第97話 スタートダッシュはより深く
頭上に浮かぶ大きな魔法陣を眺めると学校の鐘が大きく鳴り響いた。そう今日は待ちに待った魔道大会の日。校庭のそこには赤、白と様々な小さい旗が飾られていて。それはいかにも大会が始まるとでもいうようにそこらじゅうに張り巡らされていた。
そよ風が止まないそんな頃。ユラ達が一斉に学校の門に向かって並ぶとクロノス先生が大きく声を上げる。
「えー今日は魔道大会の日だ!皆のもの、今日は怪我のないように勤しんでくれたまえ!……それと優勝した者には豪華な賞品が待ち構えている……あくまで参加賞だが……くれぐれも手を抜かないように!」
クロノス先生がそう話すと生徒達のはいという声が一斉に響き渡る。これからどうなる事やら。そうユラが考えているとクロノス先生が引き続き話を進め始めた。
「えーまず最初に行うのは障害物競走だ!」
「障害物競走?」
「ああ、単なる障害物競走だと思うなよ?……この競技ではただ先に走った者が勝利……という事ではなく、この競技内でより多くの的を素早く当てゴールまで走った者が勝利となる!……それではコースの説明をはじめたいと思う!」
そう話すとクロノス先生の手前に大きな地図が浮かび上がる。それを見る限りどうやらこの学園の外庭の地図である事が分かった。要はこのコース内でより多く的当てをすれば勝ちという事なのだろう。
「……まず最初にあるのは池のコース……そこには水中に隠された的が配置されている!そこでどれだけ的を見つけて当てられるかがこのコースの鍵となっている」
池のコースといえば少し前に釣りしたあの場所だと地図を見て分かった。その範囲からして随分と遠いところまで走らされるという事らしい。ユラ的には体力には自信があるが、どこまで的が隠されているのかが気になるところだった。
「次に蔦のコース……ここでは広い範囲まで伸びきった蔦を避け切り、どこまで的を当てられるかが勝利の鍵になる!」
蔦のコース。ユラは行った事はないがミオリオが森の奥にそういった場所があると言っていた事を思い出す。ミオリオの言う事だ。相当蔦が伸びきっているに違いない。そう思うとユラはゴクリと喉を鳴らした。
「そして最後に森のコース!平坦とした道が特徴的だがそこにも多くの的が散らばっているので見逃さないように注意が必要だ……一周してまわるコースだが皆のもの、テレポートして反則したりしないように!以上!」
そう大きな声で説明を終えるとクロノス先生は右端に立ち尽くし、何やら魔法を唱え始める。それは白く動く線。立ち止まっていた生徒達の目の前に線が敷かれていった。どうやらここがスタート地点になるようだ。長く敷かれた白い線。クロノス先生が1人ずつ並べと指示すると、ユラ達は待ってましたとばかりに並び始めた。
「では掛け声と共に走り出してくれ……健闘を祈る……では、始め!」
クロノス先生の大きな声が響き渡ると、ユラ達は大きく足を出し駆け巡る。果たしてどうなる事やら。不安と焦りと共に駆け出したユラが前のめりで進み始めると、周りにある木々が囁くようにカサリと鳴り響いたような気がした。




