受け取って?
……やっと、この日が来た。えるにオレの愛を送れる日。
あぁ……バレンタイン、最高だった。毎日バレンタインとえるの誕生日でいい。えるがしてくれたこと全部が、オレを幸せで満たして溺れさせてくれた。来年もその先もずっと最高のバレンタインを過ごせたらいい。そして、ホワイトデーも─────。
オレの愛でえるをいっぱいにできるその日、会ってすぐにバレンタインのお返しとしてプレゼントを渡した。
「……これプレゼント。バレンタインのお返し」
「…わっ!ふふっ、今日ホワイトデーだもんね。ありがとう!…わぁ…かわいいマカロン…!もしかして、さとみくんの手作り?」
そう聞かれて頷くと嬉しそうにえるが笑ってくれた。
「わぁ…!とってもうれしい!ありがとう!…ふふ、なんだか食べるのがもったいないかも…」
お菓子作りは結構大変だったけど、えるにあげるものと考えたら最高のマカロンにしたくて何度も作り直した。……よかった、喜んでくれて。
「あーん、していい?」
「……!ま、待って…その前に、こっちの箱も開けていい?」
恥ずかしさを誤魔化すためかえるがもう一つの箱をとった。オレの返事を待っているえるに見つめられてつい触れたくなる。……ダメだ。今はえるにプレゼントつけてほしいし。…あーんも後でにしよう。
気持ちを抑えて頷いた。
「わ、これ…ブレスレット?かわいい…!」
「似合うと思って」
「ありがとう…!さとみくん!……つけてみてもいい?」
「…オレがやる」
ブレスレットを取ってえるの手首にそっとつけた。オレのだって印を増やすみたいに。そして、えるの手を握り指を絡める。つけたばかりのブレスレットがオレの手首に当たる度に、冷たいはずのものからえるを感じられた。今日のえるはあのネックレスもつけてくれている。
このまま全部………。
「ありがとう、さとみくん」
この後のデートを忘れそうになっていたオレをえるの笑顔が戻してくれる。
「……うん。える、大好き」
照れながら笑うえるは何度見てもかわいくて、この後に渡すプレゼントを早くあげたくなった。
昼ごはんをえると食べたあと
「える、今日はオレの部屋来て」
「さとみくんの部屋、行ってもいいの?」
「ん、今日は特別だから」
「ふふっ、楽しみにしてるね」
そんな会話を交わし、一緒に家への道を歩く。
前に来た時は看病だったから、こうしてちゃんと家に招くのは初めてだ。……前までは、家って認識あんまりしてなかったけど、えるのおかげで家族だって少し思えたから。えるを、オレの部屋に呼べる。……早くあげたい。オレが一番あげたいものはずっと前から決まっていた。オレがえるにあげたいもの……そんなの一つしかない。
「える、ちょっと目つむってて」
「うん」
用意していたリボンを巻き付けて準備は完了する。
「目、開けて。……バレンタインのお返し」
「え?…お返しなら、もう貰ったよ?」
えるに近づいて、頬を両手で包んだ。リボンをつけているからか、少しだけえるに触れずらかったけど、そんなのはどうでもいい。
「オレが一番あげたいのはお菓子じゃないから。……える、オレのそばにいてくれてありがとう。毎日幸せだよ」
「私も……幸せだよ」
眩しくて愛おしい笑顔がこんなにも近くに。……早く、渡そう。えるに一番あげたいものを。
「─────オレのこと受け取ってくれる?」
「え……?」
「オレがえるにあげたいもの、いっぱい考えた。バレンタインにチョコくれたからオレもお菓子あげたくて、自分で作った。でも……一番あげたいのじゃない。受け取って?オレのこと」
「……!!」
「オレの全部をえるにあげる。……受け取ってくれるよね?」
「さとみくん……ありがとう」
そう言ってえるが頭を撫でてくれた。……落ち着く。
「とっても素敵なプレゼント貰っちゃった。でも、さとみくんは物じゃないよ」
「……?…………うん」
それっていらないってこと───────?
「あのねさとみくん。私のこと大好きなのは嬉しいけど、さとみくんはさとみくんで人生があって。その全部を私のために捧げなくてもいいんだよ?もっと自分を大事にして───────」
「やだ」
そんなこと言わないで……える…………。
「えるより大事なものなんてどこにもない。オレにとっての一番はえるだから」
「さとみくん……」
「オレがあげたいからあげてる。捧げたいから捧げてる。オレの人生も命も魂も全部。オレはね、える。死んでも一緒にいたい。えるは…嫌?ずっとオレといるの。オレが望んでても?」
「─────!」
えるの瞳が揺れる。オレはただ、えるの言葉を待ち続けた。えるならきっと、分かってくれるはずだから。
「さとみくん……。前にも話したよね。私はさとみくんとずっと一緒でいいのかなって不安になるって」
「うん……。まだ不安?」
オレの愛が足りてないのかな。だったらもっと、余計なことを考えなくなるくらい…もっと、えるを……。
「ううん。私が考えすぎてただけみたい。さとみくんがしたいことなら私は全部受け止める」
そうして、えるがオレの手をぎゅっと握ってくれた。「だって、私もさとみくんのこと大好きだから…!」
満面の、幸せでいっぱいのオレだけが見れる特別な笑顔。永遠に見ていたいその笑顔に全てを掴まれた。
「……オレのこと受け取ってくれるの?」
「うん!」
また一つ、そして一つと大好きが増えていく。えるの全てで包まれる。こんな幸福は他にない。
あぁ……ずっとドキドキしてる。この心臓も、全部……えるのだよ。
「───────これからも、ずっと一緒だよ。オレはえるのだから、なんでも言って。なんでもするから。──────愛してるよ、える」
赤いリボンをえるの手首と小指に巻きつけて、オレのと結ぶ。
「オレを離さないで」
オレも離れないから───────。




