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マルス適合者~二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~  作者: しがない草
第六章 新たな仲間と共に

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第56話 無限の謎の答え合わせ

「ティグリスさん!今日は聞きたい事があって来たのですが!」

「いきなりだね……急にどうしたんだい」


 日照りを避けたテント裏。今日は休みのはずだろうとティグリスが疑問を投げかけると、ユラは遊びに来ましたとばかりに話を進め続ける。


「この間授業で言っていたんです……ティグリスさんが所属している……【特別調査部隊】……でしたっけ?その部隊がマルスを退治してるとか何とか……」


 ユラが先日の授業で教わった事を事細かく説明すると、ティグリスが神妙な面持ちでユラを見つめる。マルスの事やティグリスが所属している部隊の事。いい加減聞かせてほしい。そうユラが願うと熱意が伝わったのか。ティグリスがシルクハットを深く被り直すと呆れながらも淡々と語り出した。


「しょうがないなー本当は国家機密なんだけど君はこちら側にどっぷり入ってるからなあ」

「でしょう?いい加減お願いしますよ」

「はあ……ならば仕方がない……その代わり条件がある」

「…………条件?」


 ティグリスがそう話すとにやりとした顔でこちらを見つめる。条件とはなんだろうか。静まり返った中。そう疑問に思うとティグリスはそっと答えるように語り始める。


「君の学校である今度の長期休暇を使って僕とデートしないかい?」

「デ、デートですか?」


 いきなり何を言ってるんだこの人は。ユラは内心そう思うとギョッとした顔でティグリスを見つめ続ける。


「……っていうのは冗談で……結末から言うと君の過去を覗かせてほしいんだ」

「過去……ですか」

「そう、過去さ……スタリナのね」


 自身の過去。それはユラにとっては耐え難くも優しく切ない物だ。そんな物を簡単に見せる訳には行かない。と一度はそう思った。だがもしそれを開示したなら。マルスやまだ知らない他の事が詳しく分かるかもしれない。ユラはそう思い悩んだが、最終的に首を縦に振りこう呟いた。


「別に構いませんよ」

「ほう……いいのかい?君にとって辛いものになるかもしれないよ」

「はい……それでも……私は知りたい」


 ユラに灯った新たな決意。それは知りたいと願う意思そのものだった。外部から見たらそれはただの知的好奇心かもしれない。だがユラが持つそれは温かく情熱のある物だった。


「……分かった、では教えるよ……特別調査部隊というのはマルスの調査や駆除、管理をする事を主に行う部隊になっている」

「だからねむの木やマルスの実を確保したりしてるんですか?」

「まあそうだね、他にもしなければいけない事はあるけどそういった物は他の部隊に任せてる……例えば【状況視察部隊】とかね」

「状況視察部隊?」


 また知らない単語だ。ユラが不思議そうに思うとティグリスが急に慌て出す。どうしたのだろうか。そうユラが思うとティグリスが忙しく何かの準備をしながらこう話す。


「すまない、そろそろ時間のようだ」

「何か用事でもあるんですか?」

「ああ……これでも隊長だからね、これから会議なんだ」

「ああそうだったんですか……忙しい日に来てしまってごめんなさい」

「まあ構わないよ……今度の長期休暇に交換条件であるそれをやるから楽しみにしてて……まあ悪いようにはしないからさ」


 そう言うと足早々とその場を立ち去るティグリス。隊長格だから忙しいのだろうか。ユラが心配そうにそちらを見つめると、近くにいたマジックショーの係のマドンナと言われている女性がこちらに来てこう言い放つ。


「ほらっ!隊長は忙しいんだから!帰った帰った!」

「すみませんマドンナさん!すぐ帰りますので」

「まああんたも大変よね〜変な事に巻き込まれて……まあいいわ〜…………あたしも隊員だから分かるけど本当に忙しいのよティグリス隊長」

「そうなんですか」

「まあ今回は大目に見てあげるわ」


 マドンナがそう言うとユラを優しく外に案内し帰るよう促す。


(結局分からない事が増えた気がするけど……まあいいか!)


 ユラが踵を返しその場を後にすると、同じようなタイミングでテントから出ていくティグリスを見かける。足先が別方向だ。ユラがそう考えていると向こうにいたティグリスから別れの挨拶をされる。


「ティグリスさんまた!」


 ユラが大きく手を振り別れの挨拶を済ますと再び学校へと向かうよう帰路へとつく。今日増えた疑問はいつか聞こう。そう思うとテスト用紙の答え合わせのように疑問が解かれるような気がして。なんだか心が弾むような気持ちになった。

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