99話
夜。
家に帰ってから。
「……ただいま」
「ただいまー」
「……ただいま」
玄関を上がった瞬間——ぎゅっ
「……はい来た」
「……つかれた」
「知ってる」
そのまま、ほぼ引きずるようにリビングへ。
ソファに座ると——すとん
「乗るな」
「……ここ」
完全に体を預けてくる。
「……重い」
「……むり」
「何がだ」
「……動けない」
「それはこっちだ」
秋山が隣に座る。
「今日はさすがにね」
「だな」
「……東海林さん」
「ん?」
「……いる?」
「いるって」
「……うん」
ぎゅっ
さっきよりも少しだけ優しい力。
「……寝る?」
秋山が聞く。
「……寝る」
即答。
「風呂は?」
「……あと」
「寝るなよ」
そのまま、少しだけ横になる。
「……ベッド行くか」
「……ここがいい」
「ダメだ」
なんとか立たせて部屋へ。
布団に入ると——すぐ。
ぎゅっ
「……」
「……早いな」
「……東海林さん」
「ん?」
「……今日」
「ん?」
「……楽しかった」
「それはよかったな」
「……でも」
「?」
「……つかれた」
「見れば分かる」
「……でも」
小さく。
「……一緒だったから」
「……」
「……安心した」
「……そうか」
そのまま、顔を胸に埋める。
「……離れない」
「はいはい」
秋山も反対側に入る。
ぎゅ
「僕も」
「増えるな」
「……東海林君」
「ん?」
「今日は静かに寝れそうだね」
「……だな」
「……」
響はもうほとんど目を閉じてる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……いる?」
「いる」
「……うん」
そのまま、
すー……と寝息。
「……寝たな」
「完全にね」
でも——ぎゅっ
手は離さない。
「……今日は」
秋山が小さく言う。
「うん」
「ちゃんと安心して寝てる」
顔も穏やか、呼吸も落ち着いてる。
「……珍しいな」
「外出たのがよかったのかもね」
「……かもな」
そのまま何も起きない夜。
不安で起きることもなく震えることもなく、
ただ——静かに、深く眠っている。
「……東海林君」
「ん?」
「これが普通だといいね」
「……」
腕の中の温もり。
「……そうだな」
そのまま三人で、一度も目を覚まさずに——
朝までぐっすり眠り続けた。
もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。




