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男友達だと思ってたやつがなんかおかしい  作者: Саша


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43話

翌日。昼前。

リビングのソファで、俺はだらけていた。


エアコンの風が弱く回っている。

夏休みらしい、ゆるい時間。

響は床に座って、テーブルに顎を乗せている。


「……暇」


「夏休みだしな」


「……どこか行く?」


「暑い」


「……」


会話終了。

そのときキッチンから秋山が出てきた。

ジュースを三つ持っている。


「二人とも、ちょっといい?」


「何」


秋山の声はいつも通りだけど、少しだけ真面目だった。


響が顔を上げる。


「……なに」


秋山はソファの前に座る。

少しだけ沈黙。俺は昨日のことを思い出す。

言うつもりなんだな。


秋山が口を開いた。


「響君」


「……うん」


「一つ、言ってないことがある」


響は首を傾げる。


「……なに」


秋山は少しだけ息を吐いた。


「僕ね」


一瞬、視線が揺れる。でも、ちゃんと言った。


「男じゃないんだ」


沈黙。

エアコンの音だけ。

俺は響を見る。


響は少しだけ瞬きをして――普通に言った。


「……うん」


秋山が固まる。


「……うん?」


「……知ってる」


今度は秋山が完全に止まった。


「え?」


「……最初から」


秋山が俺を見る。


「東海林君、言った?」


「言ってない」


響が小さく言う。


「……声」


「声?」


「……骨格も」


秋山がぽかんとする。


「そんな分かる?」


響は少し考える。


「……なんとなく」


「なんとなくで分かるの?」


「……うん」


秋山はしばらく言葉を失っていた。

それから小さく笑う。


「なんだ、それ」


「……言わない方がいいかなって」


響がぽつりと言う。


「……秋山さん、男でいたそうだった」


秋山の表情が少しだけ柔らかくなる。


「……優しいね」


「……普通」


沈黙が少しだけ続く。

俺が聞く。


「怒らないのか」


響は首を傾げる。


「……なにが」


「騙されてたこと」


響は少しだけ考える。

それから普通に言った。


「……秋山さんは秋山さん」


昨日と同じ答えだった。

秋山は少し目を細める。


「東海林君と同じこと言うね」


「……だめ?」


「ううん」


秋山は首を振る。


「嬉しい」


響はテーブルに顎を乗せたまま言う。


「……だから」


「?」


「……これからも秋山さん」


「呼び方?」


「……うん」


「変えないでくれるの?」


「……変えない」


秋山は少し笑う。


「よかった」


そのとき。

響が少しだけ真面目な顔になった。


「……でも」


「ん?」


「……一個だけ」


秋山が首を傾げる。


「何?」


響はゆっくり言った。


「……昨日」


「うん」


「……東海林さんと、二人で長く話してた」


秋山が少し固まる。


「……見てたの?」


「……起きてた」


俺は天井を見た。


「お前な」


響はじっと秋山を見る。


「……なに話した?」


秋山は少しだけ笑う。


「秘密」


「……ずるい」


「たまにはいいでしょ」


響はしばらく黙ってから。


ゆっくり立ち上がる。

そして当然みたいに俺の隣に座る。


肩に寄りかかる。


「……東海林さん」


「何」


「……取らないでね」


「誰が」


「……秋山さん」


秋山が笑う。


「取らないよ」


それから静かに言った。


「僕も共有派だから」


響は少しだけ眉を寄せる。


「……共有」


「三人でしょ?」


響は少しだけ考える。

それから小さく頷いた。


「……うん」


でも、そのあと、俺の腕をぎゅっと掴む。


「……でも」


「ん?」


「……ここ」


俺の肩に顔を乗せる。


「……特等席」


秋山が吹き出す。


「そこは譲らないんだ」


響は小さく言う。


「……譲らない」


三人の空気は、少し変わった。でも、壊れたわけじゃない。

むしろ前より少しだけ、本当の形に近づいた気がした。

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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