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白銀の足跡 ~少女の旅路~ 愛おしい冒険者生活  作者: 火年
第一章 リヴェルからエルフの街へ
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第16話 正式パーティー結成!

「……私?」

エリナは思わず聞き返した。

シアルとテイルは、じっとこちらを見ている。

けれどエリナは、すぐには答えられなかった。


そもそも。

自分がこの先どうするかなんて、ほとんど考えていなかった。


冒険者になれた。

初めて依頼を受けた。


三人で森へ行って、野宿をして、ゴブリンとも戦った。

そんな毎日が楽しくて、それだけで浮かれていた。


村を出る前は、もっといろいろな場所へ行ってみたいと思っていたはずなのに。

気づけば、リヴェルでの暮らしがすっかり当たり前になっていた。


「……私も、一緒に行っていいの?」

エリナが聞く。

テイルが真面目な顔で答える。

「来てくれたら助かるかな」


シアルが続ける。

「一緒に行くのもそうだけど、正式にパーティーを組まないか?」

「正式に?」

エリナは首を傾げる。


「今と何が違うの?」

「やっぱり知らないか」

テイルが笑う。

「知らないんだからしょうがないでしょ」

少し前まで冒険者ランクすら知らなかったのだ。


「正式に組むと、パーティー用の金をまとめて持てる」

シアルが説明する。

「パーティー用?」

「全員で使う道具とか、野営道具とか、食費とか。そういうのを個人の財布とは別に買えるようにするんだよ」

テイルが言った。


「毎回誰が払うとか決めなくて済むしな」

「それは便利そう」

エリナは素直に頷いた。


三人で行動するようになってから、食材や細かな道具代を二人から集めることが何度もあった。


「それと、ギルドにもパーティーとして登録できる」

「パーティー登録なんてあるんだ」

「あるよ」

「また知らなかった……」


テイルが少し笑う。

「『ゴブリン狩り』だってパーティー名だぞ」

「え、あれパーティー名なの?」

「そう」


エリナは少し考えた。

「……分かりやすい名前」

「普通はそういうの、二つ名なんだけど、あれは正式名称なんだよ」

「わかりやすいようにしてるらしいぜ」

「なんかありそうだね」

「どうなんだろ?」


「それと、パーティーとして有名になると、国やギルドから直接依頼が来ることがある」

「へえ、そうなんだ」

「個人にも来るらしいけど、人数や連携を考えると、頼む側はパーティーの方が便利なんだろうな」

「なるほど」

エリナは知らないことがまだまだあるなと思った。


しばらくして。

エリナはふと思った。

「でも、なんで今正式なパーティーに誘ったの?」

シアルが肉を一切れ食べてから答える。

「一人でもやっていけそうだから」

「え?」


意味が分からず、エリナは瞬きをする。


「逆じゃない?」

「逆じゃない」

シアルはいつもの調子で続ける。


「一人じゃ無理そうなら、たぶん聞かずに連れていってた」

「え!?」


今度は少し大きな声が出た。

テイルが笑う。

「何その反応」

「それってどういうこと?」


シアルは続ける。

「最初、エリナが冒険者だって聞いたとき」


シアルがテイルを見る。

「こいつ、多分一人じゃ危ないと思ったから誘ったんだろ」


テイルは少しだけ目を逸らした。

シアルはその様子を見て言う。


「そうなんだろ」

「まあ……そういうのもあったかもしれないな」

テイルが認める。


エリナは二人を見る。

「え、そうだったの?」

「だって最初に会ったとき、食堂で働いてただろ」

「働いてたけど」


「冒険者登録したのに、依頼も受けずに食堂で働いてる十五歳がいたら、ちょっと気になるだろ」

「それで誘ったの?」

「まあな」


エリナはしばらく何も言えなかった。

あのとき。

自分はただ、同じくらいの年の冒険者だから誘ってもらえたと思っていた。


三人でやった方が楽しそうだから。

そんな軽い理由だと思っていた。

もちろん、それもあったのかもしれない。


けれど。


一人では危なそうだから。

放っておけなかったから。

そんな理由もあったらしい。


「でも今は違う」

シアルが言った。


エリナが顔を上げる。

「森のことも分かる。弓も使える。料理もできる」

テイルが横から付け足す。

「金の管理もうるさいし」

「それ、褒めてるの?」

「うっとおしいけど、いると助かる」


シアルは少しだけ笑った。

「だから聞いてる」

「一緒に来るかどうかは、エリナが決めればいい」

一緒に来なくても、一人でやっていける。

そう思われている。


今度はお情けではなく、仲間として。

一緒に来ないかと聞いてくれている。

テイルが肉を食べながら言った。


「で、どうする?」

エリナはほとんど考えなかった。

「一緒に行きたい」


自分でも驚くくらい、すぐに言葉が出た。

リヴェルを離れることは想像していなかった。


リヴェルの街にはまだ知らないことも、行っていない場所もたくさんある。


でも。


また三人で、新しい街へ行ける。

それが素直に嬉しかった。


そしてもう一つ。


最初は心配だから誘われた自分が。

今はちゃんと役に立つ仲間として、一緒に来てほしいと思ってもらえている。


そのことが。

エリナには、思っていた以上に嬉しかった。


第一章は毎日19時に更新します!

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