表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/82

第76話 ボーイ・ミーツ・ガール

 仄暗い路地だった。天気のせいもある。時間帯のせいもある。——いや、実際それらが要因でしかないのだが、そんなのは後付けだとばかりに事実として薄暗く、その現実だけが無遠慮に空間を塗り潰している。


 この道も行き止まり。隣接するマンションに何かしら用のある人にしか使われず、現時点での人通りはない。なかったのだが——


「————————」


 絶句。一人の少女が現れ、そして絶句した。この場におよそ似つかわしくない、可憐な風貌の少女だった。

 彼女が見たのは、探していた人物の後ろ姿と、路上に横たわっている誰か——


 ドクン、と少女の心臓が脈打った。

 手からはするりと傘が落ちる。


「————皇くん!!」


 少女の呼ぶ声に。

 少しの間を置いて、ゆっくりと少年は振り返った。


    ◇


 ああ、来てしまったか。

 巴の声で名を呼ばれ、皇が最初に思ったのはそれだった。

(先輩、よくここまで——)

 大好きな少女の姿が麻酔のように作用して、一瞬、ほんの一瞬だけ決意が揺らぐ。それでも冷静でいられたのは、最悪の事態として想定していたから。

(——いや、違う。本当に最悪なのは白尾を殺せないことだ)

 だから、まだ大丈夫。皇は気を取り直して巴を追い払いにかかる。

「先輩、5秒だけあっち行ってて。それか30分」

「けっこう差が……じゃない! 皇くん、何やってるの……!?」

「それ聞いたらあっち行ってくれます?」

「答え次第だよ!」

 まずいな、と皇は思う。巴に殺しの現場を見られたくなかったが、あまり時間を使うと他にも人が来かねない。

(——それなら。自分の身体で白尾の首元を隠しながらやれば——

 先輩からは死角になる。血は見えちゃうかもしれないけど……)

 腹は決まった。皇は手早くカバンからサバイバルナイフを取り出すと、急所となる白尾の頚動脈を確認し——

 悪を粛清する凶器の柄を、握り締めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ