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白銀の足跡 ~少女の旅路~ 愛おしい冒険者生活  作者: 火年
第一章 リヴェルからエルフの街へ
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閑話5【青い灯視点】「夜の森なら俺負ける」――先輩C級冒険者たち、エリナの暗殺適性を見抜く (?)

オルミアへ到着し、護衛依頼を終えたその日の夜。

青い灯の四人は、冒険者ギルドから少し離れた食堂にいた。


五日間の護衛も無事に終わった。

依頼主も荷物も無事。

大きな怪我もない。

成功と言っていい仕事だった。


「とりあえず、お疲れ」

ルークが杯を持ち上げる。

「お疲れ」

セフィも合わせた。


ミレナは料理を口へ運びながら軽く杯を上げる。

ガレスも一度だけ頷いた。


「問題なく終わってよかったな」

「途中でコボルト出たけどな」

「問題なくこなせただろ」

ガレスが言う。


依頼主も荷物も守った。

追う必要のない敵を追わず、予定通りオルミアへ着いた。


ルークが肉を切りながら言った。

「しかし、あの三人なかなかの実力だったな」

「白銀の足跡?」

セフィが聞く。

「ああ」

ミレナも頷いた。

「新人にしては動いてた」


ガレスも同意した。

「男二人はバランスがいいな」

「シアル君?」

「あいつは盾と剣をちゃんと使いこなしてる」

最初に飛び出してきたコボルトの攻撃を、冷静に盾で止めて、剣を返す。

派手ではない。

だが前衛としては、それが強い。


「確か、十五だったよね?」

セフィが言う。

「十五」

「その若さで結構やるよね」


「テイルもな」

ルークが続ける。

「あいつ、軽いんだよな」

「性格?」

「確かに軽いね」

ミレナがすぐに言った。

ルークが笑う。

「そっちじゃなくて身のこなし」

五匹目のコボルトが飛び出した時。

テイルは迷わず前へ出た。

かといって、無理に仕留めようとはしなかった。

攻撃をかわし。

浅くても一撃を入れ。

そのまま相手を止める。


「剣もなかなかだった」

ガレスが言う。

「二人とも経験が増えればかなり安定するだろうな」

「落ち着いてたしね」


「でも」

セフィが少し笑った。

「エリナちゃんよね」

三人の視線がセフィへ向く。

ミレナが頷いた。

「どっちとくっつくんだろうね?」

「そうじゃなくて」

笑いながらセフィは答えた。

「冗談」


ルークはすぐに分かった。

「森の奥のやつの話だろ」

ガレスは杯を置いた。

「あれは俺も何かいるのは分かってた」

「私も」

ミレナが言う。

「でも、はっきりとは場所は分かっていなかった」


暗い森。

焚き火から離れれば、木々の奥はほとんど見えない。

音もあった。

気配もあった。

何かいる。

そこまでは分かる。

だが。


「一発で当てたんだよな」

ルークが言った。

「出た瞬間だった。相当見えてたのかもな」

ガレスは答える。


木の陰から少しだけ姿を出したコボルト。

エリナは迷わず矢を放った。

そして翌朝。

そのコボルトは倒れていた。


「距離も結構あった」

ミレナが言う。

「射程も思ったより長いかもしれないね」

セフィが料理を食べながら言った。

ルークが少し考える。

「夜の森で一対一なら、俺まず勝てないかも」

「ずいぶん弱気だな」

ガレスが言う。

「いや、見つけられれば勝てるかもしれないぞ?」

ルークはそう言ってから続けた。

「でも向こうが先に見つけたら、剣抜く前に撃たれるだろ」

「ああ」

「暗い中でどこにいるか分からない弓使いって嫌だぞ」

ミレナが頷く。

「夜ならかなり厄介」


「昼は?」

セフィが聞いた。

ガレスは少し考える。

「昼なら見つけやすくはなる」

ミレナは首を横へ振った。

「はっきりとは言えないが、昼でも先に見つけるのは難しいかもしれない」

「なんでそう思うの?」

「森の知識もありそう」


「それって、キノコ料理がおいしかったから?」

セフィは笑いながら聞いた。

「根拠はそれだけだけど、そんな気がする」


「じゃあどうする?」

ルークが笑いながら聞く。

セフィが答えた。

「重装備していけばいいんじゃない?」

「森に?」

「鎧着て」

「逃げられるだろ」

ガレスが言う。


「矢は防げるから倒されないけど、追いつけないから倒せないな」

「じゃあ大人数」

ミレナが言った。

「囲む」


ガレスも少し考える。

「重装備の人数を揃えて包囲して、逃げ道を潰すのが一番かもな」


そこまで話したところで。

セフィが何気なく言った。

「暗殺にも向いてそうだよね」

一瞬。

三人が止まった。

「……暗殺?」

ルークが聞く。

「だって」

セフィは普通に続ける。

「シアル君とテイル君が周りを引きつけて、その間に遠くからエリナちゃんが要人を狙うとか」

「ああ」

ルークが妙に納得した。

「できそう」

「できるな」

ガレスまで頷く。


さらにセフィは続ける。

「野営しているところを音もなく近づいて射貫く」

「……」


ミレナも少し考えてから言った。

「あとは性格の適正次第」

「それは大事だな」

ルークが笑った。


「エリナちゃんが聞いたら『私には無理です』って言いそう」

「言いそうだな」

「シアルは『なるほど、できるかもしれない』とか言ってそう」

「テイルは?」

少し間があった。

ルークが言う。

「報酬聞きそう」

三人が笑った。


「想像が膨らみすぎたね」

「そこまですごいか分からないしな」

ルークが答える。


その頃。

自分が知らないところで暗殺者としての適性まで検討されているとは知らず。


エリナは銀の枝亭で、明日どこへ観光に行くかを考えていた。



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