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男友達だと思ってたやつがなんかおかしい  作者: Саша


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36話

インターホンが鳴った。


「来た」


俺が立ち上がると、響がぴたりと腕を掴む。


「……一緒に行く」


「逃げないから大丈夫だって」


「……いる」


結局、玄関まで三人で向かうことになった。

秋山は少し後ろ。響は俺の隣にぴったり。


ドアを開ける。


「おー、久しぶりだな」


父親がスーツケースを置きながら入ってくる。その後ろから母親も顔を出す。


「あら、ほんとに三人いる」


第一声がそれか。

父の視線がまず秋山へ。


「秋山くん、相変わらずおるなぁ」


「お久しぶりです。お邪魔してます」


ぺこりと綺麗に頭を下げる秋山。

次に父の視線が響へ移る。


「ほう、この子か」


響が俺の服を掴む力が強くなる。


「……初めまして」


声は柔らかい。見た目も完全に女の子。

母が少し目を細める。


「あなたが響くん?」


「……はい」


「思ったより小さいのね」


「……よく言われます」


父が腕を組む。


「まぁ入れ入れ。立ち話もなんだで」


リビングに移動。

荷物を置き、全員ソファに座るはずだった。

だが、響が当然のように俺の膝の上に座る。

向かい合う形で。完全に密着。


父と母が一瞬止まる。

秋山は無言でお茶を淹れに逃げた。


「……」


母が俺を見る。


「これが、いつもの?」


「いつもの」


「家でも?」


「家でも」


父が咳払い。


「まぁ…仲がええのは悪いことじゃないが」


響は俺の首に腕を回す。


「……落ち着く」


母がため息をつく。


「あなた、ちゃんと説明しなさい」


「男。高校生。同居してる。寝るときも一緒」


「最後いる?」


「いるだろ」


父が目を細める。


「響くん」


「……はい」


「お前さん、自分で選んどるんだな?」


響は一瞬だけ俺を見る。

それから、はっきり頷く。


「……ここがいいです」


父は少しだけ黙る。母が柔らかく聞く。


「無理してない?」


「……してません」


「この子に甘えてるだけ?」


「……甘えてます」


母が笑う。


「正直でよろしい」


その間も響は俺の上から降りない。

むしろ距離が縮まっている。

父が俺を見る。


「お前、責任持てるだな?」


「何の」


「その距離感のだわ」


「持つよ」


即答。

父が少し驚いた顔をする。


「ほう」


母は腕を組む。


「秋山くん」


キッチンから戻ってきた秋山が固まる。


「はい」


「あなたも相変わらずいるのね」


「はい、います」


「あなたは?」


秋山は一瞬だけ俺を見る。

そして微笑む。


「僕もここがいいです」


母が軽く頭を押さえる。


「三人とも正直すぎる」


父が小さく笑う。


「まぁええじゃないか。家が賑やかなのは悪くない」


響が小声で言う。


「……追い出さない?」


母は即答。


「追い出さないわよ」


父も続く。


「泊めとることは聞いとるしな」


響の肩から力が抜ける。

そのまま、俺の胸に顔を埋める。

完全に安心モード。


母がぼそっと言う。


「ねぇ」


「何」


「これ、将来どうなるの?」


「知らん」


「知らんじゃない」


父が笑う。


「若いもんに任せりゃええ」


秋山が小さく呟く。


「公認、ですね」


俺が響の頭を撫でる。


「まぁ、今はこれでいいだろ」


響が小さく返す。


「……うん」


そのまま動かない。

母が立ち上がる。


「とりあえずご飯にしましょう。響くん、好き嫌いある?」


「……ないです」


「偉い」


父が荷物を持ち上げながら言う。


「お前ん家、なんか空気変わったな」


「そうか?」


「前よりあったかい」


それは多分。

俺の上に乗ってるこいつのせいだ。

秋山が横に座りながら言う。


「家族増えましたから」


母が振り返る。


「まだ増やさないで」


俺はため息をつく。

でも、響は離れない。


親の前でも。甘えることをやめない。

そして俺も、もう止めない。


父と母はそれを見て。

何も言わなかった。


それが一番の許可みたいだった。


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