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モンスターは綴れない  作者: ぺんなす


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教えてくれた気持ち

いつものように待ち合わせをして

「さとみくん。おはよう」

「…おはよう」

おはようって挨拶をしていつもの道を歩き出す。だけど今日は

「……える」

「ん?」

「今日もかわいい」

「え……?」

「手繋ご」

「…う、うん……」

いつもと違う空気が私たちを包んだ。

どうしよう…私すごくどきどきしてる…。さとみくんに聞こえてないよね…?うぅ…顔も熱いし、落ち着かない……。

「える…具合悪い……?」

「え、ううん。そんなことないよ!大丈夫」

ただ…ただ少し、どきどきしてる…だけ。


「はぁ……」

「えるにしてはめずらしいじゃーん。そんなため息」

「そうかな…?」

「んー…綴未となんかあった?」

見透かされたように言われた言葉に少しだけ戸惑ってしまった。

「え、えっと……なにかあったわけじゃなくて、その…今日のさとみくんいつもと少し違くて…」

「そう?いつもと変わらなかった気がするけど。さっきだってギリギリまでえるのそばにいたし」

さとみくんは休み時間になるといつも私のクラスにやってくる。私の次の授業が移動教室の時はギリギリまで一緒にいて……それは、今日も変わらなかった。だけど、やっぱりいつもと違う。少しだけ距離が近くて、朝だって……かわいいなんて………。思い出すだけでどきどきしてしまう。おかしいのはきっと…私のほう。どきどきしてそわそわして全然落ち着かなくて…気づいたらさとみくんのことばっかり考えてる。それなのに…そばにいると、目を合わせられない。上手く顔が見れない。…本当にどうしちゃったんだろう、私……。


「……る────える……える?」

「…え?」

ぼーっとしていた感覚から戻ってくるとさとみくんの顔が目の前にあった。私を心配するように見つめて。

「具合悪い?今日ずっと、ぼーっとしてる」

「…ううん。大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

「……そっか。………これ、あげる。あーん」

「えっ…!……えっと、あーん…」

「おいしい?」

「うん…!とってもおいしいよ。…ふふ、ありがとう。さとみくん…!」

「…うん」

さとみくんを心配させちゃった。…今はこのお昼の時間を楽しもう。さとみくんと一緒にいるのにぼーっとしてるなんて…そっちの方がモヤモヤするし。

気持ちを切り替えてさとみくんとのお昼の時間を過ごし、ご飯を食べ終わり一息ついていると

「える。…ありがとう」

さとみくんに突然お礼を言われてしまった。

心当たりがなくて返事に戸惑っていたけれど

「……昨日、二人と話した。えるが大丈夫って言ってくれたから」

そう言いながら優しく微笑んでいるさとみくんを見てほっとした。

「…! よかった…。でも、私は何もしてないよ。頑張ったのはさとみくんだよ」

「……えるのおかげで頑張れた。だから、ありがとう。える」

「…ふふ。どういたしまして」

あぁ…なんてあたたかい時間なんだろう。この穏やかな時間がずっと続きますように。そう願いながら時は過ぎていき気づけば放課後。さとみくんと一緒に帰る時間になっていた。いつものように並んで歩く。だけど、一つだけいつもと違くて、昨日と同じように手を繋いで歩いてる。……また、どきどきしてきちゃった。うぅ…お昼の時は気持ちを切り替えられたのに、また……心臓がうるさくなっちゃった。さとみくんには聞こえていませんように。そんなお願いを朝と同じように密かにしていると

「える」

いつになく真剣な声で名前を呼ばれた。顔を上げるとさとみくんがまっすぐ私を見つめていて

「…どうしたら、オレを好きになる?」

「え──?」

「どうやったらえるに好かれるのかわかんなくて…えるに言われたとおり他の人に相談して、色々考えて…素直に思ったことを言おうと思って。えるがオレを知りたいって言ってたから、オレもえるを知りたい。だから教えて。えるはどうしたらオレを好きになってくれる?ずっとそばにいたら好きになる?」

「…! えっ…と……」

「オレは、えるが大好き。どんなえるも大好き。困ってるえるもかわいくて大好き。笑顔が一番だけど」

「!! さとみ、くん…その、あんまり好きって言われると…困る……」

「なんで困るの?」

「心臓がうるさくなって……」

胸元に手を当てる。鼓動は変わらずうるさいまま。そんな私の手にさとみくんの手が重なる。その瞬間、私の鼓動がさらに速くそして大きくなった。

「えるの心臓、ドキドキ言ってる」

「…うん……こうなると私もどうしたらいいか分からなくて……」

「オレ知ってるよ。心臓がこんなにドキドキするのは……好きだから」

「え───?」

「オレもそうだから。えるといる時はいつもドキドキしてる。…よかった。えるもオレと同じなんだ。これって両想いってやつでしょ。それも知ってる」

「……!!」

このドキドキは…私がさとみくんのこと───好き、だから。そう気がついた時、分からなくて不安だった気持ちが自分の中にすっと入ってきた。

そわそわしたのもモヤモヤしたのもドキドキしたのも全部─────。

「あのねさとみくん。私、さとみくんが思ってること教えてくれた時からずっと考えてたの」

重ねられたさとみくんの手に空いていた手を重ねる。

「私はさとみくんのことどう思ってるのかなって。でも、わからなくて。それなのに…そわそわしたりモヤモヤしたり……最近はね、さとみくんといるとずっとドキドキして……でも、なんでなのか分からなくて……だけど、やっと分かったよ」

心臓は変わらずドキドキしたまま。きっとさとみくんにも聞こえてる。だけどそんなこと考えることなんて出来ない。今伝えなきゃ。やっと分かった私の気持ち。さとみくんが教えてくれたこの気持ちを。

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