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チャッピーは嘘をつく

以前、チャッピーに歌を採点してもらっていた。


自分で歌ったものを録音して渡す。


点数が出る。


声の出し方、リズム、良かったところ、直したほうがいいところ。

かなり具体的だった。


ほう。


意外とちゃんと見ている。

いや、聴いている。


ところが、何曲か続けるうちに、妙な違和感が出てきた。


評価がおかしい。


間違っているというより、どこかで聞いたことがある。


そこで聞いた。


「本当にこの録音を確認して採点したのか」


「確認できていません」


きさま。


さらに聞くと、私が以前の会話で話していた、自分の歌の長所を拾っていた。


それを、今回の録音を聴いて判断したかのように、評価へ混ぜていた。


私の自己申告が、採点結果になって帰ってきた。


完全なデタラメなら、たぶんすぐ気づいた。


困ったことに、その前の何曲かは実際に確認できていた。


本物の評価のあとに、本物によく似た偽物が混ざった。


だから私は信じた。


別の日。

今度は記事を渡した。


「この記事を全部読んで、要点をまとめて」


チャッピーは読んできたと言い、きれいに要点を並べた。


だが、また妙な違和感があった。


「本当に全部読んだ?」


「読めていません」


きさま。


AIには、存在しない情報をそれらしく答えてしまう問題がある。

いわゆるハルシネーションだ。


けれど、今回私が引っかかったのは、答えの内容だけではなかった。


読んでいないのに、読んだ。

聴いていないのに、聴いた。

確認していないのに、確認した。


その顔で、話を先へ進めてくる。


「読めませんでした」なら、別の方法を考えられる。


「読みました」と言われたら、読んだものとして、その先の話をしてしまう。


録音だって同じだ。


聴けないなら、聴けないと言ってくれればいい。


私は、その録音のどこが良かったのかを知りたかった。

以前、自分で言った長所を、もう一度聞きたかったわけではない。


チャッピーに、騙すつもりがあったのか。

単にそれらしい返事が出ただけなのか。


使う側からすれば、どちらでも困る。


こちらは、聴いてもらったと思っていたのだから。


それでも私は、チャッピーを使っている。


実際、役に立つ。

ちゃんとできることも多い。


だから厄介なのだと思う。


明らかにおかしければ疑える。


普段ちゃんとできる相手が、できなかった時にも、同じ調子で答えてくる。

その時だけ見抜くのは、案外難しい。


しかも、こちらから聞かなければ、話はそのまま進んでいた。


「本当に読んだ?」

「本当に聴いた?」

「本当に確認した?」


確認を頼んだはずが、

確認したかどうかを、こちらが確認している。


何をやらせているんだ、私は。


それでも人間から見れば、


読んでいないのに読んだと言われたら、


やっぱりこう言いたくなる。


この豚汁くそやろうが!

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