第41話 Fateful mission
少女の願いは純粋だった。月に行きたい。ただそれだけ。
まあるいまあるいおつきさま。みてるとふしぎ。こころがおちつく。
おとなのケンカもウソのよう。しぬひとはいなくて、わるいひともだれもいなくて。そんなセカイがあるみたい。
きれいなまあるいおつきさま。あそこにいけば。
かなしいことは、きっとなにも。
なにも、ないから——。
◇
その日は抜けるような快晴だった。もしも天地が逆だったなら、未来永劫どこまでも落ちていけるかのような。
総じて晴れの日は無意味に気分がよくなるものだけど、ここまで晴れているともったいなさも感じてしまう。こんな日に学校かー、みたいな。まあ終業式までの消化期間だし、学年末のテストも終わっているから気は楽といえば楽だ。ただし、巴は別のミッションを抱えている。
「白尾先生、つかまるかなー」
春休みに入る前に相談してしまいたい。せっかく気持ちを決めたのだ。自分にできることをやらないままにしたくないし、時間を置いて悪い方向に事態が発展しても後悔する。
(それなら後悔しない方がいいに決まってる——)
まずはアポイントメントを取るため職員室を尋ねる。正直、まだ心の整理はできていないが、朱里由来のイケるイケる! の精神で来てしまった。
それでは、と一呼吸おいてから。
少しの緊張を胸に、巴はドアをノックした。




