↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『プロジェクト・ジュラ~恐竜は超古代文明の生体重機でした~』  作者: KYORyu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/27

第10章 2:ジュラ紀の鉄槌!動く要塞を撃破せよ

「……いい加減に諦めなさい、無駄な抵抗を続ける泥臭い男たち」


 ディプロドクス型『動く要塞』による猛攻の最中、戦場を揺るがす地鳴りの隙間から、不気味なほど冷徹で、どこか艶っぽいオネエ言葉が無線インカムの全チャンネルへ混線するように響き渡った。


「っ!? この声、まさか……ジュリアン将軍か!?」


 バルトがデイノニクスの手綱を握り直し、泥にまみれた顔で上空を仰ぎ見た。


 だが、激しい砂煙とディプロドクスが巻き上げる土塊の向こうに、その姿は見えない。


 ただ、崩壊する防壁の物陰、濃い影の奥に、紫色の夜会服を纏った人影のシルエットだけが静かに佇んでいた。


『あら、私の名前を覚えていてくれたのね、バルト。でも勘違いしないで。私はブラム将軍の無様なトカゲ(ディプロドクス)に加勢しに来たわけじゃないわ」

「……キルガ総帥の命令でね、あんたたち裏切り者の「最期の瞬間」を、この目で美しく見届けるために、事後調査役として見物しにきてあげたのよ』


 シルエットの影が、暗闇の中でパタパタと優雅に扇子を仰ぐ。


 その冷酷なセリフの裏に、恐竜の悲鳴を何とも思わない母軍への狂気と、けれどどこか「美しくない戦い」を冷めた目で見つめる複雑な心境が滲んでいた。


「ふざけるな! じっと見ていろオネエ将軍! 俺たちは、ここの家族は、絶対にスクラップになどならん!」


 バルトが吼えるが、ディプロドクスが放った超重量級の鉄球(バイオハンマー)が地を這い、バルトたちの混成部隊を次々と弾き飛ばしていく。


「くっ、60頭の連携でも、あの鋼鉄の装甲を1ミリも突破できないのもふ!」パタが駆の頭の上で短い手を震わせる。


「……いや、あの装甲が厚いのは、自身の骨格が『重さに耐えられない』からだ!」


 床にデッサンを広げた駆の目がギラリと輝き、天才スイッチが火を吹いた。


「ディプロドクスは全長25メートルを超える巨体でありながら、背骨(脊椎)の中身が空洞になっていて、驚くほど軽量化されている『テコの原理』で動く骨格なんだ! なのに、ブラムの配下は無理やり何重もの鋼鉄装甲と数トンの鉄球を載せた。あいつは尾の鉄球を振る直前、自重のバランスを維持するため、必ず長い首を『左斜め45度』に傾けて、背骨の第4胸椎に全ての応力を集中させている。そこだ!」


 駆はドックのハッチを開け、パキケファロサウルスに乗るロッソへと叫んだ。


「ロッソくん! 敵が次に鉄球を振りかぶる瞬間、左斜め45度に傾く首の付け根、装甲の隙間から剥き出しになる結合ボルトへ、パキケの超高圧ドリルを最大出力で叩き込むんだ!」


「分かった! 任せて、駆アニキ! いっけぇぇぇ、パキケ・ドリル!!」


 ロッソが手綱を引き絞る。


 パキケファロサウルス型発掘重機が地を蹴り、毎分3000回転のダイヤモンドドリルを唸らせながら、要塞の死角へと弾丸のように突撃した。


 ディプロドクスが鉄球を大きく振りかぶる。


 駆の予言通り、巨体がバランスを保つために首を左斜め45度へ傾け、装甲の継ぎ目が一瞬だけ完全に露出した。


「ここだぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」 


 ロッソの叫びとともに、パキケの頭突きドリルが、敵の第4胸椎の結合ボルトへと正確に直撃した。


 バリバリバリバリィィィンッ!!!


 凄まじい火花が散り、超高圧ドリルの衝撃波が、ディプロドクスの背骨の応力バランスを内側から完全に粉砕した。


「ギ、ギィァァァァッ!?」


 重心を完全に失ったディプロドクスの巨体が、自らの鋼鉄装甲の重さに耐えかねて、地響きを立ててその場にドスンと頽(くずお)れ、完全に機能停止された。


「今だ!」


 ミカのコンプ部隊が敵の操縦士の視界を塞ぐなか、バルト隊長がディプロドクスの頭部の金属リミッターをデイノニクスの牙で引きちぎり正確に噛み砕く!


 パチパチと火花が散り、動く要塞の瞳からドス赤い狂気が消え、優しく穏やかな本来の瞳が戻った。


「ば、馬鹿な……ブラム将軍の要塞が、ティラノ抜きで……!」


 コックピットから這い出てきた副官ベリルは、バルトのデイノニクス部隊に包囲され、命からがら砂漠の奥へと逃げ帰っていった。


「ふぅ……なんとかなったのぱた……」

 パタが胸を撫でおろす。


 ドックの全員が勝利に沸くなか、駆は先ほどまでジュリアンのシルエットがあった防壁の物陰へと視線を走らせた。


 だが、そこにはもう人影はなかった。ただ、砂の上に一筋の美しい紫色の衣の繊維だけが残されており、無線機からは、小さく乾いたオネエの笑い声だけが聞こえていた。


『フフ……泥臭いけれど、骨の仕組みを突くなんて、少しだけ面白い戦い方をするじゃないの、ボサボサ頭の天才さん。……また会いましょう、美しくない裏切り者たち』


 扇子をパシッと閉じジュリアン将軍は静かに去っていったのだった。


(第10章・完 / 第11章へ続く)

「少しでも面白い、続きが気になると思ったら、ページ下部の【ブックマークに追加】や評価(★★★★★)で応援していただけると、更新の励みになります!」


Xのほうにも画像をあげてるので、【恐竜・古生物重機図鑑】チェックしてみてください。

なろうは、みてみんを通してるので画像荒目です。

https://x.com/kyoryukrr?s=11

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。