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マルス適合者~二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~  作者: しがない草
第六章 新たな仲間と共に

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第55話 ルゼ・セトラ

 酷暑漂う日の頃の事。魔界の中にある遺跡ではある試験が行われていた。その名も謎解きダンジョン試験。先生曰くここの遺跡を使い様々な仕掛けを用意したとの事。最終的にダンジョンから脱出したらクリアとなるらしいのだが……2チームに分かれて行うという事があり不安でいっぱいだった。



「それではチームを発表したいと思う、チームはこの掲示板に書いてあるとおりだ」



 先生が話すと生徒達が一斉に掲示板に集まりだす。



「私のチームは……っと」



 ユラ自身もその掲示板を眺め、どういったチーム構成になっているか確かめる。すると見たところどうやらエル、ミオリオ、ルゼが自分のチームの仲間になるらしい。



「ミオ、エル、ルゼ、皆よろしくね!」



 そうユラが話すとよろしくと返してくる3人。いつものメンバーに加えルゼもいるなら大丈夫だろう。ユラがそう考えているとルゼがエルに向かいこう話し出す。



「エル、今回の戦略は考えているのか?」


「ああ、まあクロノスの事だ……卑しいやり口で仕掛けているに違いない」



 エルがそう話すと何やらコソコソと談話する2人。余程仲が良いのだろう。あのエルですらルゼに対し心を許している。



(そういえばルゼとは関わりが少ないなあ)



 ふとそのように考えていると何やらミオリオが早く行きたそうにソワソワしていた。確かにもう試験は始まっている。そう思い直すと手招きしながらミオリオと共に謎解きに取りかかろうする。



「もー2人とも置いてくよ?」



 そうミオリオが呼びかけると一目散に駆け出す男子2人。これからどんな仕掛けが待ち受けているのだろう。ユラがわくわくしながら歩き出すと早速謎解きが書かれた看板らしき物を発見する。



「えっとーなになに?飛ばずにこの川を安全に渡りきれ?」



 ミオリオが音読しながら読むと看板の向こう側の床が抜け落ち、一気に広い川へと変貌する。魔法による物だろうか?気になって川の様子を見るとそれはそれは身の毛もよだつ程濁っていて。とてもじゃないが泳いで行けそうにないと判断し、思わず目を逸らした。



「ルゼ、これ何とかできない?こういうの得意でしょ?」


「まあできなくはないが……やってみるよ」



 そうミオリオが言うと眼鏡をくいっと上げその場に佇むルゼ。するとポケットの中からある物を取り出す。



(透明なパズルのピースだ!)



 ルゼがいきなり取り出したそれはなんとパズルのピースだった。それをユラが不思議そうに眺めるとどうやら複数枚持ちのようで。何枚かピースを持ち出すと再度眼鏡を上げその場で考え出すルゼ。そのピースをどうするつもりだろう。そうユラが眺めているとルゼはピースを指で操作し、川の方に運んで橋のように組み立てた。



「透明な橋!?」



 見るとピースが形を作りどり、綺麗な橋のように変化を遂げる。それも猛スピードで。



(す、すごい速さ!?)



 出来上がる瞬間まで長い事見届けるとルゼはようやく完成したとばかりに一息つく。



「透明な橋が完成した!」


「えっへん!すごいでしょ!」


「……なんでてめえの方が偉そうなんだよ」



 ユラが驚きのあまりそう言うとミオリオとエルが楽しそうなやり取りを行う。いつも仲がいいな。ユラがそう思うと気になってミオリオに2人の仲を聞いてみる。



「最初はそうでもないのかと思ってたけど、エル達っていつも仲がいいよね」


「ん?ああ……だって私達3人幼なじみだし」


「え、そうなの?」


「そうそう」



 そう言うとどこかはにかんだ笑みを溢すミオリオ。幼なじみ。私にもいたなとユラが考えているとエル達が橋を渡るよう促す。



「いい加減渡ろうぜ!ユラ」


「俺は別に置いていっても構わないが……」


「ユラ!早くしないと1人にされちゃうぞ!」


「ちょ、ちょっと待ってよ!」



 エル達がそう述べると駆け足でその場を去るユラ。



(いけない!早く行かないと!)



 なんだかんだ待っていてくれる仲間達に心打たれながら走り出すと次の謎解き場へと向かうユラ。今度はどんな謎解きだろう?そう思い浮かべながら歩くユラの足取りはとても軽いものだった。



 ◆ ◇ ◇



 色々ありつつも悪戦苦闘しながら最終試験を突破したユラ達は出口へと向かうためトボトボと走り去る。



「クロノスの野郎!あいつとんでもない仕掛け作りやがって」



 とんでもない仕掛けというのは鉄の大玉が追ってくる最中に謎解きを解くという内容の物だった。ある意味では最終試験にピッタリの内容ではあったが……あそこまで過酷な物があるとは知らず呑気に過ごしていた事を後悔していた。



「い、痛……」


「だ、大丈夫?ミオ」



 ミオリオが小さく唸ると足に痛みが発生している事を主張する。大変だ。どうやら先程の試験のギミックから逃げ回っている最中に足を怪我したらしい。エル達も急いでミオリオの元へ駆け寄るとルゼがミオリオの足に回復魔法をかける。



「……よし、ひとまず大丈夫だ……痛みは残ってるかもしれないけどな……背負うよ」



 ルゼがそう言うと背負いの格好をしてミオリオを待ち続ける。



「ええっ!?ちょっと何やってるのよルゼ!」



 まさかルゼがそんな事をするとは思わず戸惑うミオリオ。待てども待てどもルゼはその姿勢から動く気が感じられない。だからなのか。仕方ないとでも言うかのようにミオリオが背負られにいく。すると先程までの静止がまるで嘘のようにのっそりとルゼが動き出した。



「……お前そんな事するような奴じゃないだろ」



 エルがそう話すと別にいいだろとルゼから返事が返ってくる。不思議な関係だ。そうユラが考えているとエルが息を吐いた後にお前まさかとポツリと呟く。どういう意味だろう。そうエルに対し疑問を投げかけると頭を掻きながら青春って事だろと述べる。



「青春かあ……」



 ふとユラが呟くとエルと共に2人の後ろを追いかける。私もいつか誰かとあんな関係を築けたらいいのに。そうユラが思うと心のどこかで甘く切ない感情が流れる。それはまるで酸味のあるフルーツを口にしたようなそんな感情だった。

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