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二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~マルス適合者~【PV10000感謝】  作者: しがない草
第十一章 禁断の図書と魔道大会

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第107話 生え出す結晶の檻

 ユラ達がスタート地点に立つと辺りは山の風景。室内ではあるがそこには空間魔法で外のビジョンが描かれていた。


「さあ、いよいよ3試合目です!今回戦うのはペペ、ガジュマル、そしてユラ選手!」


 ヤスチヨがそう実況すると3人は体育館の右端で開始されるのを待つ。この試合は3人勝負。そばにいたぺぺ、ガジュマルを交互に見るとユラは1人気合いを入れる。


「毎度言っているが箒に乗ったまま先にこの旗を取って戻ってきた奴が勝利となる!準備はいいな?……よし、始め!」


 クロノス先生がそう言うと会場には大きな笛の音が響き渡る。狙うのはこの先にある旗。3人が笛の音と共に箒に跨ると一斉に旗のある方に向かって飛び出した。


「さーて今回はどの選手が旗を持ち帰るのか!見ものですね!」

「今回は風使いのガジュマルがいるからなあ……その妨害をどう受けるかで勝負が分かれそうだな!ガハハ!」


 マートル先生が言ったとおり早速ガジュマルが風の魔法を使い勢いよく飛び去っていく。その飛ぶ速さはまるでジェットコースター。周りにいるぺぺ、ユラをもろともしないスピードで飛び回るとガジュマルは一目散に旗の方へと向かっていった。


「負けてたまるか!」


 ユラより少し遅れて飛ぶぺぺがそう言うとガジュマルの前に大きな水の壁を出現させる。すると先程まで快適に空を旅立っていたガジュマルが、水の壁に見事に挟まり千鳥足になっていた。


「くそ!これじゃあ上手く飛べねえや!」


 2人が対戦しているその隙に。とユラが空を舞うとユラの方にも水の壁の妨害を受ける。


「うわあっ!」


 見事にびしょ濡れになったユラの箒は水分を含んで重たくなってしまい軽々と動く事ができない。


(このままだとどちらか2人に旗を取られる!)


 そう危機的な判断力がユラを焦らせる。1体どうすれば。そう思ったユラは顔についた水をはじく為に一度身震いをする。そして気持ちを落ち着かせると頭の中をフル回転させた。


「……そうだ!」


 思いついたのは檻の魔法。先程の昆虫採集で檻の中に入れる方法を今ここで発揮しよう。そう思ったユラは小さな檻で2人を囲うイメージを作る。


「祝福ノ樹木!《アビエス・フェルマ》」


 ユラがそう唱えると小さな檻が2人を囲うように出現する。これには驚いたのか。2人とももがくように空を舞うとゆっくりと下の方まで落ちていった。


「ユラ!ずるいぞ!!」


 そんな2人を置いて再び宙を舞うとユラはあっさりと旗の方へと向かい奪い去る。そして少々の妨害を受けつつ旗を持ったままゴールへと向かうと試合終了のお告げである笛が大きく鳴り響いた。


「試合終了!なんとユラ選手あっさりとゴールへと舞い戻って参りました!これには会場も大盛り上がりです!」


 ヤスチヨがそう言うと体育館に大きく声援が渦巻いた。これにはユラも思わずにこり。笑いながら手を振るとユラは地面の方へと舞い戻る。


「……あっさりと勝っちゃった!」

「よくやったなユラ」

「クロノス先生!」


 旗を眺めながら綺麗に着地したユラを見るや否やクロノス先生が大きく拍手で迎える。


「おめでとう」

「ありがとうございます!」

「大した怪我もないようでよかった」


 そう言ってユラを気遣うとクロノス先生は笑顔で勝利を歓迎する。その笑みにユラも思わずにっこりと微笑み安心感を抱く。


「……そういえば2人は?」

「……あの2人なら…………」

「おーい先生!」


 そういえばぺぺとガジュマルはどうしたのだろう。そうユラが思っていると遠くから何やら声が聞こえる。その声に思わず振り返るとそれはまさしくぺぺとガジュマルで。2人とも水浸しになりながらもゴール地点へと帰ってきたのが分かった。


「ユラの奴酷いんですよ!」

「……ってユラ!いるじゃないか!」


 そう言って憤る2人を眺めるとごめんねと言って宥めるユラ。先程はあっさりと勝ってしまったが……もし2人が試合中に檻をどうにかしていたら勝てなかったかもしれない。そうユラが思うと内心身震いをした。


「2人は念の為プリムラ先生に診てもらうように」

「え〜保健室に行かなくても大丈夫ですよ〜」

「そうですよ!」

「念の為だ……万が一の事があっては遅いからな」


 確かにあそこで綺麗に落下させてしまった事がある。そうユラが思うと何となく悪いような気がしてしまい2人に再度謝ろうとする。するとそれを察したのか。クロノス先生はユラに対しこう語り出す。


「まあこういう行事だからな……怪我は付き物だ……だからあまり気を背負わなくていい」

「そうですが……」

「まあ気になるのであれば2人を保健室に連れてってやるといいかもな」

「……はい!」


 クロノス先生がそう言うとユラに対しフッと笑い返す。それを聞いたユラはハッとしたのか。早速2人を庇うように保健室へと促す。


「おいおい本当に行くのかよ〜」

「大丈夫だって」

「分からないから!念の為に行くの!」


 なかなか聞き入れない2人を押しながら保健室へと向かうとユラは再びにっこりと微笑みだす。次は最終戦。これに勝てば優勝が決まる。そう1人意気込むとユラは2人を保健室に置いて再び会場へと戻っていった。

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