第11章 4:ジュラ紀の将軍登場!傷つくティラノ【超神速のステップ】
――これだ、これが弱点だ!! みんな、聞いてくれッ!!」
駆の、魂の底からの危機看破の絶叫がオープン回線へ一斉同期された!
「スーパーサウルスは40メートルを超える超弩級の『架橋型骨格』だ! だけどブラムは、出力を強引に上げるために腹部の『肋骨フレーム』へ不自然な補強パーツを溶接してしまっている! そのせいで、前足を高く持ち上げた『0.8秒』の間だけ、全身の重さを支える重心が『左の後ろ脚の付け根』に集中し、骨盤の結合部が過負荷でミリ単位の軋みを上げている! そこを叩けば、あいつの巨体は自分の重さで自壊する!!」
「0.8秒?……!? 傷ついたティラノじゃ、その手綱を引き絞るだけのハイスピード・ステップが踏めないわ!」
ラーナが父ガロンのスパナを握りしめて悔しげに吼える。
だがその瞬間、ドックの硝煙を切り裂いて、一斉に不屈の足音が大地を鳴らした。
「――駆くん、その0.8秒の手綱、あたしたちが繋いでみせる!!」
現れたのは、ミカの乗るコンプソグナトゥスのアルファ、そしてその背後に整列した、従属させたコンプ9頭。
さらに、バルト隊長が率いる「バルト隊デイノニクス」5頭の背後へ、それぞれ9頭ずつコンプを従属させた。――合計60頭の『生体混成部隊』が、寸分の狂いもなく職人のマニュアル連携陣形を組んで、ドックの最前線へと躍り出たのだ!
「ガハハハハ!! 職人の意地をナメんじゃねえぞブラムの野郎!! 全軍、旦那の乱数に命を乗せて――突撃ォォォォォォォォォーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!」
バルト隊長の野生の咆哮とともに、60頭の生体混成大部隊が一斉にその命のスクリューを爆発させ、時速六十キロメートルを遥かに置き去りにする超神速のステップで地を這うようにハネ上がった!
ズズズズズズズズズズズズズッ!!
ブラムのスーパーサウルスが、目障りな中型白兵戦部隊を一網打尽に踏み潰そうと、その巨大な前足を天高く持ち上げた。
「――往くよ、みんなッ!! 最初の0.8秒、あたしたちが切り拓く!!」
駆の号令と完全に同調し、前足が持ち上がった最初の0.8秒の極限の刹那、ミカのコンプソグナトゥス部隊が弾丸の如く跳躍した!
ミカを先頭とした10頭の生体パルスが、スーパーサウルスの唯一のバグ――『左の後ろ脚の付け根』へと寸分の狂いもなく真っ正面から激突する!
ドガァァァァァンッッッッ!!!!!
「ぐっ、ちっぽけなトカゲどもが小細工を……っ!」
不意の一撃を喰らい、40メートルの巨体が不気味にグラリとよろめいた。
だが、ブラム将軍は強硬に手綱を引き絞り、スーパーサウルスの前足をさらに高く持ち上げて押し潰そうとする!
「――させねえよ!! 二発目の0.8秒、ドックの手綱をナメんじゃねえぞッ!!」
よろめいた反動で再び生まれた0.8秒の隙を見逃さず、インカム越しにギルの不屈の声が響き渡った!
バルト隊デイノニクスの背から次々と発射されたコンプの混成連撃が、ハンス、ギル、カイル、トードたちによって、少しずつ、的確に結合部を破壊しにかかる!
カキィィィンッ! ズガァァァンッ! バリバリバリバリッ!!
ギルが、ハンスが、カイルが、トードが、それぞれの担当する骨格の応力点へと正確にコンプの突撃をロードさせ、ブラムの不自然な補強パーツの溶接を少しずつ、けれど確実に木っ端微塵に完全解体していく!
「馬鹿な……ッ!? 補強フレームの強度が、ミリ単位で削られていくだと……ッ!?」
「――これで最後だブラム!! これが俺たちの、本当の職人の『手綱』だァァァッッッ!!!!!!!」
補強パーツをすべてへし折られ、三度目に上がった完璧な0.8秒の最期の隙の真ん中へ、バルト隊長がその手綱を最大限界突破で過駆動させた!
自身のデイノニクスの全質量と、残るすべてのコンプたちの引き波の特大フラックスを乗せた、渾身の最強の跳躍蹴りが、完全に無防備となった左後ろ脚の付け根へと真っ正面からブチ込まれたのだッッ!!!!!
ドゴォォォォォォォォォォンッッッッ!!!!!!!
「わたしのスーパーサウルスが……、世界をヘシ折るはずの大陸破城のメインフレームがァァァッッッ!!!!! ぐわあああああああッッッッ!!!!!」
ブラム将軍の悲鳴のような驚愕の絶叫が響き渡る。
付け根の結合部を完全に破壊されたスーパーサウルスは、駆の計算の通り、自らの40メートルを超えるあまりの超弩級質量の重さに耐えきれなくなり、内側から爆発的な自壊ハザードを発生させた!
ズゥゥゥゥゥゥォォォォォォォンッッッッ!!!!!!!
動く超巨大山脈だったスーパーサウルスの巨体は、自らの重さでドックの床へと力なく崩れ落ちて完全撃破されたのだった。
「……やった、やったぞ! 俺たちの勝ちだっ!!」と
バルト隊長がツナギの袖で涙を拭い、ミカやラーナ、ロッソの涙まみれの大歓声が爆発的に轟き渡った。
スーパーサウルスの瞳からドス赤い狂気が消え、救われたように穏やかな本来の瞳に戻った。
油圧の圧力が抜け、超巨大な生体要塞は静かに大きな鼻息を漏らした。
「ば、馬鹿な……我が最強の要塞がティラノをここまで追い込んで敗れるとは……!」
コックピットから這い出てきたブラム将軍は、完全に腰を抜かしていた。
将軍はこれ以上の戦闘が不可能であることを悟り、予備の小型重機に飛び乗ると、砂漠の奥へと逃げ帰っていった。
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