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白銀の足跡 ~少女の旅路~ 愛おしい冒険者生活  作者: 火年
第一章 リヴェルからエルフの街へ
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第13話 ゴブリン討伐作戦!(前編)

ギルドへ戻ったエリナたちは、依頼の報告を済ませていた。


採ってきたマツノキノコを渡し、報酬を受け取る。

「これで終わりっと」


エリナが受け取った硬貨をしまおうとしたところで、リオネが思い出したように声を上げた。


「あ、そういえば」

「なに?」

「預かってた石なんだけど」

その一言で、エリナは手を止めた。


「ちょうどさっきそれについて話してたところ」

リオネは受付の奥へ行くと、小さな布に包まれたものを持って戻ってきた。


布を開く。

あの白い石だった。

表面に不思議な模様が刻まれた、淡く光る石。


「珍しいものなのは確かみたい」

リオネが言った。

「ただ、詳しいことまでは分からなかったって」

「分からなかったんだ……」

少し残念な気がした。


「魔力は感じるみたい。でも呪いとか、持ってるだけで危険になるようなものではないみたいよ」

エリナは石を受け取った。


「呪いではないと思ってた」

「これで呪いのアイテムだったらフェンリルって嫌な奴だよな」


「うん。殺すなら殺せるのに呪うってことだもんね」

「とりあえず持っとけ。……ちなみに、ギルドならいくらで買い取る?」

リオネが金額を見せる。


金額を見たテイルが、少しだけ目を見開いた。

「売るって選択肢もあるな」


エリナがすぐに言った。

「だめ、貰い物だし困るまでは売らない」

「そうだな。売らない方がいいだろう」

とシアルも同意した。

「俺だって本気で売るって言ってないからな」


「そういえば」

エリナは石をしまいながら言った。

「今日、またあの子に会ったよ」

「あの子?」

「子フェンリル」

リオネの手が止まった。


「……また?」

「うん。元気だった」

「またスープ食わせてた」

テイルが横から付け足す。


「あの毛、すごく柔らかかったですよ!」

「もしかして触ったの?」

リオネは少し呆れた顔をしたあと、小さく笑った。

「あなたたち、本当に不思議なことするわね」

それから、何か思い出したように続ける。


「そうだ。言い忘れてたけど、あのあと森を調べに行った冒険者が、白い毛を持ち帰ってきたの」

「毛?」

「ええ。調べてもらったら、フェンリルの毛で間違いないって」

エリナはシアルを見る。

シアルも少し目を細めた。


「じゃあ、本当にフェンリルだったんだな」

「迫力すごかったからな」

テイルが笑う。

あれだけ大きくて、あれだけ怖かった。


それでも、どこか心の隅では、本当に伝説の魔物だったのか疑問に思っていたのかもしれない。


エリナは懐にしまった白い石を少しだけ意識した。

「それでね」

リオネの声が少し真面目になる。

「今日は、三人にお願いがあるの」

「お願い?」

三人が揃ってリオネを見る。


「ゴブリンの巣の討伐。覚えてるでしょ?」

もちろん覚えている。

「巣の中に行けってこと?」

エリナが聞くと、リオネはすぐに首を振った。

「違う違う。あなたたちは中には入らない」

少し安心する。


「お願いしたいのは、巣討伐の外周支援」

「外周支援?」

テイルが聞き返した。


「巣の入口の周りに冒険者を配置するの。中から逃げてきたゴブリンを倒したり、外に出ていたゴブリンが戻ってきたとき、中へ入れないようにする役目」


「なるほど」

シアルが頷いた。

「中を潰してる間、出入りを止めるのか」

「そういうことね」


そのとき。

少し離れたところから声が飛んできた。

「お前らも来い」

三人が振り返る。


年季の入った装備を身につけた男が立っていた。

四十歳くらいだろうか。

大柄というほどではないが、立っているだけで妙に落ち着いて見える。


「ガルド」

リオネが名前を呼んだ。

「この人が、外にいる冒険者たちをまとめてくれるの」


ガルドは三人をざっと見た。

「お前ら、最近よく色々見つけてくる新人だろ」

三人は顔を見合わせた。


「とにかく来い。こういうのは経験になる」

テイルが少し笑う。

「結構危なそうだけど」

「危なくないとは言わん」

ガルドは即答した。


「だから中には入れない。持ち場を守って、出てきたやつだけ相手にしろ。それができるなら十分だ」

シアルが頷いた。

「それなら」

エリナも少し考える。


怖くないわけではない。

周りには経験のある冒険者たちもいる。


「やってみたい」

「俺も」

「俺も賛成」

三人の返事を聞いて、ガルドは短く頷いた。


「決まりだな」

エリナが気になって聞く。

「じゃあ、巣の中には誰が行くんですか?」

ガルドがギルドの奥へ目を向けた。


「あいつらだ」

そこには四人の冒険者がいた。


見慣れない装備。

体格も雰囲気も、それぞれ違う。

種族も色々いるみたいだ。

なのに、四人で並んでいると妙にまとまって見えた。


「強そう……」

エリナが小さく呟く。

「あれが『ゴブリン狩り』」


リオネが言った。

「ゴブリンの討伐を専門にしてる人たちよ」

テイルが四人を眺める。


「なんか、普通の冒険者と違うな」

「ゴブリンに特化してるんだろうな」

シアルも目を向けたまま言った。


リオネが少し困ったように息をつく。

「本当は討伐は明日の予定だったの」

「だった?」

「『ゴブリン狩り』が、今日やるって言い出したのよ」

「今日?」

エリナが聞き返す。


「だから今、急いで参加できる冒険者を集めてるところ」

テイルが笑った。

「ずいぶん急だな」

「こっちもそう思ってるわよ」

リオネはため息をついた。



結局、三人はそのまま依頼を受けることになった。


必要な準備だけを済ませ、他の冒険者たちと一緒に森へ向かう。


「『ゴブリン狩り』かあ」

歩きながらテイルが言った。


「名前だけ聞くと、もっとゴブリンっぽい格好してるかと思った」

「どんな格好よ」

「こんぼうとか布の服とか」

「そんなわけないじゃない」

エリナが呆れる。


シアルは少し前を歩きながら言った。

「なんか、雰囲気あったな」

「やっぱり感じる?」

「装備が普通とは違うし、なんか感じた」

「種族も色々だったね」


そんなことを話していたら森の中にある洞窟が見えてきた。

入口の前には、すでに何人かの冒険者が集まっている。


『ゴブリン狩りの四人』が、ガルドと何かを話している。

声までは聞こえない。


しばらくして。

四人は一斉に洞窟の方を向いた。


そのまま迷う様子もなく、暗い洞窟の中に入っていった。

エリナは無意識に、背中の弓へ手を伸ばした。


いよいよ。

ゴブリンの巣の討伐が始まる。

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