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第54話 赤く色づく図書室

 風薫る週末時。ユラがシルヴィと共に図書室の本を片付けていると、ユラがとある本を見つける。



「……なにこれ?」



 見るとその本は見た事のない物で溢れかえった絵ばかりの本だった。書いてある文字も分からないそれは不思議と魅力する。



「多分それミオリオが先生から借りた本じゃないかな?」



 話を聞くとどうもミオリオが借りた本を忘れて置いていったらしい。よくある話だが少々不用心だと思っているとシルヴィがある事を言い出す。



「私これからミオに用があるから持っていくよ」



 そう言うと早速本を持ち込みその場を去るシルヴィ。そんな彼女に手を振り見送ると次に借りる本を探しに行く。


 目の前の戸棚にあるのは恋愛、ファンタジー、ミステリー等の物語の本。そこから何を読もうか。この前シルヴィから借りた本の続編もありかもしれない。などと考えているとユラはある本を見つける。



「【この時代で何が起きてるか】?」



 パラりとめくるとそれは不思議な感覚で。ユラの知らない今の時代の事が絵柄付きで淡々と書かれていた。



「……よし、ひとまずこれにしよう」



 開いていた本を閉じ、他に借りる本を数冊選ぶと隣にあったはしごに手が当たる。最初は違和感を感じなかったはしご。だが徐々に傾き始め遂にはユラを押しつぶすかのような距離まで倒れ始める。



「危ない!」



 ユラが気づいた頃にはハシゴが目の前まで迫っていた。そんな状況下、勢いよく倒れるそれに思わず目を閉じる。きっと当たったら痛いだろう。そう思いながら目を閉じたまま待つとゆっくりと自身が倒れた感覚だけ残る。おかしい。倒れたのに衝撃を感じなかった。不思議に思い目を開けて確認すると目の前にあったのは質量のあるものでなくなんとエルだった。



「……悪りぃ、大丈夫か?」



 そう話すと押し倒した状態からすぐに離れ背中を向けるエル。どうやら先程倒れたはしごから身を守ってくれたようだ。ユラがそう考えているとひとまず立ち上がりお礼を述べる。



「あ、ありがとう」


「いや、たまたま通り掛かっただけだから気にすんな」



 エルにお礼を言うと即座に倒れたはしごを整え直すユラ。そして選びあげた本達を手に持つとなんだか釈然としない気持ちでその場を離れた。



 ◆ ◇ ◇



 ユラを助けた後そのまま佇んでいると図書室の外側から騒がしい声が聞こえてくる。



「ねーユラ!この異世界本見つけてくれたのってユラだよね?」



 案の定ミオリオだ。そうミオリオが図書室を覗き込みながら話していると、ミオリオが言っているところを見計らいエルは既にユラが退席している事を話す。



「……ユラならもうとっくにいねえぞ」


「えーそうなのー?残念……」



 ミオリオがそう言うと何を思ったのか人の顔を覗き込もうとする。



「……なんか顔赤くない?」



 ミオリオが見たのは夕焼けの日差しが照ったエルの表情で。赤く染ったその顔はどこかリンカが赤く色づく前のそれのようだと内心思った。


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