表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マルス適合者~二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~  作者: しがない草
第八章 長期休暇での出来事

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/74

第71話 日常とプールとアームバンドと

 涼風薫る真夏のある日。ユラ達は昨日もらった長期休暇を楽しむため、学校の地下にあるプール室へと入室した。生徒激減のため今は使われていないプール室。だが今年は真夏日。という事もあり今回特別にとプールの使用が許可されたのだ。


「いえーい!久々のプールだー!」

「うっせえな、静かにしろよ」


 ミオリオが勢いよくはしゃぐとうるさいとばかりに注意を促すエル。そんなエルをよそにミオリオ達がバシャバシャと水をはじき飛ばすとたまらずユラ達も水の中へと入っていった。


「うーん気持ちいいねユラ!」

「え、うん!そうだね」


 あいにく変身魔法で作り出した身体のため人と同じような水の気持ちよさはいまいち感じ取る事ができなかった。だが身体に浸かってるうちに澄んだ水だという事が分かる。


「心地よい水……」


 ユラが背中で浮いたままそう言うと、近くにいた3バカトリオがこう話す。


「誰が1番綺麗に水上歩行できるか競走しようぜ!」


 そう3バカトリオが言い出すとまたバカな事言い出したよと話すミオリオ達。ユラも呆れて物が言えないでいると早速3バカトリオの1人であるブライアが水上歩行を始める。


「へへっ!どうよ!」

「さすがブライア様!」


 ブライアが安定した足取りで水上歩行すると周りで褒め称える声が上がる。ぺぺ達だ。ペペ達も同様に水上歩行するが上手くいかず、そのまま水の中へと落下してしまう。


「今度はお前の番な、ミオリオ」

「ええー!何であたしが!」

「なんだよそんな事もできねえのか?」

「ミオリオの奴荒っぽいからな」

「何よ!そんなの簡単にできるわよ!……見てなさい!」


 ミオリオがぺぺ達から安い挑発を受けると自身も同様に水上歩行を始める。がやはり優等生だからか。ブライアの歩行よりも遥かに安定した華麗な歩行姿を見せ、ぺぺ達をたじたじにさせる。


「ちっ!……まあいい、おい次はユラ!お前と勝負したい!」

「えっ、私!?」


 そう言うとユラがプールの外側へと上がれるようペペ達が通路を開ける。そしてプールから上がるとペペ達がユラを囲い、魔法で水上歩行するようそっと促した。


(どうしよう……水上歩行なんてした事ないし……)


 少し前にやった釣り大会でも水上歩行をやって見せた生徒はいた。しかし事実ユラ自身は見ていただけでやった事はない。


「ユラー!ファイトー!」

「水上歩行なんてした事ないんだけどどうしたらいいのー!」

「もー、そんなのイメージすれば簡単にできるはずよ!」


 ユラが遠くにいるミオリオに話しかけると声が反響した状態で答えが返ってきた。そうか。イメージすればいいのか。そう考えるとユラは足をプールの水につけた状態でイメージを施す。


「よし!いけえ!」


 伝わる水の振動。まっすぐ歩けと言われた気がして。そのまま前へと突き進んだ。すると上手い事水に足が乗りいい感じに歩行できた。1歩また1歩と突き進むユラ。しかし徐々に力み過ぎたのか。プールの水が魔力の結晶と化し水面を固めていく。そして遂には全面を氷漬けのように固めてしまう事態となった。


「しまった!やりすぎた……」


 凍る空気。あまりの事態に皆の表情が固まる。


「ま、まあ競走は引き分けって事で片付けに入ろうか」


 ブライアが無理やり締めに入るとユラは全員に平謝りする。さすがにやりすぎた。そう猛省しているとどこからか呼びかける声が聞こえる。エルの声だ。急いで駆け寄るとエルがユラに向かいこう話す。


「あー悪りぃんだけど手引っ張ってくんねえか?ちょっと1人で上がるのしんどくてさ」


 そう言うとエルはユラの方に向けて手を伸ばしだす。表面は先程発動した魔力の結晶で固まっている。周りの人達も同じように手を貸してもらっている事態だ。確かに助けが必要かもしれない。そう思ったユラはエルの手を掴みプール外に上がれるよう引っ張る。するとエルがしていたアームバンドが外れ、プール外へと落ちてしまう。


(あれ?()()()()……)


 見たのはエルの腕に書かれた0()4()2()7()という謎の番号だった。いつもなら見ないそれはアームバンドで隠されていたようだ。


「ねえ……この番号って……」


 そう告げるとまるでまた隠すかのようにアームバンドを拾い上げ、腕に装着するエル。その仕草に思わずギョッとしているとエルが優しく語りかけるようにこう話す。


「……この番号は大事な箱の暗証番号なんだ」

「暗証番号?」

「ああ、だからこの事は秘密な?」

「……分かった」


 確かにそうだ。エルにも秘密にしたいものがある。だから隠したんだ。そうユラが思い込むと早速プール内の片付けに入る。大丈夫。先生には叱られるだろうけど何とか片付くだろう。ユラがそう思いながら後ろを振り返るとエルの後ろ姿が見える。その姿はどことなく虚ろげで。もの悲しげな態度でその場に佇んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ