第124話 思わぬ対話
色なき風が舞うこの放課後。ユラがいつものように教室を後にすると、廊下側からとある人物に呼びかけられる。
「ユラ!いるか!?」
「クロノス先生!」
先生から来るなんて珍しい。急にどうしたのだろうか。と思い悩んでいるとクロノス先生が汗をかいている事に気づくユラ。どうやら余程の事があったらしい。そう思うと気を律してクロノス先生に何用か尋ねる。
「どうかしたんですか?」
「いや、色々言わなければならない事があって……今時間はあるか?」
クロノス先生がそう話すとユラはこくりと首を縦に振る。時刻は16時30分。もう既に夕方ではあるが問題ないだろう。そう思うとユラはクロノス先生の話を聞く為に職員室の部屋へと向かう。
「職員室の部屋……そこなら空いてるから問題ないだろう」
そう話すと早々とした動きで廊下を歩くクロノス先生。先程といい余程の事情があると見た。そう思ったユラも負けじとクロノス先生の跡を追う。
「失礼します」
ユラが職員室へと入るといつもの使ってない部屋に案内される。ここに入ったのは魔道大会前ぶりだろうか。そんな事を考えているとユラは早速クロノス先生の話を聞こうとする。
「それで……なんの話でしょうか?」
「……いいか?重要な話だ……この前課外授業で魔界の長に会ったよな?」
「……はい、それが何か……?」
魔界の長。確かにこの間あったばかりだ。そうユラが思うとクロノス先生はメガネをクイッとあげ何やら考えるような仕草をする。何事だろう。ユラが1人心配そうに思うとクロノス先生がゆっくりと語り始める。
「どうもその時にユラの事を気に入ったようでな……課外授業以外の時間でもユラに会いたいらしい」
「課外授業以外の時間でですか?」
「ああ」
そう呟くとクロノス先生が神妙な顔つきでこちらを見る。何がどうしてそうなったのだろう。ユラからすれば検討もつかない言葉で。ユラを困惑させる。
「まあそういう訳だが……お前本当に何をしたんだ?滅多にない事だぞ」
「はあ……」
そう言われても。とユラが考えているとクロノス先生が大きくため息をつく。やった事といえば魔力を提供した事ぐらいだが……その程度の事だと思っているユラからすれば大した事のない事で。ユラは本気で悩んだ。
「それでいつ会いに行けばいいんでしょうか?」
「そうだな……空いてる時間帯……放課後とかになるだろうな」
放課後。確かに空いている時間ではある。ただ最近何かと忙しいユラにとっては困った出来事で。首を傾げて悩み続ける。
「そう悩むな……まあ気持ちは分かる……だがいずれにしても近いうちに行かねばならん」
「……分かりました」
忙しい日々だが何とか話をつけなければ。そう思ったユラが1人不安そうにしていると大丈夫だと話すクロノス先生。せっかく向こうが私との対話を望んでいるのだ。何とかして行かねばならない。そう思ったが何とも腑に落ちない気分になったユラだった。




