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二度死ぬ彼女は雑草の姿をした魔法使い~マルス適合者~【PV10000感謝】  作者: しがない草
第十一章 禁断の図書と魔道大会

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第102話 出発の秘密

 ユラ達がひとまず休憩を取るために教室へと戻ると、そこには自身のパートナーであるヤスチヨとプリムラ先生の姿があった。


「お疲れ様ですの!ユラ!」

「あ、あれ?ヤスチヨ!なんでここに?」


 いつもなら教室に来るなと追い払われてしまうヤスチヨ。だが今回はなぜかプリムラ先生と共に教室に現れていた。一体どうした事か。不思議に思ったユラがプリムラ先生の方に視線を向けるとプリムラ先生がその様子を見てにこやかに話し始める。


「今日は魔導大会でしょ?だからどうしても見たいって事で今回特別に案内しているの」

「へえ、そうだったんですか」

「まあ今日だけよ?」


 どおりでいつもよりも嬉しそうな訳だ。ユラはヤスチヨを見てそう思った。そう思いつつヤスチヨを見ると羽ばたき方がいつもよりどこか小刻みで。楽しそうにしているのが分かる。


「ユラ達が競走している間、体育館で実況をしておりましたのよ」

「へえそうなの!」

「ヤスチヨちゃんのおかげで皆楽しそうにしてたわよ〜」


 ヤスチヨの実況という言葉に関心を持つとプリムラ先生がうふふと楽しそうに笑う。その様子からしてさぞかし賑やかな時間だったに違いない。そう思ったユラは自身も参加したかったと少々項垂れる。


「まあまあ、3項目目はその体育館でやる予定だから一緒に実況できるかもよ?」

「ああ、そういえばそうだった!」


 そう言いながら容器に入った水を飲むとユラはある疑問を抱く。


「そういえば今日って先生の他にも誰かいるんでしょうか?」

「ええ、いるけどそれがどうしたの?」

「いえ、ここの教室に来る前見知らぬ人影が見えたもので」

「ああ〜きっと保護者の方ね」

「保護者ですか」

「そう!」


 そう言うとユラに分かるよう簡潔に説明していくプリムラ先生。この魔導大会では保護者の方が参観しに来るとの事。ただし我が子が魔法使いだと知らされている方限定でという条件付きだが。


「つまりこの魔導大会に親御さんが来てるって事よ」

「ミオリオ!」

「まああたしのところは秘密にしてるから来てないけどね」


 ふと3人で話していると隣で突っ立っていたミオリオが乱入してくる。そして水の入った容器をごくごくと飲み干すとミオリオはユラにも理解できるように丁寧に話し始めた。


「親御さんが来てるところといえばブライア率いる三馬鹿トリオとシルビィーんとこかなー?ルゼのところはよく分からないけど……」

「へえそうなんだ!」


 そう説明するとまたもや水をごくりと飲んで話し始めるミオリオ。三馬鹿トリオという単語が出てやや向こうにいたブライア達の周りが騒がしくなったような気がするが……ユラは気にする事なく説明を聞き進める。


「まあ家柄の事もあるし生徒が魔法使いである事を知ってて来ないところはいないかな?」

「家柄?」

「そうそう、シルビィーのところは代々魔法使いの家だし、ブライア達はいいとこの坊ちゃんだからあれだし……」

「坊ちゃん!?」


 ミオリオから出た坊ちゃんという言葉。これにはユラも思わず身体がピクリと動く。驚いた。まさかいいところの子供だと思ってもみなかったのだから。


「お前そんな事も知らなかったのかよ!」

「いいじゃない!あんた達は黙ってて!」


 ブライアの取り巻きであるぺぺとガジュマルがやんややんやと申し出ると、ミオリオはうるさいとばかりに言葉を放つ。数ヶ月もいてやっと知った情報に一度は目を輝かせるユラだったが、気にする事なく隣にいたエルに話しかける。


「……そういえばエルのところも親御さん来てたりするの?」

「ユ、ユラその話は……」


 どうしたのだろう。急に辺りが静まり返る。話してはいけない話題だったのだろうか。そう察したユラはやっぱりなんでもないと言い、手でその場の空気をかき消すように動かす。


「……いや、いい」

「……エル」

「……俺には両親がいないが父親みたいなのが今見に来てる」

「父親みたいな存在?」

「ああ……育ての親っていうか……クロノス先生だ」

「え?ええええええ!?クロノス先生が!?」

「……うるさいぞ!お前ら」

「ク、クロノス先生!!」


 エルから出た育ての親という言葉に思わず目を見開くユラ。その声に驚いたのか。クロノス先生が教室に入りユラに注意する。


「あの、クロノス先生!」

「あん?」

「クロノス先生ってエルの育て親なんですか?」

「ああ、そうだが……言ってなかったのか?」


 その衝撃に任せ思わずクロノス先生に質問すると鋭い目つきでそう答える。するとやはり驚きの答えで。ユラはまたもや心が跳ねる。


「……そういえば言ってなかったな」

「まあ言いづらいしね〜」


 エルがそう言うと続いてミオリオ達も困った顔で話し出す。まあ確かに話しづらい事だったなとユラが1人反省すると、クロノス先生がそろそろ時間だと生徒を呼び始めた。


「ほら、次の種目が待っている!……行くぞ!」

「「「はい!」」」


 そう告げると生徒達はクロノス先生を追いかけるように一斉に動き出す。そういえばトリスティスさん達今頃何してるだろう。と保護者であるトリスティス達に思いを寄せると、どこか切ない気持ちにさせられるユラ。いつかは魔法使いだと打ち解ける日が来るだろうか。そう思いながら走るとなんだかやるせない気持ちになって。皆より少々出遅れてしまった。

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