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第七話「窓の多い階のこと」
九階に着いた。
九階は、窓が多かった。
女の予想通りだった。
廊下の両側に、窓があった。
両側から、光が入ってきた。
明るかった。
下の階より、ずっと明るかった。
先生たちが、窓の傍で立ち止まっていた。
外を見ていた。
しばらく見て、また歩き始めていた。
男と女も、窓の傍に立った。
外を見た。
遠くまで見えた。
山が見えた。
川が見えた。
「きれいですね」と男は言った。
「きれいです」と女は言った。「毎回、驚きます」
「毎回来るんですか、ここへ」
「来ます」と女は言った。「ここの光が好きなので」
光が、廊下に差し込んでいた。
傾いた廊下に、光が差し込んでいた。
傾きが、光の中では分かりにくかった。
「傾いていても、光があると分かりにくいですね」と男は言った。
「そうです」と女は言った。「でも、傾きはあります」
「分かりにくくなっただけで」
「そうです」と女は言った。「だから、光の中でも気をつけて歩きます」
男はその言葉を聞いた。
光の中でも気をつけて歩く。
先生たちが、窓の傍を通り過ぎていった。
光を浴びながら、歩いていった。
難儀しながら、しかし確かに、歩いていった。
二人も、また歩いた。
光の中を、歩いた。
(第七話 了)




