
それから、レア度☆×2『携帯食10日ぶん』を出して、これをなんとか食えるようにしたいと考える。
というのも携帯食は炊いた米をバリバリに硬くした保存食で、水に浸けてふやけさせないととても食えたものではなさそうだったからだ。
「茶碗とかねえかなあ」
せめてなにか容器があればと思って小屋の中に備え付けられていたあの箪笥を開いてみると、あった。
しかも、俺が練馬のアパートで使ってたやつだ。
それから、箸、歯ブラシ、爪切り、鍋、水筒、マッチ、石鹸なども、俺が日本で使っていたものが入っている。
女神さまの気づかいだろうか、日用的な私物を転移してくれたのだろう。
逆に入っていないものはスマホ、PCなどの家電、衣類、書籍などである。
そこらへんは『次元を超えてよいもの、悪いもの』というのがあるように想像された。
それから俺はちょっと工夫して外で鍋に火をかけて、乾いた飯を煮て食べた。
硬くて食えたものではなかった携帯食が、煮ればなかなかのものになる。
おかずがないのはさみしいが、一応これで10日ぶんはメシにありつけそうだ。
メシの後、1日たったのでガチャを引くことができると思い神棚へ柏手を打った。
≪→【ガチャを回す】← 残り1/1≫
この文字が浮かんだので、俺は【ガチャを回す】をタップする。
また金玉を狙ったのだけど、実際に神棚から飛び出してきたのは白玉であった。
「あ~……」
ガッカリして開けてみると、
≪レア度☆ ふんどし10枚≫
と文字が浮かび、ボンッと煙が立つと真っ白なふんどしが10枚あらわれた。
「……まあ、下着を変えたいと思ってはいたんだ」
そうつぶやいて、俺は穿いていたブリーフ・パンツを脱ぎ、鏡の前でそのふんどしを締める。
ふんどしなんて締めたことねーけど、締め方は鑑定スキルで解説してくれた。
便利なもんだ。
「へえ、意外と締め付けられないっていうか、ゆったりしてるな」
ちなみに俺の服装はと言うと甚平姿であった。
ルックスが若返っているぶん、高校生が花火大会へでも出かけるような感じに見えるな。
「あれ?」
で、そんなふうにしみじみ鏡を見ていると、ふと気づいた。
俺自身に向かって鑑定の▽が点滅している。




