100話
朝。
まだ少し眠い空気の中で目が覚める。
「……朝か」
隣を見ると——ぎゅっ
「……」
響はそのままくっついて寝てる。
反対側には秋山。
「……起きるか」
小さく呟くと、
「……ん……」
響が少しだけ動く。
「……東海林さん」
「ん?」
「……どこ行く」
「風呂」
「……行く」
「来るな」
「……行く」
「……」
もう分かってる。
止めても無駄だって。
「……先入るぞ」
「……うん」
浴室。
シャワーを出して、一人で入る——はずだった。
ガチャ
「……来たな」
「……一緒」
「知ってる」
もう止めないというか止める気もあまりない。
「……寒い」
「さっさと入れ」
「……うん」
シャワーの音だけが響く。
「……東海林さん」
「ん?」
「……頭」
「自分で洗え」
「……やだ」
「……」
少しだけ間。
「……はぁ」
「……やる」
「……うん」
座らせて、シャンプーを手に取る。
「……目閉じろ」
「……うん」
髪に触れる。
さらっとした感触。
「……」
「……」
静かな時間。
「……気持ちいい」
「そうか」
ゆっくり洗う。
丁寧に。
「……東海林さん」
「ん?」
「……好き」
「……知ってる」
泡を流して、タオルで軽く拭く。
「終わり」
「……うん」
そのまま—湯船へ。
「……あったかい」
「だな」
先に入ると、
すぐに——
「……よいしょ」
「乗るな」
でもそのまま膝の上に座る。
「……ここ」
「……まぁいい」
もう止めない。
というか、それが自然になってきてる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……あったかい」
「湯船だからな」
「……違う」
背中を預けてくる。
「……」
「……」
静かな朝。
「……なんかさ」
ぽつりと呟く。
「ん?」
「……慣れてきたな」
「……うん」
「……前は止めてたのに」
「……」
「……やめろとか」
「……言ってたな」
「……今は?」
「……」
少しだけ考える。
「……まぁいいかって感じだな」
「……うん」
ぎゅっ
少しだけ力が入る。
「……嬉しい」
「そうか」
湯気の中で静かに時間が流れる。
「……東海林さん」
「ん?」
「……このままがいい」
「……」
「……ずっと」
「……」
「……今はな」
「……うん」
そのまま、しばらく何も言わずに——二人で湯船に浸かっていた。
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