第106話 怪我の本質
ユラが再び体育館へと戻るとそこにはもう既に試合を終わらせたミオリオ達の姿があった。
「もう!どこ行ってたの!」
「えっ!ごめん!……もう試合終わっちゃった?」
ユラが周りの様子を伺うと先程まで試合が行われていたらしい形跡がチラホラ残っていて。そんな会場へと平然として戻るユラ。するとミオリオになぜ試合を見なかったのかと叱られる。
「もう〜!せっかく試合に勝ったのにまだ練習してたなんて〜!」
「ごめんごめん!箒に乗る練習に夢中になっちゃって!」
「ユラの試合後ちょっとで始まるんでしょ?」
「そ、そうだった!」
もうちょっとで失格になるところだったんだからねとミオリオが話すと、ユラは頭に手を乗せたまま反省の意を示す。確かに時間を見ると第1試合前からとうに過ぎていて。もう少しで試合に参加出来なくなりそうだった。
「全くユラときたら!せっかくの試合がパァーになるところでしたのよ!」
「まあこうして間に合ったのだからいいではないか!ガハハ」
ミオリオと言い合いになってると背後からヤスチヨとマートル先生の声が聞こえてくる。ヤスチヨの事だ。一緒に実況を交えて楽しみたかったに違いない。そう思ったユラがヤスチヨにも軽く謝るとヤスチヨはふんっと憤りつつも軽くユラを許した。
「……まあいいですわ!……ユラ、そろそろではなくて?」
「ああそうだ!……2人とも行ってくるね!」
「ほーい!」
ユラが2人に対し手を振ると2人もユラに小さく手を振り返す。次の試合はぺぺとガジュマルとユラの3人勝負。果たしてどうなる事やら。そう思いながら駆けるとユラは勢いよく自分の立ち位置へと向かっていった。
「……ところでミオリオ、怪我の状態は大丈夫ですの?」
「……それがさっき保健室にいるプリムラ先生に話を聞いたらどうやら次の試合に参加するのは難しいって言われて……」
「……派手な落ち方したからなあ」
そう先程までの試合。ミオリオはブライアとルゼを相手に切磋琢磨していたのだが、その試合中足に大怪我を食らってしまったのだ。幸い回復魔法を施したので問題なく動けるが……念の為安静にするようにとプリムラ先生に告げられてしまったらしい。
「ミオリオの勇姿が再び見れなくて残念ですわ……せっかく試合に勝ったというのに」
「まあこればかりは仕方ないよ……ね」
ヤスチヨがそう言うと落胆とした態度で息を吐くミオリオ。2人の間に重い空気が流れる。そんな様子を見てか。マートル先生が2人を励ますように肩に触れこう話す。
「まあ色々あったが頑張ったじゃないか!」
「……マートル先生」
「さあ次の試合を見るぞ!2人もユラの勇姿が見たいだろ?」
「……はい!」
マートル先生からの励ましの言葉を受け取ると2人は元の観客席へと戻っていく。左足に残された違和感。怪我の治療で既に痕跡はないものの、それを指でなぞるとなんだか些細な事のような気がして。ミオリオは1人頷くと真正面へと向きユラの対戦を待ち構えた。




